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「キャリアの断絶」をリーダーシップに転換しよう

配偶者の海外赴任に伴い仕事を退職して、キャリアが断絶する。特に女性に多いケースですが、女性のキャリアというテーマを通じて、最近そんな方と何人かお会いする機会がありました。本人が会社員としてブランクがあることを引け目に感じてしまうのと同時に、企業側のアンコンシャスバイアスにより、採用が不利になることも多いようです。

特に、海外で新しい仕事をしたり、起業やNPOの立ち上げなど、むしろ日本国内よりも難易度が高そうなチャレンジをしているにもかかわらず、ご自身が「キャリアの断絶」と考えてしまう。もったいないな、と思いました。企業側も最近は従業員に「起業家精神をもて」と発破をかけるにもかかわらず、本当に起業家精神を持っているタレントを受け入れられない。とても残念な事象に思います。

海外で仕事をしなかったにせよ、言葉も習慣も違う新しい環境で生活を成り立たせるために多大な努力がいるはず。待っていても誰も助けてくれない環境で、自分で切り開いていくという経験をしている方がほとんどなはずです。それこそ「変化を起こせ」「変化に適応せよ」と経営側が発破をかけるわりに、変化に適応した経験のある人を採用できない、そんな矛盾もありますね。

配偶者の海外赴任について行くために、自分の仕事を辞める。特に女性側が妥協することが暗黙のうちに求められている。そんな背景に対してのモヤモヤはありますが、いったんそれは横に置いておいて、その選択がもたらすポジティブな面を見てみたいと思います。

実は、2つの選択肢のうちどちらかを選ばなければならないという事情に直面して、どちらかを選ぶ、という行為は、リーダーの仕事と似ている点があります。

2つの相反する選択肢がある。両方選ぶことはできない。そして、片方を選ぶことは、自動的にもう一つの選択肢を捨てることになる。そして、ある時点までに選択肢を絞ることを求められる。そして後戻りはできない。そんな状況下で、自分の意思で選択をする。特に、この選択肢を捨てるという行為。とても怖いですよね。その怖さを受け止めながら一つの選択肢を選ぶ、という行為をするわけです。

こういう決断が求められる状況は、組織の長になると、頻繁に起こります。逆にいうと、みなさんの周りにいる「決められない上司」「方針が不明瞭だったりぶれる上司」というのは、こういう状況に直面して、決断を回避しているともいえます。それだけ、選択肢を絞って、リスクを受け止めるというのは怖いものでもあるのですね。

一方で、配偶者の海外赴任で仕事をやめた方のお話を聞くと、海外にいることを受け止めて、その環境下でできることをやったり、快適に楽しく暮らすことに取り組んでいる。要は、自分の選択の結果を受け止めて、それをプラスに転換しているわけですね。自分の選択の結果、引き起こされるネガティブなことを、プラスに転換しよう、というマインドに切り替えている。その視点の転換は、仕事でも非常に役に立ちます。正解が無い状況で選択肢を絞ると、それに伴い、当然リスクやデメリットが顕在化します。ただ、それらのプラスの面を見つけて、積極的に良い面を膨らませていく。そのような行動自体、間違いなく素晴らしいリーダーシップですよね。

キャリアの断絶という風にネガティブに捉えずに、自分で決断をしてその結果を引き受けるという経験をしたことを高く評価してほしいなぁと思います。これは自分からチャンスを取りに行くという類の経験ではないので、 運よく体験できたこと、その体験をプラスに転換できたことをポジティブに捉えて、さらにリーダーシップとして転換していってほしいな、と思います。

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