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2020年、(地味に)11か月分しか働きませんでした

去年の有給消化日数を振り返ってみると、21.5日で終了。1か月20営業日と考えると、1か月相当の有給休暇を取得したことになります。連続休暇は5日間の夏休みのみで、それ以外は細々とコンスタントに積み上げました。

意図せず“ワーカホリック”というパーソナルブランドができてしまっている私ですが、実は有給を取っている結果として営業日1日分の密度が濃くなっているのと、仕事関連の発信が多いので、そのようなイメージが強化されているみたいです。(過去、ワーカホリックだったときでも、せいぜい月40時間程度の残業量だったのは大きな声では言えないです・・・)

欧州系の会社で働いているため、昔から「同じ会社の欧州の同僚やエキスパットは1か月休暇を取れるのに、なぜ日本人は無理なのか?」と疑問に思っていました。1か月相当の休みを取っても、昨年は業績も目標どおり、従業員満足度(eNPS)は1年で+70ptsも引き上げられたました。欧州のように1か月連続という形ではないのですが、11か月でしっかり結果を出すという形に持ってこれたのは一つの成果かな、と思っています。

2020年の振り返りもかねて、具体的にどんなことをしているのかまとめてみようと思います。


優等生気質から卒業する

組織で働いていると、他人が”やってる感”を出すために降ってくる仕事や、思いつきのアイディアなど、「これやっても意味あるのかな・・」という仕事がそこそこあります。先輩の執行役員を観察していると、はっきりNOという人もいるし、交渉しながら捌いていく人もいるのですが、執行役員になったばかりのころは、上席者(特に外国人)からの指示だと脊髄反射で引き受けてしまう(または、NOというために資料作りに疲弊する)という自分がいました。執行役員という立場だと、無条件に引き受けるよりは、タフに交渉すること自体はむしろ有能な証なのですが、ここは、優等生気質が抜けきれなくて一番難儀したところです。

例えば、上席者や本社から来た漠然とした指令に対して、先回り力を駆使して100点満点で答えようとしてしまうという過ち。完璧主義の日本人の100点はグローバル水準での120点相当にあたるという気がしています。どこまでの完成度をどの時間軸で満たすのかは、何回かキャッチボールして探っていくのが妥当なやり方なのですが、日本人のビジネススタンダートに優等生気質がかけあわされると過剰品質になってしまうのです。

ましてや、拾わなければ自然に消えていく仕事を率先して拾ってしまう、というのは最悪です。「メールは即レスが有能な証」という仕事術に毒されていると、拾わなくていい仕事を拾ってしまい、うっかり他人の仕事までやってしまうこともあります。

したたかにスルーする、相手に手ごたえありと思わせるレベルで交渉する、というスキルは、仕事量のコントロールに非常に役立ちます

これまで自分が評価されてきた拠り所であった優等生気質から卒業するのは簡単なことではありませんでした。恐怖を乗り越え勇気を振り絞るという表現が一番しっくりくるくらい、頭に血が上って心臓がバクバクするのですが、何度か繰り返すうちに耐性ができてきました。

一方で、背景や趣旨に賛同できる時は、本質的にプラスになるカウンターオファーを出して、プラマイプラスにする。特に、上席者のアピール材料になるようなものはコンスタントに提供するというドライな姿勢も大事です。自分の責任であるKPIを達成するための施策群に隙を見せない、というディフェンスにも気を配っています。


不毛な仕事をしないで済むように、「ストレステスト」の発想を取り入れる

会社では、最終的なKGIを達成するために、中間KPIとして分解された指標が多数存在します。それぞれの中間KPIは職務の責任と紐づいているので、そのKPIを改善するための施策は自然に増える定めにあります。ただ、外部環境が変わったり大きな戦略転換をする場合には、これまで全力で追いかけてきたKPIに対して、活動量を大幅に減らしても問題ないケースがあります。組織全体のキャパシティが一定である以上、何かを辞めないと他のことをやる余裕ができません。こういうときには、「このKPIがどの程度悪化しても、全社KGIに影響がでないのか」という「ストレステスト」の発想を取り入れてシミュレーションをします。これにより「やってもやらなくても大勢に影響ない」ということが証明されますので、遠慮なくそこに投入していたリソースを他の重要案件に振り向けます。一見「やめる」というネガティブな決断を「重要案件へのリソース増加」という文脈でとらえなおしをしますので、周囲の納得感もえられるのです。

不毛な業務が自分の責任範囲に残存すると自分の時間もとられてしまいます。こういうシチュエーションに遭遇したら、肩書の持つ発言力と権限を使いこなして全力で折衝する。それにより自分自身の負担も減らすことができました。

自分のバリューを定義して、他人の期待値とのギャップを恐れない

仕事は「ただこなせばいい」と割り切れればいいのですが、承認欲求への渇望感を切り離すことは簡単なことではありません。特に、自分が正当に評価されていない、という欠乏感があると、評価への渇望感につきうごかされて仕事量が増えてしまうのです。

ここから卒業するために、自分が何でバリューを出しているのかを常に問い直し続ける。これは非常に大きかったです。「チームメンバー全体がやりがいをもてるように土壌を整える」「足し算と引き算を駆使してキャパシティコントロールをする」。これが、日々問いかけを続けて定義した私のバリューです。業績指標以外に自分がどういうベクトルで貢献しているのかを明瞭にする。この明瞭度が評価への渇望感を抑制してくれるのです

もちろん他人はいろんな期待値を求めてきます。上席者、同僚、部下・・他人が持つ役割期待は結構ずれがあって、それを満たせないことに対する恐れがあると引き算の発想ができなくなります。上司が評価してくれない、部下がついてきてくれない・・そんな恐れに振り回されるときりがありません。

多少、期待した役割を満たせなくても動じない自信が持てるかどうか、それは自分が「これだ」と信じる領域を全力でやっているか、それを言葉にして発信できるかに左右されます。また、他人の期待値を満たすかどうかは一発勝負で勝敗が決まるものではなくて、自分が納得してから長期戦で満たせばいい。それくらい肩の力を抜けるかどうかは大きいのではないかと思います。

ちなみに、自分への問いかけと内省する作業は、業務時間外にすることも多いです。noteに記事を書いたり、外部でスピーチをする事前準備の中で言語化するというのもしばしばあります。外部への発信というプレッシャーの元では、思考スピードが加速するので、そのような時間を確保するために、有給休暇を活用している側面もあります。

もちろん、仕事以外の趣味に使う時間や、家族のための時間も、自分にとってはかけがえのない時間です。それをねん出するために、労働時間の長さと仕事のアウトプットが比例する働き方から脱却する、これは自分自身への長期投資だと思っています。


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