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男性が肩の荷を下ろせる世の中に #女性に活躍してほしい理由


#日経COMEMO から #女性に活躍してほしい理由 というお題がでています。

はい、活躍してほしいです。なぜなら男性も肩の荷を下ろせるから。

私自身、この時代に女性として生まれてキャリアを積み上げていこうと思った瞬間から、女性活躍というテーマには無縁ではいられない宿命を背負っております。就職活動の時に厳然と存在するジェンダーギャップに打ちのめされてから、「男性より2割増し優秀でないと同じ処遇は得られないのだなぁ」とう強い諦念とともにキャリアを積み上げてまいりました。当時から25年あまり経過して、なかなか変わらない日本のジェンダーギャップのせいで、常に2割増しを目指していたら、結果的に超絶ビルドアップされた状態に・・!(笑)

一方、変わらない日本企業で負け戦をして疲弊するというのもなぁ、ということで、比較的ジェンダーギャップが少ない外資系企業で働いてきたので、おそらく5~10年先の姿が日常になっています。

そんな自分からすると、「「それぞれの性別のあるべき姿」という枷って、女性を縛ると同時に男性を縛っているよなぁ」と、最近特に感じるところです。

日本も「女性活躍!」ということで、遅いながらも変わってきています。女性の方が「おまえら活躍せいや」という世間の声にさらされて、(反発も含めて)いろんな選択肢を考える機会が多い。一方で、男性は選択肢を与えられず、いえ、選択肢はあっても選択できず、させてもらえず、いまだに直線的な人生設計に縛られている人が多いように思います。

「男性たるもの強くあるべし」「社会の中で存在感を示すべし(=高い報酬をえるべし)」「定年まで右肩上がりで途切れることなく報酬を上げて家族を養うべし」みたいな価値観。もちろん、今の時代、表面的には「そう思っていない」という方も多いでしょうが、いざそれが脅かされそうな局面になると、突如、怒涛のような不安が浮かび上がってくるように思います。

特に、突然、家族の事情で仕事に100%フルコミットできなくなった時に、その恐怖はすさまじいのだなぁ、と。そう思う機会に何回か遭遇しています。家庭のために”短期間”の休職を申し出る時、ものすごく勇気を振り絞り、もはや自分の将来をあきらめて、その決意とともに切り出してくる・・・。それが、数週間や1か月などの短期間であることが見えているものであっても。

少しでも道を踏み外したら、そのあと永遠に元の軌道に戻れない、という強迫観念の強さたるや。

これはもちろん家族構成に左右されますし、家族を一人で養う選択って、過去は(今でも?)“勝ち組”といえる選択をしたわけですが、それが脅かされるときの「転落」の恐怖。どんな家族構成を選ぶかはそれぞれ個人の選択であり、自己責任とはいえ、メリット・デメリット両方あるわけで。

ちなみに、そんなケースの場合は、「休職で将来がなくなるなんてことはない」と、口を酸っぱく言い含めて、安心してもらいます。それに、休職を回避して仕事と家庭のバランスのとる方策や、例外策ができるか調整したり、休職から戻ってきたらこういう形で活躍してほしい、と、視点を長期に振り向ける努力をしたり、周囲のサポートえるための調整をしたり・・かなり汗かいています。

これも、女性活躍を推進する過程で、組織の仕組みを整備したり、ルールの中でできることを模索してきたから、できるわけなのです。女性の育休を想定して、人員が1人欠員が出ただけで仕事が回らなくならないような組織作りをしてますし。女性活躍の取り組みが結果的に、男性を助けている。そんな事例です。

つまるところ、ジェンダーギャップにも、コインの裏と表があるわけです。女性が稼げる機会が限られているから、結果的に男性が稼ぐ必要がある。その資質がある女性に指導的役割を与えないから、その空いた穴を資質がない男性が埋める必要がある。資質があるかないかは所与のもので、男女限らず資質にあう役割を担えばいいのに、資質に性別という軸を掛け合わせるので、空白ができてしまう。それを無理に穴埋めする必要が出てくるわけです。資質がないから本人は苦しくなるし結果も出せないが、役割を手放したくなくてしがみ付く。そんな悪影響もでてしまいます。

ちなみに、30年も前に、米国男性のフェミニストの方が、「男性差別」について著作を残しています。「男性権力の神話 - 男性差別の可視化と撤廃のための学問」という本です。

男性がいかに差別されているか。~男性は使い捨てされる性である~ 視点を変えると、その事実が浮き彫りになります。男性がこの本をご覧になると、気分がスカッとするのではないでしょうか?女性だけが差別されているわけではなく、固定化した期待役割が男性女性両方を苦しめているわけですね。

もちろん、稼ぐこと、社会的な地位を得ること、それが自尊心の根拠になるから、頑張れる。責任があるから強くなれる、それが男性のヒロイズムの一つとは思いますが、それだけに縛られると、満たせない時に挫折感が大きくなります。さらに、プライドが男性にとってどれだけ大切か。プライドを守るため・満たすための強烈な衝動は、男性社会に浸っていた”異物”である自分だから骨身にしみてよくわかります。だからこそ、プライドを満たせる選択肢がもっと幅広くあればいいのにな、と思います。

そもそも、コロナ禍に代表されるとおり、世界は直線的に進みません。期待役割の幅が狭すぎると、不確実な世の中で振り落とされる人がどんどん増える。男女ともに苛烈すぎますよね。このまま日本のジェンダー平等レベルが世界の下位でありつづけること、それはそのまま、男性も肩の荷を下ろせない時代が続くことだと思っています。

※四半世紀前に就職活動で打ちのめされた自分に、あのとき優遇されてた人達を、自分が助けてる将来を見せてあげたいです…

#日経COMEMO #女性に活躍してほしい理由

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