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夏の思い出①~小さな命との出会い~


前回の投稿から早2か月…
間がだいぶ空いてしまいましたが、気を取り直して今日からまた更新していきますので、よろしくお願いしますm(_ _)m

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8月の熱い夜。
梅雨明けからの猛暑で夜もうだるような暑さが続いている。

「あついーーー」
近所の居酒屋で夜ご飯を食べ、コンビニでアイスを買ってほろ酔い気分で夫と2人歩いていた。

家まであと少し。
近くの緑地に差しかかかったときに。
「あれ、なんか動いてる?」

よく見ると土から出てきた蝉の幼虫だった。
去年初めて見た時も同じようなシチュエーションだった。

その時も夫と一緒に蝉が羽化するか見守ったが羽化せず。
私たちはただ蚊に刺されて終わった。

「またいたね。」
と夫婦2人で観察の時間が始まる。
「今年は見れるかな。」

蝉の幼虫は土の中に7年もいて、やっと外の世界に出てきても生きられるのは1週間くらい。
(最近はもっと生きていると研究もあるそう)

「土から出てきたときの気持ちはどうなんだろう。」
そんなことを思いながら、蝉の幼虫を見守る。

15分位経ったが、蝉は行進を続けたまま。
前回の観察を経て分かったこと。
蝉の幼虫はお気に入りの場所見つけるまで羽化しない。

しかも見られているのが恥ずかしいらしい。
見ている間、来た道をずっと行ったり来たりしていた。

さらに待つこと15分。
蝉の幼虫は行進を続けている。
まったくもって羽化する気配を見せない。

私たちが蝉の幼虫を眺めている間、数組のカップルが通り過ぎて行った。
男女2人が暗がりの中、緑地を眺めている光景に何と思ったのか。
いや、きっと気にも留めていないだろう。

その時ふと不思議な感じになった。
ただの蝉だけど、幼虫から蝉に羽化するには大変な時間がかかる。
しかも失敗すると死んでしまうこともあるらしい。

そんな命がけのイベントが、何気ない道の脇で行われているのだ。

今年も30分近く待ったけど、蝉の幼虫は羽化する気配を見せない。
アイスもそろそろ危ないかもしれない。

「そろそろ行きますか。」
蝉の幼虫を残して家に向かって歩き出す。
「あ、みてみて!」

そこには羽化に成功した蝉がいた。
命がけのイベントを乗り越えて、無事に蝉になることができたのだ。

「おぉーすごいね!!」
まだ羽化したばかりなので飛んでこないが、やはり怖い。
遠目から見守って、私たちはそっと離れた。

翌朝、出勤途中に緑地の前を通った。
小さな蝉の抜け殻と、それ以外に3つ。
あの蝉の幼虫は無事に蝉になったようだ。

不思議なことに、この緑地には蝉の幼虫はいるが大人の蝉はあまりいない。
多分蝉のお気に入りの木は生えていないのだろう。

昨日出会った小さな命。
暑い1週間を無事に過ごしてほしいと思い、その場を後にした。

#夏の思い出 #日記  

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