AV女優~名前のない女③~

芸能界に一緒に憧れていた

友達が大人気AV女優として

活躍していた25歳の時。

私は無所属、無名の歌い手だった。


あまりのショックで

嗚咽を吐きながら

泣き崩れた私は

決心した。


悔しい。

悔しいすぎる。

このままでは、終わりたくない!


今日こそ、路上ライブを成功させるぞ。


悔しさの反動で

ギターや譜面台担いで

駅前まできた。

 

対人恐怖症だし

人の目が怖いけど、

なりふりかまわず、

セッティング。


そして、、


ついに


駅前のすみっこで

ひとりで

小さな声で


歌ったのだ。


誰にも聞こえないくらい

小さな声で。


1曲歌い終わった。


誰も聞いてる人は

いなかったけど、


静かな歓びを噛み締めた。


『あぁ、やっと私、歌えた』

『ここに立つまで2年かかったかぁ、』

『よく歌ったなぁ。』


爽やかな充実感が

心を満たした。


これ以上歌う気力はなかったので

帰ろうとした時、


思いもよらぬ転換が...







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