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『追龍』 はノスタルジーな正統派香港ノワール(ブロマンス)映画だった、けど…

『追龍』観てきました〜!香港2大明星のアンディ・ラウとドニー・イェンがダブル主演を務めた話題作です。以下核心には触れませんが、観た人間の感想なのでほんのりネタバレしてます。あと結構辛辣なので、すいません…。

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(新宿武蔵野館にて/2020年8月1日)

やはり香港ノワールはブロマンスの原生林……

香港ノワール。好きなんですよ。なんでって?男同士の魂のアレが熱いからですよ……。
男同士の友情を超えた愛憎と銃撃戦の末の血塗れのハグ、そして金では替えられないクソデカ感情を見せつけられて心がウッ…!ってなる。それが香港ノワールの醍醐味🥺
人は後にこれをブロマンスと呼ぶ…(私見です)

よく分かんない人は取り敢えず『男たちの挽歌』と『友は風の彼方に』を観ておけば何とかなる!見て!

アンディとドニーさんの主従風味なクソデカ感情のおはなし

序盤はアンディ演じる警察官ロックに助けられたゴロツキのホウ(ドニーさん)のわんこ的忠誠心がつよい。この人を絶対に死なせないという気持ちが激しい。おまえは警察のワンコか(間違ってない)。結果としてホウはロックに大切なものを捧げることになり(意味深)、そこから上手くいったかのように見えて、徐々に崩れ出す2人のパワーバランスと関係が切ない…。

段々ロック→ホウの気持ちの方が重くなってくるんですよ、飼い犬が暴れ出して自滅する(&巻き添えを喰らう)のを恐れる飼い主。俺はお前を案じて言ってるのに何で分かってくれないんだ!というよくある擦れ違い…、最後は気持ちが通じるって分かってても切ない……🥺

でも安心してください!そこは香港ノワール、最後は愛が勝つから…。超正統派展開なので、むしろ終盤のバイオレンスシーンはほかほかしながら安心して観れます☺️(狂気)

ノスタルジックな60〜70年代香港が楽しめる(但し否めない作り物感)

切ないけどこれはね…仕方ない……九龍城砦はときめくけどやはり作り物感満載。
スレスレの低いところ飛ぶ飛行機とか、屋上から霞んで見える九龍の景色とかどう観てもCGだわな。FFのムービーを観てるかのような潔いまでのCGっぷりを堪能できる。

英国人、だいぶ巨悪にされてんな…?

一番(政治的な意味で)気になってしまったポイントここね…。
マジでとにかく英国人警察が巨悪に描かれている。人間性がクソすぎる。
違和感を覚えるほど薄っぺらなクズに描かれていて、むしろ本作の資本元への配慮を感じさせ(強制終了)

後半のイギリス統治=巨悪!香港政府が汚職一掃しました!の描き方とか、スピーディーすぎて最早ちょっと笑える。イギリス側の裏側が全然描かれてなくて、本当に深みの無いガキ大将なんだよね…。
だからなのか復讐劇もだいぶ勧善懲悪的というか(いや勧善してないけど)、思ったよりカラッとしていた気がしてね…そこは残念だった。

でも主人公ふたりの英国人への反抗心を、むしろ今の情勢に重ねて観たという人も沢山いるようだ…。そう考えると、確かに制作側にはその意図もあったのかもしれないと思った。
表現できることが限られるようになると、受け手にもハイコンテクストな鑑賞が求められるのかもしれない。

広東語セリフの小話

断片的にしか聞き取れなかったけど印象的だったフレーズや単語。間違ってたら教えてください…(笑)

「清楚!(ching1 cho2)」
→了解!ラジャー!の意味で子分たちが連発していた。「はっきりしている、クリアだ」という意味の形容詞。

「槍(cheung1)」
→銃、ピストル。これも劇中連発されていた単語なので見終わるまでに覚えられた☺️日常での役に立たなさが凄い。

「生死有命、富貴在天(saang1 sei2 yau5 meng6、fu3 gwai3 joi6 tin1)」
→生き死には命運が、富貴は天が決める。
つまり人生はどうにもならないという意味らしいのですが、非常に反語的に使われていたのが印象的。最初から天命に抗おうとする人のお話だものね…。

追龍2、もう公開されてるらしいよ

1が日本公開になった矢先ですが、本国では去年既に2が公開されたらしい…はや……。
次作はまた別の実在のマフィアの話で、レオン・カーフェイとルイス・クーがダブル主演とこれまた凄い大物キャストです。
なんというか、資金力って、すごいね……😌

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