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本当の右翼とは

ニュースを見ていると「北朝鮮のミサイルが飛んできて政府が遺憾の意を…」とか「韓国で慰安婦の像が建てられ…」「中国が尖閣諸島を…」と言ったように日本と近隣諸国を分断するような報道が流れる。

特に第二次安倍政権以降は親米派の内閣ということもあり、特に中国や北朝鮮に対して強気な態度が増え、マスコミ報道も政府に乗っかるように批判的なものが増えた。

そしてネットには「〇〇人は帰れ」「〇ね」「ゴキブリ以下だ」などと、日の丸アイコンや旭日旗アイコンの愛国者を名乗る人達によるヘイト発言が目立つ。

武蔵野市で外国人にも投票権を与える条例が議論になったときもJR東日本の吉祥寺駅で排外主義的なデモが起きていた。

これらを見ると、右翼の人は中国や韓国などのアジア諸国を見下したり罵倒したりする人達だと思われるかもしれない。

だが、それが本当に右翼と呼ばれる人達の姿なのだろうか。

何か引っかかったわたしは日本の右翼の源流を辿ってみた。
そしてある男にいきついた。

それは頭山満。

頭山満

写真は晩年の頃なので歳をとっているが、若い頃から武闘派であり、かつ知的でインテリジェンスをかね揃えた人だった。

彼の生まれは幕末であり、幼心で日本が欧米列強の植民地支配に対抗する姿、そして隣ではアジア最強の大国であった清王朝ですら欧米列強の前では手も足も出ない姿を見てきた。

勤皇派の流れを汲む男装の女医で儒学者の高場乱が開いていた興志塾で勉学に励むが、ここで進藤喜平太、箱田六輔らと出会い、ともに学ぶ。

彼らとはのちに玄洋社を立ち上げ、これが日本で最初の右翼団体となる。

時代は明治となり、頭山も青年になると世の中では憲法を作れ、国会を開けと主張する自由民権運動派と政府が対立をしていた。

右翼と聞けば自由民権とは真逆にいくと思われるが、頭山は自由民権運動に参加した。

この時に玄洋社を立ち上げたが、この団体の基本精神は憲則三条と呼ばれる下記のものだ。
* 第一条 皇室を敬戴すべし。
* 第二条 本国を愛重すべし。
* 第三条 人民の権利を固守すべし。
皇室を大事にしなさい、国を愛しなさいとともに人々の権利(人権)を守りなさいと言っている。

昨今の保守や右翼とは大違いだ。

同時に日本が欧米と結ばされていた不平等条約の撤廃にも奔走している。

また、当時清王朝の植民地であった朝鮮で独立のために「独立党」を組織して戦っていた金玉均を支援している。

それ以降も頭山はインドの独立運動家ラースビハーリボースの亡命に尽力したり、中国で革命を起こそうと戦っていた孫文や蒋介石に支援をしたりとアジア諸国が欧米列強の植民地から独立するために戦い続ける。

しかし、第一次世界大戦以降火事場泥棒的にドイツの東南アジアの権益を奪った日本が中華帝国に対して対華21ヶ条要求を突き付け、中国大陸やアジア諸国に領土的野心を広げ出す。

その姿勢に疑問を持ち続けていた頭山だったが、ついに日本は中国との全面紛争に突入してしまう(支那事変)

この時頭山は自身が以前独立運動の支援をして懇意でもある、中華民国トップ蒋介石との和平会談を実現するべく奔走する。

しかし、この和平会談は2度構想されるもどちらも政府によって潰されてしまう。

そして支那事変が泥沼化し、ついに英米との大東亜戦争に発展。

戦争末期の1944年、静岡の山荘で囲碁を打っている時に突如倒れて永眠した。

頭山は生涯を通じて不平等条約の撤廃、日本の真の独立、そしてアジアの国々との団結を主張していた。

また、先に述べたように皇室や国を愛するだけでなく人権を大事にしていた。

国権主義により過ぎているときは人権派に寄り、人権が強すぎた時は国権による。

非常にバランス感覚のある思想の持ち主であった。

昨今、保守とか右翼と呼ばれたり自認する人々や政治家はアメリカやヨーロッパに媚びへつらい土下座をしてまるでアングロサクソンの靴底を舐め回すかのような態度を取る。

しかし、返す刀で同じアジアの同胞である中国人や朝鮮人に差別的なヘイトを浴びせる。

だが、これが本当に右翼とか保守と呼べるのか。

それで本当に愛国者だと名乗っていいのか。

かくいうわたしもメディアが北朝鮮のミサイルとか韓国の慰安婦デモとか中国がどうのこうのとか煽るような報道を見ると感情的に批判したくなってしまう時もある。

わたしも含め、改めて頭山満や玄洋社から学ばなくてはいけないのかもしれない。

今回はちと短め。

最近ネタが浮かばず読書をする気にも映画を見る気にもならなかったのであるマンガを読んだところそれが頭山満の話でこの話題を思いついた。

今回頭山満と玄洋社…そしてアジア主義を語るにあたって読んだ本です。

まず最初の3作品は久しぶりに震えた作品です。
そう、まさに無気力の中読んだある漫画です。

ゴーマニズム宣言は漫画なのに扱う内容は全て時事ネタで、しかも内容はそのへんの参考書や歴史書なんかより濃くて参考文献の数も膨大なので圧倒されます。

たまにコロナやワクチンの陰謀論とか言い出すのでズッコケますけど…

しかし一時期はAKB大好きおじさんになっていた小林よしのり先生が改めて衰えていなかったと感じました笑

次に中島岳志先生の書籍をいくつか。
中島先生はわたしが最も尊敬する西部邁先生のお弟子さんであり、アジア主義やインド哲学や政治思想の専門家です。

なので頭山自身というよりアジア主義の観点からの本が多いです。

特にひとつ目の作品はまだ10代の頃に読んで大変感銘を受けた作品なのでおすすめです。


他に3冊ほど。

本読むのが大変な方はこちらを。


ということで今回はこのへんで。

たかが3000字すら書けなくなっている自分がお恥ずかしいですが…

アデュー。


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