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私の私による私のための旅(長崎編)⑤VIPな私をもてなす旅 Day2後半

朝の出島散歩からの昼食も出島

 年パスを買ってから予定通り3度目の出島インパーク。私にとって、出島はディズニーランド的存在。目の前のゲストハウスはさながらディズニーホテル。そんな自分的ラグジュアリーな旅も最終日後半に差し掛かろうとしている。素敵なカフェでモーニングを食べ、朝の散歩は優雅に出島。これ以上の贅沢があろうか。

 朝の出島もまた魅力的。前日の夜歩いたところの朝の姿を見よう、と同じルートで辿る。昔の人の暮らしが再現してある部屋、昨日は窓から夜景が見えていたけれど、今日は光が射していて照明がキラキラ反射している。私が特に気に入った和洋折衷の建物の襖や壁紙の唐紙の模様もハッキリ見える。
いつか自分が住む家の壁紙をこんな素敵模様が入った唐紙にしたい、とさえ願ってしまう。襖の部屋に西洋的なシャンデリア。窓はゆらりとうねったガラス。うっとりと眺め、何枚も写真を撮った。
 
 家族で沖縄に家族旅行をした時に、珍しく私が「どうしてもここに行きたい」と家族に言った場所がある。それは昔の人が暮らしていた様子を残すために保存されていた古民家。そこで子どもに「母さんは古民家が好きだね」と言われて気付いた。めちゃくちゃ好きなのに、それまで気付いていなかったのだ。遡って考えると、私は小学生の時から暇さえあれば一人で自転車に乗り、町の歴史資料館に通っていた。昔の人が使っていた道具や家の様子を見ると飽きなかった。私はずっと「古い建物や道具」が好きだったのだ。

 出島を見て周りながら「そうだ。お昼ご飯もここで食べよう」と思った。宿に戻り、預かってもらっていたバックパックを受け取ったらまた出島に戻る。24時間の長崎滞在中、4度目のインパーク。もう思い残すことはない。

 長崎最後の食事は、出島内にある、かつて日本人と西洋人の社交場だった「長崎内外倶楽部」(今はレストラン)で取ることに。歴史的な場所にどっぷりと浸かりながら念願の初トルコライス。サラダにナポリタンスパゲティ、カレーライスの上にはトンカツ。さすが「大人のお子様ランチ」と言われるだけあって、カラフルで目にも美味しい。
 グラバー邸で有名なグラバーさんの息子さんの名前は倉場富三郎さんって言うんだな…なんてかつての社交場に想いを馳せながら、ゆっくりゆっくり味わった。

日本二十六聖人を参る

 前日大浦天主堂に行った時に気になった日本二十六聖人記念館を最後の目的地にした。帰りのバスに乗るバスセンターの裏を5分程歩くと、そこにある。そこで長崎らしい急な坂道を味わう。汗をかきかき上った先には、二十六聖人等身大のブロンズ像はめこみ記念碑が。
 子どもの頃学校で「隠れキリシタン」や「踏み絵」のことを学んだ時、「その場だけ嘘をつけばいいのに」とか「神様が本当にいるなら、こんな風に死ぬことを良しとするんだろうか」なんて考えていたけれど、四十数年経った今も私の中身はあまり変わっていないらしく、「なぜ」という気持ちがいっぱいだった。

 そして改めてこの記念館に来て、彼ら一人一人の覚悟や想いを知っても尚、「なぜ」の気持ちは消えなかった。この気持ちを持ち帰ろう。今後も彼らの想いを想像してみよう、そう思った。

 帰って来て息子にその話をすると「屈したくないっていう気持ち、わかる気がする」と言っていたので、ハッとした。私は昔から「自分がわかっていれば十分だ」と思いがちで、屈するということにこだわりがない。それは平和な時代を生きているということなのかも知れないし、或いは私にそれ程強い想いがないからなのかも知れない。

 帰って来た翌日は終戦記念日。私みたいな信念では平和は維持できないのかも知れないな、なんて思った。誰が何と言おうと屈したくない、そんな気持ちを強く持ち続ける人に強く惹かれるからこそ、私は彼らのことが気になって仕方なかったのかも知れない。

昨日の私とは違う

 大なり小なり、旅って人に大きな影響を与えると思う。一人旅はずっと自分に「次はどこに行こうか」「お腹すいたね」と語りかける時間でもあるから、自分のことを改めて知る機会になりやすい。
 帰りのバスでうたた寝をしながら、私は24時間前の私とは違う、と思った。日頃は後回しにしている自分自身をとことんもてなしとことん向き合う時間を経て、私は自分自身と仲直りをした様な気持ちになった。

 長崎はただ独特で興味深い街というだけではなくて、その背景にちょっと変わった歴史があり、今そこにいる人たちだけではなくて遠い昔に想いを馳せることができる、良い旅先だった。単に場所だけを移動するのではなく時代を遡ったりするから、立体的な旅をした気がする。

 旅を通して私は自分自身と新しい感情をもっと知っていくし、幾つになっても伸びしろ十分だって思える。さ、次はどこに行こうかな。

*ここに上がっているお店等の名前や営業時間等は2024年8月時点の話なので、時間が経って読んでおられる方はご注意ください。


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