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<続>コロナのあっち側とこっち側

 これは2022年1月に新型コロナウイルス感染症に感染した時の話の続編です。必要な人に届きますように。

 最初に。私が新型コロナ感染症にかかった旨を教室の生徒や関係各位に公表したことで、不安を抱える方々からの質問や相談が寄せられる様になった。 そこから見えてくる事実は、それくらい情報が少ないってこと。

 なる前は、ネットにも巷にもテレビにもコロナの情報が溢れかえっている様に見えているでしょう?でもね、実は本当に必要になった時に役立つ情報はほとんどない。そういういうことがよくわかった。

 正しかったな、と思う情報は「保健所がパンクしている」ということ。

 では、2022年2月1日時点の最新情報。情報は常に更新されるので、少し後にこれを読む方は、情報源としないように。少し時が経ったら、これは歴史的な書物としてご覧ください。

最新情報(2022年2月1日時点・福岡・私のケース)

 濃厚接触者として保健所にお願いをしてPCR検査を受けた際「陽性」が出た私には、その翌日から保健所からの健康観察電話が入り始めた。
 ちなみに当初、濃厚接触者としての私には何の連絡もなく、家族が感染者になったためその家族宛に確認の電話が入っただけだった。その際にこちらから一方的に「PCR受けます」と予約したのだ。私がそう言っていなければ、その電話では濃厚接触者についての言及はゼロ。こちらから「同居しているのだけれどPCR検査はしてもらえないのか」と頼んでやっと「希望するならどうぞ」という感じだった。電話のイメージでは「最低限の確認」というイメージ。
 現時点では、感染者の確認さえ十分に出来ていない(感染2日後に連絡があったくらい)のだから、濃厚接触者にまでは手が回っていないイメージ。
 
 毎日熱や状態を聞く保健所の人からの電話の最後に、聞きたいことを尋ねる。「隔離が終わる頃、確認の検査はあるんですか」「いいえ。ありません。日数が10日経過していて体調が戻っていれば、復帰OKです」え?
もちろん濃厚接触者も検査なし。保健所が面倒を見てくれる検査は一人一度きり(一つのケースにつき?)ということなので、この場合家族は「気になるなら自費で検査してください」とハッキリ言われた。

 そして、保健所からの様子見連絡も5日目で一旦打ち切り、その次は最終日の10日目であるということ。私は今日が5日目だったので、明日からの連絡はないということを告げられた。

 以上の点より、テレビで「保健所が回っていない」といっていたことは正しいと思う。そして私が一番怖いと思ったのは、復帰の判断はほぼ本人。感染者はともかくとしても、濃厚接触者も隔離を始めて10日間(後に7日間に変更あり)経てば検査もせずに野に放たれる。
 そして私の周りの感染する人の多くが、接触から3日後に発症している。大丈夫なのか、というのが実感。

素人の隔離生活

 この度のオミクロン株の感染力が半端ないということも、テレビが言っていた通り。でも肌感としては、報道以上。私も看病していて感染した口だけど、「知らずに感染」パターンとは違ってハナからコロナとわかってめちゃくちゃ気をつけて接していただけに、一体いつ?どこで?不思議しかない。

 確かに最初に行った病院では、先生方は防護服みたいなのに手袋、顔にはシールドにマスクにメガネ…と完全過ぎるくらいの完全防備。それに比べて私なんてほぼ丸腰で突然濃厚接触者になったもんだから、防御グッズを買う暇もないまま。以前薬局で買ってきた除菌シートが最大の武器で、それ以外はビニール袋を手にはめたりしながらの看病。食器はどこまで洗ったらウイルスが落ちるのか、洗濯機も「洗濯槽クリーナー」はどこまで除菌してくれるのか。知らないけれど自分が知る限りの除菌をしてみた。
 でも、敗れ去った。

 一時期あっていた「ホテル隔離」なんて言葉は保健所の方は一言も口にしていないからもう消滅したのかな。後から市役所に電話した時に「あれ?ホテル隔離とかないんですか」って聞かれたけど、私は知らない。テレビで見た対策はもう過去のもの。隔離期間も昨日と今日で変わる、くらいの目まぐるしい変化。そしてそれを教えてくれる機関が回っていないのが現実。

 新型コロナウイルス感染症の怖いところは、誰にとっても未知であること。こちら側には新参者の私、医療無関係の知識も皆無で生きてきた私のはずなのに、感染したってだけで市役所の方から質問されたりする。保健所の方に質問しても「お任せします」的な反応で、ホームページに隔離期間が載っていますので、それを見て自分で仕事場に相談してください。
 結局この相談に乗ってくれるプロはおらず、それぞれのケースにそれぞれの判断で対応しなさい、ということなのだ。

塀の外

 もう何日も同じ部屋で生活している。仕事は幸いオンラインで済むので、本当に同じ椅子に一日中座っている感じ。刺激って大事だ。
部屋の外に出て、家の外に出て、誰かと挨拶をかわしたり話したりする。ちょっと不快になるようなおかしな人を見ることも、大好きな人と会うことも、全部が必要な刺激だったんだと感じる。毎日の小さな刺激の積み重ねが、私を四方八方から支えることで、私は立っていられたんだと思う。
 部屋の中の私は、クラゲみたいに浮遊している。一日中。人と話していないと、突然話した時に自分の口から何が出てくるかわからないな、という変な恐怖がある。

 隣の部屋にいる家族や離れて暮らす家族と昼ごはんを食べながらzoomで話したりするが、外に出るなんて話を聞くと「外の写真送って」と言いたくなる。スマホのアルバムを開いて、家の周りの景色を懐かしく眺める。重症だ。

 友達が夜にLINEをくれた。
「家族や周りに誰もいないとき外の空気吸ったらいいよー」
 そっか。なんだか「隔離生活」と言う言葉に慣れ過ぎて、私は真面目にほぼ一歩も部屋を出ない生活をしていた。夜中にこっそりベランダに顔を出すくらいいいじゃん。
 まだ寒いと思っていたけれど、少し寒さが緩くなったような風が頬を撫でる。雨が降り出しそうな空ではあったけれど、私にはとびきり美しかった。
気がついたら世界が狭くなっていた。本当に無意識で。
「誰かにうつしたらいけない」とどんどん自分を追い込んで、心も体もせせこましくなっていた。

 こんな病は嫌だし、こんな状況も最悪だ。
でもこの隔離が終わったら…
「外の空気吸ったらいいよー」
私も人にそんな声をかけてあげられそうな気がする。
コロナになるまで考えたこともなかった世界。
そういえば、つい1ヶ月前のお正月に掲げた今年の目標は「味わう」だった。仕事が始まり、また毎日が動き出して「味わう」ことを早速忘れていた私。

 ここを出たら、素敵なものも不快なものも、なんでも味わい尽くそう。
そうしよう。


<追加情報>
●隔離期間
コロナ感染者は発症日を0日として10日間の隔離。
最後の3日間平熱と症状が落ち着いてきたら、保健所判断で11日目から普通に生活して良い、となる。濃厚接触者は接触を経ってから7日間の隔離。
(治ったかどうかの検査はなく、保健所の聞き取り判断。濃厚接触者は日数の経過のみで自主判断)

●感染者、再・濃厚接触者説は?!
一旦感染した人は、家族が遅れて発症した場合も家庭内で隔離されていれば再び「濃厚接触者」になることなく、普通の生活を送って良いとのことでした。
by 保健所

●救援物資
救援物資は、市に自分で申請すると届くらしい。私の市の場合は身近に頼れる人がいないかどうかの聞き取りがあって、身近に親戚や頼れる人がいる場合はダメだった。

●自宅療養
自宅療養されている方には、保健所の方が電話での問診の際に24時間対応の専用ダイヤルをお伝えされてます。
体調不良を感じたらそちらに電話ができます。(by保健所)

●ホテル療養
ホテル療養は、希望すればOKになることもある。PCR検査同様、その家庭家庭で事情が違うので、自分から言うことが大事。保健所はこちらからかけてもなかなかつながらないので、様子見でかかってきた時を狙っていろいろ尋ねたり頼んだりしてみると良いと思った。

●民間の保険や共済
今は保険や共済の会社でもコロナに対応しているところが多い。人に聞いて調べてみたら、早速私も共済の会社でも「自宅療養」で入院保険が出そう。申請してみる。みなさんも調べてみてください。
その場合は、保健所から発行される就業制限通知書が療養証明になるそうです。


※追記(2月3日)
 これが保健所の方への不満と伝わってしまっていたら、大変申し訳ないです。物理的に回るわけないことは承知の上で、私は常に何かうまくいっていないことは現場の方というよりそのシステムの上を見る必要があると思っています。学校・保健所・役所…などいつも大変なのは現場の方々で、窓口となる方と最終決定をしている方々は違う、ということは常に心に留めています。

 夜遅くまで問診の電話をかけてくださる保健所の方々には感謝しかありません。私はその保健所の方々のご苦労も含めて、ただ現状を感染者の目線でお伝えしたいと思っています。
 そして、私が知り得たことをシェアすることで、不安に思う方々の不安や不満が少しでも取り除かれることを祈ってこれをシェアしています。

↓コロナ最終章



 

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