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Love Yourself

 私の肌は褐色。
夏、どこも行かずに普通に日常生活を送っていても、上司から「あれ?なみおさん、ハワイに行ってきたの?」と言われるくらい、日に焼けやすい。
その上司のコミュニケーションの目的は不明だが、からかい半分であったことは間違いない。そんな風に、世間の「色白は素敵」という雰囲気が、知らない間に私の肌の色にコンプレックスを感じさせていたのだろう。若い頃はそれなりに白い肌に憧れたりした。
 でも今となっては、私の肌の色は私のお気に入り。「きっと私のルーツはアジアの遊牧民だと思う」と自分のルーツに想いを馳せて、この肌は私らしさそのものだと自慢にさえ思う。

 人にそれを話すと「それは、なみおさんだから出来ること」と言われる。確かに私はおめでたい。でもおめでたい見た目と裏腹に、人からの反応を人一倍恐れる自分もいる。わざわざ人には言わないけれど。でも、生まれつき幸せな毎日を過ごせる人なんて、なかなかいないと思う。
「自分には無理」と思うことで安心するのは結構だけど、自分もそうなれるかも知れないと受け止めてみるだけで、一生ものの安心を手に入れることが出来るのに、と思う。

 私が自分の肌のことを好きになったのがいつのことか、覚えていない。ただ、これは肌が始まりではなく「自分が自分の味方になった」時が始まりであろうと思い出す。
 ある時、ある出来事をきっかけに、私は完全に詰んだ。前にも後ろにも動けない。後悔と絶望でいっぱいになった。不安でたまらなくなった。が、性格的に人に頼れない上に、唯一頼れる人には状況的に頼れない。泣いても叫んでも誰にも助けてもらえない状態になった。いよいよ身動き出来ないと思った時、何かが自分の中で終わった感じだった。諦めにも似た感情。だったけど、身動き出来ない程がんじがらめだった身体が楽に動き出した様な気もする。

「私は、これ以上何も出来ない。」 それを自分が認めたのだ。

 それまでは少しでも出来なくなったら、その自分に苛立ちや焦りを覚えていた。誰にも困った自分の姿など見せたくなかった。でも底についたところで、究極の諦め状態になったのだ。もはや苛立ちさえ覚えない。あらゆる感情が湧いてこない。それと同時に自分がかわいそうになり、愛おしくなった。

「今までよく頑張ったよね。もう出来ることはやったから、後は白旗あげて生きていこう。自分はここまでです、って正直に人に言おう。」

 そこから私の心は軽くなった。不思議なことだけど。
それまでは白旗なんて絶対上げたくなかった。自分の良いところだけを人に見せたかった。でも、もう立っているのも精一杯の状態は誰かが受け止めなければ。そこで私自身が受け止めた。私を。

 そこから自分自身との距離が急激に近付いた。仲良くなってみると、自分は可愛い。面白くて、もっと語り合いたいと思う。
そうやって最悪の自分を受け止めたことで、自分自身の声をもっと聞こうとという気になった。そして聞くとわかることもたくさんある。納得できることも腑に落ちることもたくさん。「詰む」のは辛い。自分から目をそらして逃げていきたい。他の何かに依存したり、八つ当たりしたりしたらそれも良かったのかも知れないが。私は自分を受け止めることにした。
そして、今、人生で一番の安らぎを得ている。

 なみおだから出来る?
私はそんなに素晴らしいことはしていない。ただ、詰んだ自分を面倒見始めただけ。
あなたもどうですか。
試しに、泣きたくなったら、自分で「よしよし、泣いていいよ、よく頑張ったじゃないの。」ってしてあげてみてください。
何が悪かったとか、どうしたら良かったって過去を振り返って反省するのは止めましょう。今ある流れを受け止めて。ただ踏ん張った自分自身を褒めてあげましょ。そこから道は拓けるでしょ。拓けなくても歩けます。あなたはもう一人じゃないから。

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