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教える人のハニラミメソッド

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私は英語教師です。自分の運営する教室、生涯学習センター、親子サークル、小学校などでほとんど全部の年齢の皆さんに英語をご指導しながら見つけたアイデアや考え方をシェアします。 もし…
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#学校教育

先生

 ある本に「先生が何を教えなくても、モゴモゴ言ってるだけでも、響く生徒には響く。その子は先生の表情や言葉から何かを感じ取って「ということは、〜ですよね」と教えてもないことまで学び取る、というのがあってとても好きだと思った。内田樹さんの本だったと思う。  そしてこの記事も大好きだった。やっぱり指導者大事。  え?前のと後の、内容逆やんって思うでしょう? 私も自分の中のこの2つの考えが対立してる気がしてずっと気分悪かったけど、まさにさっきこの記事読んでて気付きました。  大

手を伸ばしたらいつでも

 私は小さな英語教室を運営していて、週に一度小学校に英語指導のお手伝いに出かけ、一ヶ月に数回大人の方の英会話、また毎週オンラインで遠くに住む人たちの英会話や日本語の伴走をする。そこで心がけていることは、 「その人をその学びから遠ざけないこと」 その人が嫌になる程に私が頑張らないことだ。先生というのは、どれだけ熱意を持って生徒に教え込むかが大切、みたいな感覚があるけれど。実際は生徒を手取り足取り学ばせるという行為こそが、間違いであると今は断言出来る。教育者としてすべきことは、ズ

小学校英語で国境を超えてけ!

 小学校での一コマ。 今日はいろいろな国の動画を見る授業だったのだが、ロシアの女の子が出た時にどのクラスもざわめいた。ロシアに対する悪口がポツリポツリ。  「今日は英語の授業なんてどうでもいいや!」って思った。  「英語を学ぶ前に大切なこと」というお話を入れた。もちろんプランには無い。でも今日一番大事なこと。こうして子どもたちがちゃんと本音を話してくれるから、その時に一緒に学べる。英語の先生の役割を超えている様にも思うけれど、英語を学ぶための大事なマインドのウォーミングア

Help me.

今日は小学校英語で、あるゲームをした。 そのゲームでは、わからない子は助けてもらわなければいけない。私が困った子の役をして「私は何をすれば良いと思う?」と尋ねると、子どもたちは「助けてあげたらいい!」と。  いや、周りの人が、じゃなくて「私は」何をすれば良い?  誰かが"Help me!"と小さな声で言った。そう。それなの。 日本語でもいい。とにかくわからないよ、教えて。助けて。そう周りに助けを求めるの。助けてもらって言える様になったら、それでOK。  みんなが完

みんなで幸せになろう

 私は自分のコラムで、よく「大人はこどもの邪魔をしないでおこう」と書く。それは何より自分へのメッセージ。私たちは長く生きている分賢くなっていると言えるかも知れないけれど、その経験やそこから得た影響によっては退化していると言わざるを得ないケースも多い。そして最近残念な方の大人をよく見るからこそ、これはやはり声を大にして「こどもの邪魔をしないでおこう」と言わなければいけないと思う。 教育ビジネス=shit  私は教育を主な生業としている。いわゆる教育ビジネス界の端っこにいる人

新時代の学び 気づいたもん勝ち

 「最近中学校で教科書の全訳が配られている」と聞いた。 訳に至るまでの過程が語学の楽しさ。それをただ配られて試験の準備をするだけなんて。語学の楽しさを伝えたいと思っている私の様な講師にはにわかに信じがたい。そういえば、よく英検の長文とかリスニングの話をすると「そんな会話ありましたっけ?」って言う子がいるけど、内容を味わわずしてテクニックだけで解いたのか、って驚く。    資格試験も受験も必ず攻略法があって、そこだけを知って近道するのが良いと思われている。だから塾選びとか学校選

子どものことは子どもに聞け

 英語教室で、私は下は0歳から上は一応中学生で送り出す様にしている。(その後ご要望があったら、その先もう少し続く…) だから、同じお子さんの成長の根っこの時期を十数年、かなり長い間一緒に見守らせていただくことになるのだ。 カオスの中の英語はリアル  幼児でやってきて、教室の中を歩き回ったり突如ゴミ箱の上に立っていたり。トイレに行ったかと思ったら全然出てこない…水道がいつの間にか出しっぱなし…英語どころではないと思いつつも、子どもたちは私の真似をして "Oh, no!" あ

対話の練習

着地点のない対話って大好物。 なぜかどっちかの意見に合わせようとか着地点を決めるから、私は学校の議論とか道徳とかが苦手だったのかも知れないな。  ただ「違いを知る」だけの会話。楽しい。 そして子どもたちを見ていると、シェアし合っている間に少しずつその子の本当が見えてくることってある。最初乱暴で雑な話し方をしていても、少しずつ考えて本音を語り出す。話し方が上手じゃなくてもいい。でも話し続けないと上手に伝えられる様にはならない。大人はどうしてもその途中で代わりに言ってあげた

子どもってすごい

 私は授業中の立ち歩きはあまり気にしない。でも注意をする時は必ずきちんと理由を伝えて丁寧にお願いをする様にしている。命令ではない。  「クラスでは、見たい人が見られて聞きたい人が聞けるようにしてくださいね」  それがお願い。立ち歩きはOK。でももし誰かの前に立ちはだかってしまって見えなかったら、理由を言って気をつけてもらう。人の話にかぶってしまったら、ちょっと聞かせてほしいと頼む。大声でドッキリしたら、申し訳ないけど、先生は突然大きな音が出るのがとても苦手です、と伝える。

私の英検利用法

 これは教室のおうちの方々から「英検とは」とお尋ねがあったので、シェアするために書いてみました。もし「英検とは」と思う方がおられましたら、「こういう考え方もある」という感じでご覧ください。  私は英検準1級を持っています。1級は?と聞かれますが、私にとって1級はマニアの世界なので、そこはもっと英語マニアになりたい願望が出てきたら取り組んでみたいと思っています。  ではなぜ準1級かというと。日本では「私、英語話せます」と言っても証明する機会も方法も余程特別なケースでない限り、

インクルーシブって、なぁに? 

 SNS散歩を楽しんでいる時に出会ってハートがギュンと吸い込まれたこの本、書店には並んでいないということで紹介されているサイトから申し込んで読了。  「子どもを分けない場」って、魅力的なワード。人々はこれを見て古いって思うんだろうか、新しいって思うんだろうか。 今時代の最先端は「人を分けること」で、自分や我が子がいかに「勝ち組」の方にいるか、そればかりに心奪われている人も多いかも知れない。 私に寄せられる質問の中には「英語のクラスは出来る子と出来ない子を分けるのですか」とい

映画「夢みる小学校」感想

 ずっと気になっていたオオタヴィンさん監督の「夢みる小学校」を観てきた。映画の広告にあったのは、「宿題がない、通知表もない学校」「大人も子どももこんな学校に通いたかった」という言葉。  正直私はあまりにも教育や子育てに近いところにいるばかりに、こういった「特別な」ケースにあまり惹かれない。みんなが憧れること、みんなしたいこと、でも社会が変わらないから仕方ないじゃん、という子育て中の皆さんの声を日々聞いていて、手放しで理想を追い求めることの難しさを常に意識してしまうから。  で

これからの教育(私の仮説と確信)

 私の職業は英語講師だけれど、英語教育と同じくらい研究し続けているのは子どもを取り巻く環境。子育て。教育。 最近風呂場で娘に大発表した私の仮説は、「勉強が出来ない子どもはいない」というもの。誤解を恐れず言うならば、子どもには、否、人には"学びたい欲"がある。学ばなければいけない、のではなく「学びたい」欲。 どうやって食べ物を確保しようか、どうやって食べ物を腐らせずにずっと保存しようか…から始まって、より生き残りやすく知恵を絞り続けてきた歴史を振り返ってみても「考えること」「学

試行錯誤しない・させない不思議

自由な教育者  私はフリーの英語講師。自分の教室を持ち、週に数回は小学校で英語の授業をしたりオンラインで英語を教えたり、未就園児と英語で遊んだり、大人の方々と一緒に学んだりしている。そんな私の毎日は試行錯誤。 もうこの仕事をし始めて15年が経とうとしているが、それでも毎日が新鮮で毎日が発見。生徒はどんどん変わっていき、同じ生徒だとしても環境や成長でどんどん変わっていく。その時のその人の横を一緒に歩んでいると自分から見えるのとはまた全然違う景色が見えるし感情が見える。  私は