マガジンのカバー画像

教える人のハニラミメソッド

136
私は英語教師です。自分の運営する教室、生涯学習センター、親子サークル、小学校などでほとんど全部の年齢の皆さんに英語をご指導しながら見つけたアイデアや考え方をシェアします。 もし… もっと読む
運営しているクリエイター

記事一覧

外に出て 心を自由に

 最近自分の教室の子どもたちによく言うことがある。 「自分の中に興味が湧いて、チャンスがあったら絶対に海外に少し長く行って欲しい」ということ。少し長く、というのは観光というよりは少しじっくり人を観察できるくらいの余裕がある期間、という意味。  今までよく英語の先生の知り合いが「海外に言って英語を学んで欲しい」と言っているのを聞いて、私は100%賛成ではないな、と薄く感じていた。英語を学ぶなら今だったら国内でも十分だし、それのためにわざわざ海外に行っておいで、とは言えない。少

小学校英語って

 小学校英語、最後の授業が終わった。 病気療養のため、小学校英語一旦お休み。次に小学校に行く時、現場はどう変わっているのだろう。2011年から携わって、現場にいてもその環境が年々悪化していることを感じた。  講師でありながら「英語をしている場合か?」と思うこともあれば、逆に「英語の時間が救いになることもある」と思うこともあった。  2010年。小学校英語指導者の研修時に言われた「(何もジャッジされない)英語の時間だからこそ、無条件で褒められる時間になり得る」という言葉をず

私の教室 こだわりの場所

 私は小さな英語教室を運営しています。 最初は家族だけで生徒は5人。15年経った今ではその数倍の子どもたちが通ってくれています。  「楽しむ」ことだけを掲げている教室なので、世間では目的が変わってくる中学生になると、自動的に卒業です。中学生になるとみんな、他の目的のために英語を頑張り始める。テストで良い点を取りたい、希望する進路に就くために英語力を高めたい。とても素敵なことです。  でも、それはしばしば私の「楽しむ」という目的から外れてしまうので、私は出しゃばらず私の範疇で

先生

 ある本に「先生が何を教えなくても、モゴモゴ言ってるだけでも、響く生徒には響く。その子は先生の表情や言葉から何かを感じ取って「ということは、〜ですよね」と教えてもないことまで学び取る、というのがあってとても好きだと思った。内田樹さんの本だったと思う。  そしてこの記事も大好きだった。やっぱり指導者大事。  え?前のと後の、内容逆やんって思うでしょう? 私も自分の中のこの2つの考えが対立してる気がしてずっと気分悪かったけど、まさにさっきこの記事読んでて気付きました。  大

"どーでもいいこと"を敢えてシェア

 フリーランスの英語講師。基本的に私の授業プランは自由。以前は人に見てもらって意見されることが必要なんじゃないか、と思ったこともあるけど。ある時に学校の研究授業に参加してみて、ある若い先生の授業にいろいろな立場の方々が意見しているのを見ながら思った。 「どのアドバイスも、私にとっては的外れ」  多分それは「学校の先生として」必要な指導法だったからだろう。テーマが「いかに管理するか」「いかにゴールに導くか」で、それは私のゴールと全然違った。  というかそもそも私にゴールはない。

手を伸ばしたらいつでも

 私は小さな英語教室を運営していて、週に一度小学校に英語指導のお手伝いに出かけ、一ヶ月に数回大人の方の英会話、また毎週オンラインで遠くに住む人たちの英会話や日本語の伴走をする。そこで心がけていることは、 「その人をその学びから遠ざけないこと」 その人が嫌になる程に私が頑張らないことだ。先生というのは、どれだけ熱意を持って生徒に教え込むかが大切、みたいな感覚があるけれど。実際は生徒を手取り足取り学ばせるという行為こそが、間違いであると今は断言出来る。教育者としてすべきことは、ズ

小学校英語で国境を超えてけ!

 小学校での一コマ。 今日はいろいろな国の動画を見る授業だったのだが、ロシアの女の子が出た時にどのクラスもざわめいた。ロシアに対する悪口がポツリポツリ。  「今日は英語の授業なんてどうでもいいや!」って思った。  「英語を学ぶ前に大切なこと」というお話を入れた。もちろんプランには無い。でも今日一番大事なこと。こうして子どもたちがちゃんと本音を話してくれるから、その時に一緒に学べる。英語の先生の役割を超えている様にも思うけれど、英語を学ぶための大事なマインドのウォーミングア

Help me.

今日は小学校英語で、あるゲームをした。 そのゲームでは、わからない子は助けてもらわなければいけない。私が困った子の役をして「私は何をすれば良いと思う?」と尋ねると、子どもたちは「助けてあげたらいい!」と。  いや、周りの人が、じゃなくて「私は」何をすれば良い?  誰かが"Help me!"と小さな声で言った。そう。それなの。 日本語でもいい。とにかくわからないよ、教えて。助けて。そう周りに助けを求めるの。助けてもらって言える様になったら、それでOK。  みんなが完

英語力を伸ばす秘訣

 私の英語教室に体験に来られたら必ず言うことがあります。それは「うちの教室のモットーは『英語を嫌いにさせないこと』です」   「は?」ですよね。○歳までに英検○級取らせます!とか小学校で必要な英単語○語をここでカバーします!とかじゃなくて、「嫌いにさせない」ってなんやねん?と。  でもこれは私が15年(携わり始めてからは30年)いろんな現場で数千人単位の子どもを見てきて観察して、導き出した言葉。実は深いんです。  小学校で「どうしたら先生みたいに英語がペラペラになりますか

みんなで幸せになろう

 私は自分のコラムで、よく「大人はこどもの邪魔をしないでおこう」と書く。それは何より自分へのメッセージ。私たちは長く生きている分賢くなっていると言えるかも知れないけれど、その経験やそこから得た影響によっては退化していると言わざるを得ないケースも多い。そして最近残念な方の大人をよく見るからこそ、これはやはり声を大にして「こどもの邪魔をしないでおこう」と言わなければいけないと思う。 教育ビジネス=shit  私は教育を主な生業としている。いわゆる教育ビジネス界の端っこにいる人

reborn

 "Standing on the shoulders of giants." 巨人の肩の上に立つ  最初にこの言葉を聴いたのは、とある講演会でのこと。 海外で学んできた人のその話に私は魅了された。そしてこの「巨人の肩の上に立つ」という表現がとても気に入った。 それからいろいろな本で度々目にする様になった。  一番最近では『成功する家庭教育 最強の教科書 世界基準の子どもを育てる』という話題の本を読んだ時にもその言葉を見つけた。一人の人が経験出来ることは限りがある。

思い込み

 小学校最終日、4年生に話をした。最後に短く、1分間スピーチ。 私が英語の先生としてここにいる意味。伝えたいこと。  パラパラと手が上がる。悲しいことにその数は私が思っているよりも多い。クラスの半分になるクラスもある。生まれて10年ちょっとしか経っていないその間に、この子たちには何があったんだろう。  いつもはペラんとゲームしたりして盛り上がってるテンション高いおばちゃんだけど、今日は言わせてもらう。一人一人の目を見て、噛み締める様に伝える。  授業が終わったら、カード

新時代の学び 気づいたもん勝ち

 「最近中学校で教科書の全訳が配られている」と聞いた。 訳に至るまでの過程が語学の楽しさ。それをただ配られて試験の準備をするだけなんて。語学の楽しさを伝えたいと思っている私の様な講師にはにわかに信じがたい。そういえば、よく英検の長文とかリスニングの話をすると「そんな会話ありましたっけ?」って言う子がいるけど、内容を味わわずしてテクニックだけで解いたのか、って驚く。    資格試験も受験も必ず攻略法があって、そこだけを知って近道するのが良いと思われている。だから塾選びとか学校選

子どものことは子どもに聞け

 英語教室で、私は下は0歳から上は一応中学生で送り出す様にしている。(その後ご要望があったら、その先もう少し続く…) だから、同じお子さんの成長の根っこの時期を十数年、かなり長い間一緒に見守らせていただくことになるのだ。 カオスの中の英語はリアル  幼児でやってきて、教室の中を歩き回ったり突如ゴミ箱の上に立っていたり。トイレに行ったかと思ったら全然出てこない…水道がいつの間にか出しっぱなし…英語どころではないと思いつつも、子どもたちは私の真似をして "Oh, no!" あ