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【翻訳】アフィニティ・グループ入門

訳者より:このテキストはシャウン・エヴァルド編『行動の中のアナキズムーー方法・戦術・技術・工夫』からlibcom.orgによって2006年に引用され、編集を加えられたものです。これはエヴァルドが様々な運動体が発表しているハウツー記事を集めて編集したジンで、全文はここで読めます。pdfファイル版は347ページの大部です。このページによると、この「アフィニティ・グループ入門」のオリジナルはDirect Democracy Now!というグループによって書かれたもののようです。少し古い記事ですが、実用性はばっちりだと思います。もちろんアメリカの事情に即して書かれたものなので日本でそのまま使えない部分もあります。とくに逮捕される覚悟で行動するメンバーを集めるのは、日本とアメリカではだいぶ事情が違ってくるでしょう。なにしろ日本で逮捕された場合、起訴されなくても最大23日間警察署に拘留されてしまう可能性があるんです。この日本のやり方は代用監獄制度といいますが、そのヤバさに比して全く知られていません。こんな国は他にないんです。たいていの「先進国」では裁判なしに人を身体拘束できるのは1-3日程度。私に言わせれば、この制度によって日本の直接行動が制限されるところはかなり大きいと思います。2,3日程度なら「逮捕されてもいい」と思えても、それが2,3週間となれば個人としても運動体としても全く違う経験になります。直接行動なしに私たちが政治や社会を変えられるはずもないわけで、「代用監獄制度打倒」は結構重要テーマなんじゃないかなあ。…あ、だいぶ話がそれてしまいましたが、以下はデモや直接行動で仲間と協力し合うためのハウツーを説明したテキストです。日本でどういう風に実践するかは、これを読んだ人全員にかかっています。創意工夫しよう!
原文:https://libcom.org/organise/affinity-groups-an-introduction
Affinity groups: an introduction

多くの小規模グループにとって、「アフィニティ・グループ」は最も効果的な組織形態である。このページではアフィニティ・グループについて、その構造、用い方、歴史、アドバイスの情報を集めた。

■ アフィニティ・グループとは何か?

アフィニティ・グループとは、5~20人からなる小さなグループで、メンバーは直接行動や何らかのプロジェクトにおいて自律的に協力しあう。メンバーは友人どうしでも良いし、同じコミュニティ・職場あるいは同じ組織の人どうしでも良い。

アフィニティ・グループはトップダウン型の意思決定と組織化に挑戦し、創造的な直接行動を行う人々をエンパワメントする。 アフィニティ・グループというやり方なら、参加者は完全な自由と意思決定の権力をアフィニティ・グループに与え、自らが見たいと望む行動そのものに「なる」ことができるのだ。アフィニティ・グループはその本質からして脱中心的で、非ヒエラルキー的である。この二つはアナキストによる組織化と行動の重要な原則だ。

初めてアフィニティ・グループという型を用いたのは19世紀後半から20世紀前半のスペインのアナキストたちである。そして1970年代の反原発活動家たちによってラディカルな直接行動に再び持ち込まれた。彼らは脱中心的な非暴力直接行動を通して道路を封鎖し、空間を占拠し、米国の原子力あるいは戦争企業の「通常業務」を妨害した。

アフィニティ・グループの歴史は長く、興味深い。そこにはスペインのアナキストや労働者たち、そして今日のアフィニティ・グループや非ヒエラルキー構造、直接行動と組織化における合意に基づく意思決定を実践するアナキストや急進派たちの大きな貢献がある。

■デモにおけるアフィニティ・グループの役割

アフィニティ・グループのなかで、やるべき役割はたくさんある。例えばこういうものだ:
医療・救護 ‐ アフィニティ・グループによっては、デモ中のあらゆる医療・健康にかかわる問題に対処するための、訓練を受けた救護班を必要とするかもしれない。(訳注:こちらの世界各国の直接行動のための路上救護班のリストも見てみてください)
法的オブザーバー(監視弁護士) ‐ もしある行動に法的オブザーバー(監視弁護士)がまだいないなら、行動には参加せず警察の動きに注意し、活動家への権利侵害行為がないか気を配るようにする人を配置することは大事な意味を持つかもしれない。
メディア対応 ‐ メディアの注目を集めるような行動を予定しているのなら、アフィニティ・グループのなかの誰かが、メディアと話をしたり、スポークスパーソンとしてふるまう役割を担ってもいいだろう。
デモの妖精(action elf / vibes watcher) ‐ これはグループの広い意味での健康を守る人だ。例えば水を配ったり、マッサージを提供したり、歌やコールを始めるのを促したりする。この役割は必ずいなければならないという訳ではないが、一日がかりの行動で皆が疲れたりイライラしやすくなるような日に居れば特に心強いだろう。
交通整理 ‐ アフィニティ・グループが移動する場合、誰かが交差点で車を止めたり、広く路上にいる人々の安全に気を配って、車やその他の乗物から守るようにする必要があるだろう。
逮捕されてもいいメンバー:これはどんな直接行動を行うかによる。ある行動では逮捕される意思のある人々をある程度用意しておく必要があるかもしれない。また行動のある場面では逮捕されてもいい人数を最小にしておく必要があるかもしれない。どちらにしても、誰が行動を実行して逮捕される用意があるかを知ることは重要である。
逮捕者救援:これもまた、逮捕される(予定の)人がアフィニティ・グループ内にいる場合にのみ必要である。この役割を担う人は、すべての逮捕者との連絡先情報を把握し、留置所や拘置所に行き、弁護士と相談し協力し、誰が逮捕されたのかなどの記録をしておく。

アフィニティ・グループは単に抗議や直接行動の設定に便利であるだけではない。この組織形態は、以下で描き出すアフィニティ・グループの歴史を見ればわかるように、幅広い種類の目的に応用できる。

■ アフィニティ・グループの歴史

アフィニティ・グループという発想は、19世紀後半に始まり、スペイン内戦時にはファシズムと闘ったスペインのアナキストや労働者の運動に起源をもつ。 スペインのアナキズム運動は胸のすくような運動の一例であり、脱中心的な組織化、直接民主主義、そしてそれらを支える原則に基づいた社会の今日的な可能性を見せてくれる。

(かつてスペインでは)「テルトゥリアtertulia」と呼ばれる良き友人たちの小規模サークルがカフェに集まり、行動のアイデアや計画を話しあっていた。1888年、それはヨーロッパにとっては激しい階級闘争の時代であり、スペインにとっては反乱と闘争の時代であった。スペイン地方のアナキストの組織はこのテルトゥリアという伝統的な形態を組織化の基礎とした。

数十年後、イベリア・アナキスト連盟(FAI)は5万もの活動家を擁し、彼らをアフィニティ・グループへと組織し地域、地方、そして全国レベルの評議会という連盟をつくらせた。 FAIのアフィニティ・グループがいくつかあれば、どこであっても地域連盟を結成した。それぞれのアフィニティ・グループが代表者を委任して委員会を作り、地域連盟を組織するのである。委任された代表者は地域連盟から地方委員会へ、そして最終的には半島委員会に送られる。 各アフィニティ・グループは自律性を保たれ、それぞれが教育を行い、組織化し、地域の闘いを支えた。グループが親密なものだったおかげで、警察が入り込むことは難しかった。

組織(化)に基づいた大規模なアフィニティ・グループという発想がアメリカに導入されたのは、1977年4月30日、2500人の人々がアフィニティ・グループとして組織され、ニューハンプシャー州シーボックの原子力発電所を占拠したときだった。成長する反原発運動と軍縮運動がこの形を受け入れ、これを用いて1970年代から80年代にかけて多くの行動を成功させた。それ以来、中央アメリカの連帯行動、レズビアン・ゲイ解放運動、アース・ファースト!あるいは地球解放運動など様々な運動がアフィニティ・グループを実践している。

最近では、シアトルでは反WTO行動、ワシントンでは反IMF・世界銀行、またフィラデルフィアやロサンゼルスでは共和党・民主党の全国大会への抗議といった、大規模な大衆行動の場面でもアフィニティ・グループが用いられている。

■「クラスター」「スポークスカウンシル」とは何か?

クラスターとは、特定のタスクや大規模行動の一部分を協力して担うために、複数のアフィニティ・グループをグループ化したものである。こうすれば、特定のエリアを占拠したり、数日間にわたる行動のうちの一日をオーガナイズしたり、集まって大衆路上演劇パフォーマンスするといったことを、そのクラスターによって行える。クラスターは、それぞれのアフィニティ・グループの出身地に基づいて決めることもできるし(例えばテキサス・クラスターとか)、問題関心やアイデンティティに基づいて決めることもできるし(例えば学生クラスターとか反搾取工場クラスターとか)、あるいはやりたい行動に基づいて決めることもできる(例えば路上演劇とかブラックブロックとか)。

スポークスカウンシルとは、より大規模な組織化の構造で、アフィニティ・グループの型で大衆行動を組織するために用いられる。それぞれのアフィニティ・グループはスポークと呼ばれる代表者をスポークスカウンシル(訳注:「スポーク」の「カウンシル=評議会」)の会議に参加させ、行動の重要事項を決める。例えば、それぞれのアフィニティ・グループは法律上の戦略、救援方針、どんな戦術が可能かといったことや、会議場所、その他の物資の調達や流通などについて決定しないといけない。スポークスカウンシルは個々のアフィニティ・グループの行動における自律性を取り去るものではない。アフィニティ・グループは自分たちが路上で何をやりたいかを自分たちで決定する。

■ アフィニティ・グループの始め方

アフィニティ・グループは友達・活動家どうしのグループの間で何年も続く関係性となる場合もあるし、一回きりの行動に関連した一週間限りの関係性となることもある。しかしどちらにしても、自分と自分の関心にぴったりのアフィニティ・グループに加わることが大事だ。
住んでいる町や都市でアフィニティ・グループを作る場合は、同じような問題関心を持ち、したがって似たような行動をしたがるだろう友達や仲間の活動家を見つけよう。また、同じような戦術をやる気がある人を探すこと。例えばもしあなたが比較的リスクの高い封鎖行動をやりたいなら、そういう状況に興味がない人はこのアフィニティ・グループに加わろうとはしないだろう。メディアの仕事や、医療サポートならできるといったこともあるだろうが、もしその人が直接行動の特定の戦術に関してまったく居心地の悪いと感じているのなら、そのグループに加わるのは最良の選択肢ではないだろう。

大規模行動のときに参加するアフィニティ・グループを探しているのなら、まずはどのグループが新メンバーを受け入れていてどのグループがそうでないのかを見分けよう。多くの人にとって、アフィニティ・グループは年単位の友情や仕事を背景とする関係性への信用に基づいている。そういう人たちは往々にして、知らない人を自分たちのアフィニティ・グループに受け入れたがらない。そしてどのアフィニティ・グループが新しいメンバーを受け入れているか分かったら、自分が心惹かれる問題関心や行動戦術を持つグループを見つけよう。

■ アフィニティ・グループには何ができるのか?

何でもできる! このやり方は大規模な行動でも、小規模な行動でも使える。バナー・ドロップや道路封鎖、他のアフィニティ・グループの後方支援、路上演劇、自転車に乗って交通を妨害することも、ツリー・シット(訳注:伐採を阻止するために木に登って座り込みをすること)をオーガナイズすることも、[警察に立ち向かうことも、戦略的な私有財産の破壊も、]巨大看板に書かれた内容を書き換えることも、ラディカル・マーチング・バンド(訳注:この動画を参照)で音楽を演奏することも、革命歌を歌うことなんかもできる。ある行動で特定のタスクを行うアフィニティ・グループというのだって可能だ。例えば、路上救護班による移動するアフィニティ・グループ、水や食料を路上の人々に配るアフィニティ・グループというのもできる。アフィニティ・グループがなぜ様々な行動で効果的かと言えば、このやり方をすれば、何をしろとか何をするなと指図する組織や人物抜きに、参加者が自由に創意工夫し独立しつつ自分たちの行動を計画できるからだ。

ことほどさように、アフィニティ・グループにできることの可能性は無限大である。創意工夫せよ、そして肝に銘じよ:直接行動はすべてを手にする!

(*このテキストはシャウン・エヴァルド『行動の中のアナキズムAnarchism in Action』からlibcom.orgによって2006年に引用され、編集を加えられたものである。)

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