数学への誘い

【品質工学(タグチメソッド)】→【機能性評価】→【動特性評価】→【非線形応答への対応】→【カーネル関数】→【変換:行列】→【数学ガールとの出会い】...その行き先は? ※2022/4/24に図表追加しました。


【私と品質工学】
本業のエンジニアとして周囲から評価していただいているその秘訣は自身のタグチメソッドへの深い理解があると考えています。今から6年前、入社2年目の時に出会い、今までと全く異なるアプローチだったのでど肝を抜かれたことを覚えています。”科学的思考”と”技術的思考”という言葉が現れ、原理追求の科学的思考では、世に貢献できる技術開発はできないと一蹴されたのです。物理モデル式を構築し、得意になって現象予測をしていた人間が受けた衝撃はわかりますか?帰納法でも演繹法でもない”アブダクション思考”という言葉にも惹かれました。気になる方はググってみてください。

【機能性評価】
さて、品質工学は技術者の力量を高める哲学的な要素を含んでいます。その1つが機能性評価で対象プロセスの機能を考えその評価をするということです。機能とは例えば、エネルギー変換、線形変換、転写があります。1つだけ例をあげると、線形変換はある変量を線形性のある別の変量に変換する機能で、計測器の”濃度(入力)と吸光度(出力)”のような変換のことです。ここも奥が深いので、気になる方は「品質工学による機能の分類」でググってみてください。

【動特性評価】
このプロセスでは何が本質的に起こっているのだろう、起こしたいのだろう?と機能を定義できたら、次はその機能性を評価します。僕はシミュレーションが使える環境にあるのならば動特性評価が一番わかりやすくて最強なんじゃないかと思っていて、その論文を書いたりしました。
少しWebから図を拝借します(そのうち自分のデータに置き換えます)と、出力yが入力Mに線形であるy=βMの関係があるとして、この入出力の関係が乱れないことが良い設計だと定義します。

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N1とN2とありますが、このN2を正の誤差調合条件(出力が上振れするように誤差を調合する)、N1を負の誤差調合条件(出力が下振れするように誤差を調合する)と呼ぶことにすると、N1とN2が近くなるように制御できる因子を設計するのが良い設計です。SN比が高いと呼ばれます。ちなみに、傾きβは感度と呼ばれ、βが大きい方ほど入力に対して出力が大きくなるので、通常βは大きい方が望まれます。多くの研究や検討で着目されているのは実はこのβのみであり、SN比については十分に検討されていません。なので外乱下では出力がバラツキ、様々な故障モードを引き起こすのです。

【非線形応答への対応】
さて、この動特性の概念図はとてもシンプルで強力です。それは入力と出力の関係が線形であることに起因しています。が、実際には非線形な応答になってしまうことの方が多いです。でもなんとかして非線形な応答を線形に変換する処理を入れれば、この動特性による評価法はそのまま使えるのではないかと考えました。

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【カーネル関数】
ちょうど技術の潮流はDX(Digital Transformation)でBig Dataを扱うDataScienceの専門家が社内でも増えており、彼らに相談するとカーネル関数なるものの存在を教えてくれました。それがとても美しかった。

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【変換:行列】
そこには転写や写像という概念がたくさん現れてきまして、その概念を理解し使いこなすには”行列”を勉強し直す必要があるなと感じました。(厳密にはカーネル関数は行列ではとはあまり関係ないですが)

【数学ガールとの出会い】
そんなことを仕事で考えていたので、週末の図書館は珍しく数学のセクションに自分のアンテナが張られていました。そこで特に惹きつけられたのが「数学ガールの秘密ノート/行列が描くもの」パラパラ本をめくって読んでいると、対話形式の物語で行列への理解が深まっていくようです。はい、そうですこれが数学ガールとの出会いでした。

【ベクトル、微分、積分、整数、数列・・・】
これがまた面白くて面白くて。どのテーマも一度大学受験の際に勉強したことがあり、自分なりの解釈・理解を持っていたものですが、数学ガールの対話は僕をその1歩も2歩も先の世界に優しく誘ってくれました。ぜひ体感してもらいたいのであまりネタバラシはしませんが、こんなに数学が面白いと感じたのは、「大学への数学(東京出版)」を読んだ時以来でした。1ヶ月で図書館の数学ガールの秘密のノートシリーズを制覇してしまうほどののめりこみようです。

【数学と学ぶための対話】
中でも一番の衝撃は、学ぶための対話 です。以下本文が長くなってしまったので、過去のツイート(臨場感ある)を貼りつけながら今回のNoteをおしまいにしたいと思います。

と、ここまで言語化できたので、あとはダイバーシティの考察をどう子供達の教育に反映できるか。
またいろいろ試してみようと思います!

※ここから追記

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ダイバーシティが高まると、基本はコミュニケーションコスト が高くなります。なにかと大変なことが多いです。ですが、上記をの考察を頭の片隅においておくと、前向きにとらえられるのではないでしょうか。

以上です〜

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