図1

MBA生活振り返り2018年10月 〜ラストスパート〜

こんにちは、組織のChange Agentを目指すMasamiです。MBA生活振り返りシリーズは、実質この回がラストです。このあたりで宣言していることを、今現在実行しているわけですね。以下が内容となります。

■ 概況

■ Seshmester3 授業の状況
    Managing Change
        OD (Organization Development)
        Leadership Essay
    Design Thinking, Business Innovations & Platform Leadership
        Validation
        フレームワークの限界
    Big Data and Strategy
        Short term & Long term Project
        AIについて

■ NUS Enterprise 訪問
    共同研究の探索

■ 古巣グループメンバーの来星

■ 帰国後のプラン
    外部から見る会社の印象は良い
    組織の思考プロセスを見直す

■ プライベート
    結婚10周年記念ホームパーティ

それではどうぞ!

--------------------

 概況

プログラム終了まで残り2ヶ月となりました。毎月のレポートという形で報告するのは、来月11月分で最後とする予定です。面談を経て、帰任後の着地地点が明確になったことで、そこを拠点にどのように活動していくかについて想いを馳せています。古巣部署メンバーのシンガポール訪問もありました。今回を含めて2回のレポートで、帰国後のプランについて述べて行きたいと思います。まずはいつも通り、授業の様子から説明します。

 Semester 3 授業の状況
最終学期であるSemester3 では以下3つのクラスを受講中です。
● Managing Change
● Design Thinking, Business Innovations & Platform Leadership
● Big Data and Strategy

●Managing Change
Organization Development(OD)について、深く学んでいます。最終セメスターのタイミングで、なおかつPost MBAのポジションが明確になっている状態で、この授業を受けられていることを幸運に思います。自分の中で脳内シミュレーションをすることで、実践的な質問がどんどん湧き上がってきますし、これら質問を通じて、クラスのディスカッションにも貢献できているからです。

先月紹介した3000 wordのエッセイでは、”Chain of Leadership”という概念を構築しました。過去に出会った職場の方々のリーダーシップを振り返りながら、彼らの行動が自分に与えた内容を客観的にみて、リーダーシップは人から人へと伝播されるというものを説明したものです。エッセイを書きながら、自分もそのChainの一部になるという想いを添えました。このChainが全社的に広まれば、変革を求められる状況で、プラスに働くだろうという仮説を持っています。

●Design Thinking, Business Innovations & Platform Leadership
戦略的マーケティングの観点から、デジタル時代での最新のフレームワーク、方法論を学びんでいます。今月は、ビジネスアイデアにコミットメントしたメンバーでチームを作り、詳細なビジネスモデルの構築とそのバリデーションに取り組みました。ビジネスモデルを構築する上で、重要な仮説や前提を立てますが、それらが正しいかどうかを様々なアプローチで検証することバリデーションと言います。仮説の検証方法をデザインし、インタビュー、Surveyの結果、あるいは、Landing Pageを設立して、そこでのVisitorの行動を評価の指標として使います。Landing Pageでは、そのサイトに訪れた方々の滞在時間、アクション(ボタンをクリックする、Subscribeする等)をモニタリングすることができます。

今回、FMCG(Fast Moving Consumer Goods、いわゆる日用消費財)を扱う物流チャンネルを対象とした、ブロックチェーンを活用したソリューションを提供するビジネスアイデアを構築しました。しかし、仮説検証のための問いかけをするに適した人、ここにたどり着くまでの道のりが、想定よりも長くかかりました。
また、サプライチェーンフォーラムにソリューションの概要とそれに関するSurveyやLanding Pageのリンクをポスティングしましたが、想定したよりもアクセス数が伸びず苦戦しました。いずれも、回答者の対応にかかる時間は、極限に減らすように設計しましたが、細かなフォローアップをしなければ、回答を得るには至らないなど、デジタルマーケティングの難しさを実感しました。プロジェクトの外にフォロワーを作ることが必要だと痛感しました。

Survey作成やLanding Pageの作成は安価にできるため、このような手法を使ってビジネスモデルをブラッシュアップしていく手法をLean Startup と呼びます。この経験をできたことは貴重だと思います。

フレームワークの限界

一方で、ゲストレクチャーとして、シンガポールで初めてエレクトリックスーパーカーの開発に乗り出しているチームの話を聞いた際には、フレームワークの理解、活用で満足するのは不十分だと感じました。
この開発チームのリーダーは、非常に熱のある話し方をされる方で、彼自身が開発しているスーパーカーの一番目の顧客だと言い、デザインシンキングで活用したフレームワークなどは使わずに、思考力と行動力で、周りの人を巻き込みながら、プロジェクトを軌道に乗せてきたと語ります。シンガポールの決して裕福ではない家庭に生まれ、中学を卒業した後にビジネスの道に進み、イベントオーガナイザーや、ディストリビューターの仕事をこなしながら、商才を磨いてきた・・・という話を聞くと、今流行りのデザインシンキングやフレームワークは、後付けであると感じ、それらを理解して使いこなすことは二番煎じを飲むようなものだと思いました。それも1つの立派な戦略であると理解しつつも、心がざわつく経験をしました。
現業の前線で考え抜いて戦うこと、あるいはそういった方を尊重し、うまくアイデアを引き出すことも、勝てるビジネスを作り上げる要素の1つであると再認識しました。

●Strategy and Big Data
ビッグデータとは何かを学びつつ、如何に意思決定に活用していくかについて学びます。任意の産業のリーダー企業に焦点をおき、そのリーダー企業の持つビジネスモデルを破壊しうる新参者を予測し、その脅威とどう立ち向かうかについてグループ作業中です。Big dataという観点からは、対象企業が今アクセスできるデータは何なのか?そのデータを使って、企業が直面しているGap≒Problem Statementにアプローチしていくプロジェクトを考えています。MCCのCIOラリー氏がメッセージの中で言及されている内容に近い思考作業を行なっているのかもしれません。

私のチームの対象企業は、Financial Industry を代表するGoldman Sachsで、プロジェクトでは、現在彼らの主要顧客ではない Generation Y 世代(アメリカにおいて1980年代から90年代に生まれた世代)を顧客として取り込むプランを提案します。
Short term(1〜3年)のプランとしては、Loanとsavingをスマートフォンで管理できる簡易なプラットフォームを立ち上げ、それらのバランスから、Goldman Sachsの本業であるinvestmentに投じることができるmoneyを特定し、顧客にとってより効率的なFinancing 機会を提供するというものを考えています。
Long-term(3〜5年)では、Investmentの対象を企業でなく、“個人”も選択できるプラットフォームを立ち上げるプランを考えており、増加するpeer to peer lending に対抗するビジネスアイデアとなります。”個人”とはTwitter等のSNSで影響力のあるインフルエンサーを想定しており、主にデジタルワールドで人と繋がりながら生活しているGeneration Yに、好きな“個人”に投資するというの選択肢を持たせることで、新しいお金の流通を作り上げます。

クラスでは、AIによって将来失われる職業・新たに生まれる職業について、有識者を招いて実施したパネルディスカッションが印象的でした。また、AIにまつわる倫理観についての議論も勉強になりました。
データから自己学習するAIですが、入手できるデータそのものに偏りがある場合、意図せずバイアスの掛かったAIができてしまう懸念があります。そのあたりの対応は、技術者の腕の見せ所だと思いました。

 NUS Enterprise 訪問
今年2018年7月にMCHCがシリコンバレーにコーポレートベンチャーキャピタルを設立したことに触発され、NUSでも同じような取り組みができないかと考え、デザインシンキングクラスにてゲストスピーカーとしてNUS Enterpriseの活動を紹介されたKelvin氏にお願いし、NUSと企業のコラボレーションの具体的な取り組みについてヒヤリングを行いました。
アメリカの大学と同じように、NUSにも、スポンサーである産業界のニーズを取り込み、教授陣にフィードバックするリエイゾンオフィスがあります。
Innovation Program Model というものが構築されており、企業がNUSとパートナーシップを結んでイノベーティブなプロダクトの開発する仕組みが整っています。Lite Tough(4−6ヶ月), Deep Tough(6−12ヶ月)の二つのパッケージが用意されています。
パッケージ内容 Light Tough Deep Touch
Duration 4-6 months 6-12 months
Design Thinking Workshop Add On ◯

Marketing, Outreach ◯ ◯
Dialogue session/ Roadshow ◯ ◯
Mentoring Session ◯ ◯
Pitch Challenge/Hackathon ◯ ◯
Co working Space Add On ◯

化粧品で有名なLoreal や Singapore Airline等、多くの企業が上記パッケージを用いて、新たなビジネスの芽を発掘していると説明を受けました。Light Toughで50,000 SGD(≒400万円)程度の費用とのことです。
具体的には、1)企業側がProblem Statementを提出 2)NUS EnterpriseがNUSの保有技術を使って解決できる内容に、Problem Statementを再定義する 3)企業側が同意する とMarketing Researchが開始されます。この時点で15ほどのアイデアが通常出され、事業としての可能性も検証するために、Marketingも行われるのです。
NUS Enterpriseは5、6名の人的資源を1つのパッケージに投入します。企業とNUS Enterpriseの関係は、パートナーシップであり、企業側は検討を丸投げすることにはなりません。通常、2―3名かNUS enterpriseと同等の人数のResearcherが企業側からも参加し、検討を進めていくとのことです。最終的には、ビジネスアイデアのピッチイベントを行い、ここで2、3の真に有力なアイデアを絞り込んで一段落となります(Light Toughの場合)。さらに検討を進めたい場合には、企業側から追加の資金を投資するといった流れになります。
弊社の場合、追求すべき明確な対象が定まっている為、一度この内容で、どのようなアイデアをNUS Enterprise側が提供してくるのか試してみるのも良いかもしれません。11月14日にCool Innovation - technologies for more comfortable environments という、NUSが保有するテクノロジーの紹介イベントがある為、これに参加し、より情報を集めようと考えています。

● 古巣グループメンバーの来星
10月6−8日の3連休のタイミングで、古巣グループのAマネージャー、Kさん、Mさんがシンガポールに職場旅行と称して、慰労に来てくださりました。滞在時間の短い弾丸旅行でしたが、ハトバスでの市内観光、ガーデンシティ、マッサージなどを楽しんでいただき、良い時間を過ごせました。他のグループの皆さんの活躍の様子もじっくり話を聞くことができ、良かったです。

 帰国後のプラン

外部から見る会社の印象は良い
ここ数日であらためて、会社のHP、2018年度の投資家向けレポートに一通り目を通しました。インターンシップ中に様々な業界の企業HPを見てきましたが、贔屓目も多少あるかとは思いますが、自社のHPの構成、ユーザーインターフェイス等は、ここ2年でかなり良くなったと思います。最近のニュースを見ると、世界経済フォーラム第 4 次産業革命センターとの戦略的パートナーシップの発表など、Digital革命の波に積極的に関与し、リーダーシップを取っていく経営層の意気込みを感じました。
そのような上部層からのメッセージとアクションに対して、内側からどう呼応していくか。この点はスムーズなトランスフォーメーション実現の鍵となります。
状況をヒヤリングする中で、生産技術部のスタッフ、特に若手は、新しく設立された、先端技術室が主導するプロジェクトに参画し、新しい技術を吸収しながら、成果を出すという良いに乗っている印象を受けました。

私は、この流れを切らさず定着させるためにも、生産技術部のお客さん(社内:事業部)の先のお客さん(社外:製品の買い手)まで捉えて、事業の収益率向上に貢献したいと考えています。開発・生産技術・製造・マーケティングのメンバーでプロジェクトを作り、事業ビジョンから棚卸しされる課題をクリアしていくような活動をしたいです。

組織の持つ思考プロセスを見直す

また、組織の地力をさらに上げるために、もともと体得している品質工学の展開に加え、チームや組織の思考プロセスを見直しながら、より戦略的で効果的な思考プロセスを全員が持てるように、リードして行きたいと思います。思考プロセスとは、組織(個人)が持っている思考や行動のパターン化あるいは習慣化している癖のようなものです。
例えば、技術者は今持っているスキルをベースに問題解決手法を考えがちですが、それは効果的なアプローチではありません。課題を解決する手段をまずいくつかリストアップして(自分ができる、できないは関係なく)、その中で自分のスキルでできるものは、そのスキルで対応しますし、できないものは費用対効果や時間制約を考慮して、自分がそのスキルを新たに取得するか、あるいはそれができる人に仕事を依頼する・・・などを判断し決定する必要があります。
別の例としては、コミュニケーション相手もそうです。いつも付き合っている担当者からだけでは、検討の背景・全体像が見えないことが起こり得ます。キーマンを外していては、後戻りが発生し検討の効率は非常に悪くなります。
こういったことは、当たり前のようなことですが、癖となっているため本人や中にいる人間や気づくことができません。目に見えない文化も同じようなものです。一旦1年半以上組織の外に出て、様々な経験をしてきた立場として、ここはきっちり良い方向にリードしていきたいと思います。

さて、上記のような思考プロセスの見直しですが、OD(Organization Development)コンサルタントが得意とする分野です。ピープル・フォーカス・コンサルティングという、ファシリテーター〜蘇る組織〜という本のモデルとなった企業と一度11/5に打ち合わせを予定しています。彼らのような外部コンサルタントの力を借りるには、どのような準備とどの程度の予算が必要なのかをヒヤリング予定です。


 プライベート
10月14日に結婚10周年記念としてホームパーティを開きシンガポールで縁を持った友人に祝っていただきました。先月紹介した家庭内ホワイトボードシートに、パーティ開催の目的、実行したいことなどを家族で話し合いながら書き出していき、プログラムを作成しました。
意見を聞き、ホワイトボードに書くことで、その意見を尊重することができます。また書いた後に論点を整理しながらコンセンサスを得られるので、決定項目へのコミットメントも高まります。
寿司ケーキカット、夫婦宣誓、思い出ムービー、子供達からの言葉・・・等、10年前の結婚式を意識しながら、私達家族らしいイベントが開催できました。

現在は新しくシンガポールでやりたいことリストを作って、残りの滞在期間に実現できるように、プランを練っています。

アシックスリレーにNUSMBAでチームを作り出場し、5kmのランニングを楽しみました。体力と健康はなんとか保てています。(表紙の写真)


Home Party 集合写真

Home Partyのプログラム

夫婦での寿司ケーキカットの様子

------------------------------------

以上です。

リンク集↓

私のプロフィール。振り返りシリーズ初回前回号MBA総括

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?