節目の到達とWG開幕(前半)

お久しぶりです。
過去Note"所長アシミレーションでの学びと仕掛け"にて、下図に示す次期中貴運営計画の策定プロセスについて紹介しました。

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この2ヶ月の期間で、5年後の事業所ビジョンの共有とフィードバックが、次の順序で為され、先日ようやく完了しました。ファシリテーター役を設定した対話が1巡し、プロセス全体像をデザインしてきた事務局の立場としては一つの大きな節目を迎えたと考えています。

所長
  ⇄部長
     ⇄課長
        ⇄課員
     ⇄課長
  ⇄部長
所長

テキストではイメージが湧きにくいため、一枚の概念図を用いながら、本活動で得られた気づき、またその時々の感情について記録します。

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【企業活動の核となる層はどこか?】
組織のピラミッドの概念図は、各役職の人数比率を想起できるように記載しました。部署によっては、課長の管理下にあるメンバーに大きな差があり、スタッフ(+オペレーター)の裾野の領域はこの概念図よりもずっと広がっているところも存在します。(逆も然り)

組織において、この”課長"の果たす役割は1)現業のパフォーマンス、2)組織の未来の2つの観点から非常に大きいと考えており、組織開発において真に火をつけるべき対象は”課長”です。

情報の質・伝達の特徴(製造業)
次に情報の質について考えると、上層部ほど抽象的で組織のボトムに近いほど具体的となっていきます。このことは、トップの言葉を”そのまま”の形で下に伝えても、多くの社員は「抽象度が高く消化できない」あるいは「自分事として捉えられない」という事態が発生し、結局はビジョンが「棚に掲げられたただの絵」となってしまう危険性を示しています。

また情報伝達については、効率性の観点からトップダウンが一般的です。製造所では「安全」を揺るがす緊急時には縦型の命令系統で統制の取れた動きが求められるので、組織の形としても理にかなっています。
しかし、平時においてはこの情報伝達や組織構造は「指示待ち属」を生み出すデメリットも有しています。また「全体最適ではなく部門最適」の視点で仕事を進めがちとなってしまいます。そんな経験はありませんか?

【ピラミッド型に組織文化に慣れるとどうなるか?】
火をつけるべき対象は課長」と冒頭に述べましたが、課長は各部門の1つ課を統率する要素ですので、情報の流れ方やコミュニケーション作法がこれまでのやり方のままである場合、事業所組織全体は必ずしも良い方向には向かいません。むしろ、悪化する危険さえあります。

その危険性を重々感じ取っているために、ただでさえ繁忙なのにあえて挑戦しようとはしない、自課の枠を超えて組織全体を良くする方法がわからず動けない…そのような課長さんが多いのが事実です。志が高くともです。

【コミュニケーション作法をアップデート】
さて、今回はコミュニケーション作法を大きく変えました。対話型の組織を作るために、まずは部長さんがトップの言葉を十分に納得し、自分の言葉で直属の部下に説明できる目処がつくまで、繰り返し所長と対話しました。

これまでの所長と部長の関係では、一部の部長しか建設的な意見交換ができていなかった状況を踏まえ、ファシリテーター役と、アシミレーション という手法を導入しました。まずは部長にファシリテーションの効能について体感していただき、部長から課長へ伝える際にファシリテーションの心得を導入していただきました。(この提案がすんなり受け入れられたのは、1年前の生産技術部内での成功事例があったことも一因です。)

課長は本プロセスを踏まえて次期中計を策定する真の意味を理解し、事業所全体が本気で変わろうとしていることを理解しました。課員に対して、これまでのように「上がこう言っているから…」という言い方を改め、自課のメンバーが具体的にイメージできるようにビジョンと自課の繋がりについて丁寧に説明しました。

また課長は、その説明や対話の中で出てくる現場ならではのフィードバック(それは前向きな共感だけでなく当然、愚痴・不安・失望なども含まれます)を得てます。この時、「ここまでメンバーからの意見を引き出しておいて、これで何も変わらなければ求心力が落ちてしまうだろう」という不安も同時に抱く方もいたでしょう。様々な想いを抱えながら課内対話の結果を部長に伝えます。

【厳しいフィードバックと向き合う秘訣は仲間にあり】
そして部長は部下である課長達からのフィードバックを受けて、所長に申し伝えます。が、ここで愚痴、非難を直接的に伝えているだけでは建設的な議論は生まれないので、部長メンバーで作戦会議を開きます。(部下の不理解を自分の上司に伝えるのは自身のマネジメント力が不足していること自分で告白しているようなものです。)

・課員から出てきた〇〇という意見は、我々が課長に対してこのような表現で今後改めて説明すれば納得感が増すだろう。
・△△という意見は、他部門に対する意見要望であるから、我々部長メンバーがしっかり認識を共有しておこう。
・◇◇という意見は、ビジョンのある文言から生まれる歪んたイメージなので、所長に〜〜という表現に変更してもらうよう進言しよう。

私は、この部長メンバーでの作戦会議に同席して心が震えました。

【感動した理由1:伴走してきた仲間の成長】
作戦会議のファシリテーターは中計策定の事務局が担っておりましたが、難しいフィードバック内容を限られた時間内に対応できるよう、事前に意見のグループ化をはかり、どの順序で対話すべきかの順序付して会議をデザインしていました。

【感動した理由2:次世代リーダーの誕生】
これまでどちらかというと物静かだった部長さんが、部下の想いを受けてリーダーシップを発揮され、討議を引っ張ってくださっていました。それも一人ではなく、複数名の方が。想いの共有がどんどん進んでいきました。
最後には、事務局が願う形で部長メンバーが1つのチームとなり、トップの所長に進言していくという団結を見せました。(それだけトップの存在は大きいです)

【所長への進言結果】
所長への進言の際、所長は
「なかなか細かい注文が多いなぁ、ははは。でもそれで貴方達や従業員の納得度が上がるなら、その文言表現、提案してもらったように変更したらいい!」
と、部長メンバー進言内容の8割を承認していただけました。残りの2割は所長の強い想いがこもった表現であり、改めて部長メンバーはその想いに触れて、後日課長以下課員にこの対話結果を伝える決意をしました。

ということで、2時間予定していた所長へのフィードバックは、事務局や部長メンバーの予想と異なりあっさり1時間で終了。そのまま本策定プロセスの中核となる部門横断型ワーキンググループの決起集会へと映るのでした。
本当にお疲れ様でした!

...長くなったので決起集会に関する内容は後半へ



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