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今、本屋さんに通い詰めている

 最近、休みの日は毎日、家の近くの本屋さんに行く。駅の反対側、家から歩いて10分ほどの、個人書店。書籍とコミックのフロアが分かれていて、コミックのフロアには書店おすすめ漫画のコーナーがあって、書籍の棚もすごく好き(今日は小松和彦さんの『鬼と日本人』ほか何冊も買ってしまった)。

 前に住んでいた町には、最寄り駅に書店がなくて、二年間くらいもどかしい思いをした(そのぶん、隅田川がすぐ目の前を流れている、素敵な町だったのだけれど)。昨年末にここに引っ越してきたのも、この書店があるということが決め手の一つだった(あとで知ったのだけれど、ぼくの好きな作家さんも通う本屋さんだという)。

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 近頃、抽象的なことだったり、漠然としたことを、考える機会が減った、と思う。そういうことを考えるきっかけが、かなり減った。

 これまで、考えるきっかけは、外部からの刺激だったのだ、と、実感する。特に、話すべきことが決まっていない人と話すこと、とりとめのない会話をすることは、それまで考えていなかった何かを考えるきっかけだった(余談だけれど、オンラインでの会話は、目的を「雑談」に設定しない限りあまりとりとめなくならないし、はっきりした目的に向かって動くことが増えた気がする)。

 人と話すことは、たぶん、自分とは違う考え方、感じ方、異なる価値観との衝突だった。そこで、互いの価値観がざらっと触れ合って、摩擦が起きて、きっかけになる。人と人が出会わないと、価値観の衝突が起こらないと、物語は、生まれない。

 誰かと価値観の衝突が、触れ合いが起こりづらくなったときに、物語が生まれづらくなったときに、今、書店に通い詰めている。

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 書店で、いろんな本に囲まれて、興奮して、(全く読むのが追い付いていないのに)思わず新しい本を買ってしまって、家で本を読んで、知らなかったことに触れて、価値観がざらっと触れ合って、興奮するのだけれど、その結果、もはや、読んでいない本の冊数が「積読」レベルではなくなって(すべて積むと確実に雪崩れる)、ゴールデンウィーク前半に書棚を増築したにも関わらず、そこから溢れる量の本を買ってしまって、どうしよう。

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