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地球温暖化について

 大学に入学して、三日で憂鬱になった。入った課程は「文理融合型」だと聞いていたのに、そこは混じり気のない理系の課程だった。

 だから、一般教養の授業や、他課程の授業を多く履修した。地球環境の専門の授業の時間が、やたらと長く感じられた。そんな中で、一年の後期(だったと思う)で履修した専門の授業が、古環境学だった。

 初回の授業の内容を、今もよく覚えている(正確ではないかもしれません、間違っていたら、教授、ごめんなさい)。確かに今、地球は温暖化しているが、過去のデータから考えると、周期的に見て温暖化はおかしなことではない。そこまで聞いて、そうなんだな、と興味を惹かれたけれど、そこからがおもしろかった。

 たとえこれから地球が温暖化を続け、人間が絶滅したとしても、地球が繰り返してきた周期が変わらないのであれば、それは大したことではない。けれど、周期的に見るとこれから少し温暖化が続いたあと、その流れは変わるはずで、もしもそうはならずに温暖化が続くとしたら、つまり人間が地球の周期を変えてしまったのだとしたら、それは大変なことだ、という話だった。

 人が絶滅することよりも地球の周期が変わってしまう方が大変なこと、という視点が自分にはなくて、研究室はその教授のところに決めた。

 研究は楽ではなく、楽しいと思えたのは、研究データがある程度そろって、そのデータから仮説を立てる段にたどり着いた、大学卒業直前になってからだった。(違う分野ではあるけれど)大学院での研究を経て、また仕事の進め方の段取りに慣れた今から振り返れば、もっとこうすれば楽しかった、もしくは新しい何かがわかったのでは、と思うことも多いけれど、その後悔まで含めて、学部での研究経験なのかもしれない。そんな経験をさせてくれた教授に、感謝している。

 ちなみに、大学卒業後、四年間の会社勤めを挟んでから行った大学院では、文学研究をした。違う研究をしていることへの罪悪感があり、教授には伝えていなかったけれど、大学で顔を合わせてしまったときに、気さくに声をかけてくれたことが、とても嬉しかった。

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