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ZINE って何?  個人が紙で出版する意味とは? その歴史や文化について本を読んでみました

 「ZINE 」(ジン)って知っていますか?
 個人が、自主的に、小さな規模で出版する冊子や印刷物のことをZINE というそうです。
 去年から、SNSもいいけど、紙の小冊子を作りたいなーと考えていたところ、その存在を知りました。
 そして、友人に勧められて読んだのがこの本です。

『野中モモの「ZINE 」小さなわたしのメディアを作る』 野中モモ 著

 著者自身の体験談などをとおして、ZINE の歴史や文化、魅力が書かれています。


ZINE とは?


 ZINE をネットやSNSで検索すると、お洒落でスタイリッシュなものばかり出てきます。
 でも、お洒落でなきゃいけないわけではなくて・・・
 著者にとっては、

「自主的に、気軽に、小さな規模で」出版することが、ジンをジンとする条件だと考えている。

 とのこと。
 本を読んだ私の解釈としては、
 大企業や出版社でなくても出すことができるもの。
 個人やグループが、伝えたいことを伝えるために、出版するもの。

 歴史をたどると、17世紀ごろからのヨーロッパでのmagazineの起源から、1930年にシカゴのSF同好会が創刊した『The Comet』という初期のファンマガジン:ファンジン、70年代後半からは、音楽・アート・ファッションなどのサブカルチャー発展にファンジンが貢献してきたことなどが紹介されています。
 また、19世紀以前から政治・社会運動の場でやりとりされていたパンフレット・スクラップブックや、第一次世界大戦後のダダなど芸術・文芸運動などとも深い関係があると思われます。

そうしてジンは、権威や商業的な要請から距離を置き、まだ何者でもない市井の人々が自由に意見を交換し表現する場となった。

 と本文に書かれています。


こんなふうに表現すればいいんだ!


 実際に、日本で発行されているZINE がいくつか紹介されていました。
 個人的な思いを書いた紙1枚の手書き新聞から、ジェンダーやセクシャリティについての冊子など。それぞれが伝えたいことを表現しています。
 これで感じたのは、大手出版社が出す雑誌に載っているような、大多数が同意する意見ではないかもしれないけれど、
 「自分はここにいる。自分はこう思う。」
ということを発信したっていいんだ!
ということでした。

 60年代末から70年代に「個人的なことは社会的なこと」というスローガンがあったそうです。

小さな声に耳を傾け、また自分でも発していくことが、より民主的な社会を築き、みんながいまよりましな人生を生きていくための助けとなるのではないでしょうか。

 と著者は訴えます。

 しかし、日本では、まだ

社会全般で同調圧力や消費文化の支配力が強いし、日々の生活に追われて自分とじっくり向き合って考える余裕を持てなくなってしまってる人が多いような。

と著者は書いています。

 これを読み、無理にまわりに考えを合わせなくても、自分が思うことを発信すればいいんだ!と背中を押してもらった気持ちになりました。

手書きのパワー


 紹介されていたZINEは、手書きの文字や絵で作成されたものが多くありました。
 そのZINEを読んで感じたのが、手書きのパワーです。
 手書きって、なんでこんなに、その人の思いがダイレクトに伝わってくるんでしょう?
 それは仕事でも思います。職業上、手描きのスケッチで説明したり打合せしたりしますが、CAD図で説明するより伝わりやすいです。図面なら、CADの方がまっすぐ綺麗に描けるのに。

ネットではなく、紙で発行する意味


 また、ネットではなく、紙で発行する意味についても、それぞれの発行者が語っていました。

やっぱり紙のほうがちゃんと「出会う」っていうか、存在があることで全然繋がりかたが違う感じがして。

人間がどうしても求めてしまうフィジカルなコンタクトって絶対あると思うし、体に触れたものほど印象に残るものはない。同じ内容をインターネットで読むのと、紙のページをめくってそのときの空気感とか匂いとか誰と一緒にいたのかを全部含めて考えるっていうのは、すごく頭に残る印象に差があると思う。

 やっぱり物質として、紙で感じるっていうのは、ネットより、だいぶインパクトが強いんだと思いました。

そして、私も小冊子を発行します


 私も、ZINEというか、小冊子の発行を現在準備中です。
 読んだ本の内容をふまえて、自分はどんなものを作っていくのか?
 小冊子を通じて、何を伝えたいのか?
 あらためて、自分に問い直そうと思います。

 手書き原稿にもチャレンジしてみたいし、物質として、小冊子のサイズ感や質感なども意識して作りたいです。

 あなただったら、どんなZINEを作りますか?

いま隣で生きてる人のリアルな心の声や新鮮なアイデアに出会えるし、なにより手を動かして作るのは楽しいですしね。

 と著者は魅力を語っています。

 これから、ZINEを作るのも読むのも、楽しんでいきたいなと思います!

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