見出し画像

車中泊しながら北海道アルパカ旅⑦-旭岳登山(ノーアルパカ)-

日本で一番早く紅葉する山、旭岳へ

道の駅ではいつもその土地のパンフレットや印刷物を見に行き、気に入ったデザインのものは持って帰っている。
東川町は印刷物の様子から、なんだかおしゃれな町感が漂っている。
カフェやインテリアショップが点在している。良さそう。町を探索したい。
だが、私たち(主に夫)には晴天の旭岳が待っている。
北海道の旅を計画するにあたって、夫はずっと「旭岳に登ってみたい」と言っていた。お天気の日はアルパカを優先する旅なのだが、長距離運転のねぎらいとしてもここは旭岳に行くのが良さそうだ。

そんな装備で大丈夫か

(↑のタイトルには元ネタがあるのだがこの記事を読むどのくらいの人が知っているだろう)
夫が登山をするいうので私はちゃんと帽子、機能性タイツ、登山ズボンを持ってきたのに夫はザックも帽子もストックも持ってきていなかった。どういうことなんだ。(ちなみに私は登山はエンジョイ勢です)
普段からアウトドアメーカーの服を着がちな夫はまあ確かに登山っぽい格好はしているが…そんな装備で大丈夫か。
夫は「大丈夫だ、問題ない。」といい顔をしている。ザックは私のフェールラーベンのでかリュックにし、雨具は持ってきていたので2人分、札幌でNさんからと、ビバアルパカ牧場さんでもらったお菓子を行動食として詰め込んだ。
ロープウェイ乗り場でパンと水・ポカリの合計3本を詰め込み、いざ旭岳。

ちなみに登山は完全に夫の趣味に付き合っている事になっているので、荷物は夫が背負い、私はほぼ手ぶらで登るスタイルになっている。
なので、私は夫以外と山に登る気は一切ない。登る速度もとても遅いので、グループ登山とかもうゾッとしてしまう。

雲ひとつない。硫黄が吹き出す様子もくっきり、風もない、頂上付近も雲がかっていない登山日和とはまさに今日だ。
登山口まで歩いていると、「綺麗な旭岳をみたいと何度もここにきている人がいるんだけど、その人はいつも天気が悪くて。今日は来ているといいわね」とご夫人が友達に話しているのが聞こえた。天気を合わせてここに来たとはいえ私たちはラッキーだ。

旭岳は標高2,291 m。ロープウェイで1,200mまで上がり、1000mほど登る。登山道に続くところにある「姿見の池」はカムイミンタラ(神々の庭)と呼ばれている場所で、雄々しい背景に凛とした湖のコントラストがとても素敵だった。

まあここまでは景色すごいすごいと楽しんでいられたけど、7合目ぐらいで足に来ていて一歩歩くのもつらくなってしまう。これがインドアの限界である。夫に「もう帰りたい」と泣き言をいいながらも、休憩して、振り返るとどこまでもつづく原生林のすごさに癒されながら進んでいった。

普段運動も、歩きもせずほとんど室内にいる私がなんとか登れたのは夫曰く「なめみそ親からのギフト・心肺機能が鬼つよ」であるからだと。心肺機能が強いのだが、下半身の筋力がなさすぎてしんどくなるがなんとか登れるのだという。ありがとう親。

夫は私のペースに合わせて後ろについている。後ろから夫に励まされながらなんとか山頂にたどり着いた。
アルパカ好きな嫁に付き合って、好きでもない長距離運転をする夫と
登山好きな夫に付き合って、好きでもない登山に付き合う嫁。
まあそこそこお似合いの夫婦かもしれない。

でもまあ登山の良いところは、一歩一歩進めば頂上まで登れるということだと思っている。振り返ると、こんなところまで登ってきたんだなあ〜とびっくりしてしまう。当たり前のことなんだけど、それを体感できるのが登山なんだと思う。

会いたかったよ

謎の下僕呼ばわりおばさん現る

さて、昼ごはんも食べたし下山するか…と歩き出したところ、後ろから来ていたおばちゃん2人組に「アレー!!あんた!!!」
とめちゃでかい声で声をかけられる。びっくりして振り返ると
「あんた手ぶらやない!!何様!!」
どうやら後ろに控える夫がリュックを背負い私が手ぶらだったのに衝撃を受けたらしい。
「どういう関係?下僕!?」
下僕てあんた。どうやら荷物を全て男に持たせて手ぶらなのが引っかかるようだ。事情がやっと飲み込めて、
「下僕じゃないです、パートナーです」
という言葉だけなんとか紡ぎ出せた。先述したとおり、私は夫の趣味に付き合って頑張って登頂したとても良い妻なのだが、「悪い女やね〜」とおばちゃんは関西の悪ノリな感じで言葉を投げかけてくる。夫の「いえ、登山に付き合ってもらってるんですよ」という声は思い込みのおばちゃんには届かない。こういう時はあれだ。
「いや〜楽々登山ですわ」と両手を広げてひらひらさせる。
ノッておく事にするのが平和なのである。
おばちゃんは思い通りに返ってきた返事に満足したのか「や〜ね〜」といいつつ下山して行った。旭岳で悪女に出会った、おばちゃんはそんな土産話をするのだろうか。

温泉かアルパカか

旭岳は本州と違い森林限界が低く1,000m強で高い木々が生えない。登山道は砂礫が多くてこける人続出。私も一度派手にこけました。どれだけ気をつけても、足を乗せた小さな石がコロ!と転がってしまうことがあるのはしょうがない。慎重に慎重に下を見ながら降りて行ったので、ロープウェイのところに戻る頃には首が痛くなってしまった。
足も腰も首も痛い。こんなときはもう温泉に入るしかない。温泉は全てを包み込んでくれる。
しかし私たちは悩んだ。
下山してそのまま旭川に戻れば、アルパカが2頭いるという「旭川乗馬クラブ」さんの閉園時間までになんとか滑り込める時間だったからだ。明日は雨予報なのだ。なるべく晴れにアルパカに会いたい。

ただもう体が限界の状況で、ベストな気持ちでアルパカに向き合えるのか?と自問自答し悩みに悩んだ結果、温泉を選ぶこととなった。

旭岳の麓には何箇所も温泉宿宿泊施設があった。でもやっぱり値段が高い!リゾート価格だ。
北海道のすごいな〜と思うところはGoogleマップで「温泉」と調べると必ずその土地に温泉があることだ。
私は「源泉掛け流し」と「ぬるめの温泉がある」を選ぶ基本としていて、設備や築年数の古さはさして重要ではない。
日帰り温泉は「湧駒荘」へ。歴史ある作りのお風呂とたっぷりのお湯がとても気持ちよかった。

奥芝商店のエビスープカレー

お腹が空いたので、旭川市内に戻る。スープカレーを食べようかということになり検索してみると、ずっと札幌で食べたいと思っていた奥芝商店があるではないですか。
エビのスープカレーだから、エビがつよく主張してくるのだろうとたかを括っていたらこれが本当にちょうどいい。野菜とエビとごはん、3要素がすべて美味しく引き立てあっていい塩梅。

夫はとても気に入ってしまい、明日も食べたいと言っているほどだ。
旅で同じ店に二回行くことってあるかな?出張とかならまあわかるけど…

しかしこれが本当のことになるとは…
明日へつづく。

読んでいただきありがとうございます。サポートをいただいた際には、より良いアルパカ雑貨を作るためアルパカに会いにいく旅費に充てさせていただきます。