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続ワールドワイドトラブル。ブロンド美人の処世術!?〜辛酸なめ子の「LAエンタメ修行 伝聞録」

(前回までのあらすじ)
LAの部屋をメイクスタジオに貸したMutsumiさん。しかし家賃を一ヶ月分スルーされたり、ちゃんと荷物を撤去してくれなかったりでトラブルが続き、映画製作の準備で忙しいのに疲弊する毎日だった…… 

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来日したMutsumiさんと久しぶりにお会いして、不動産トラブルはそのあとどうなったか伺いました。Mutsumiさんはスマホの中の一枚の写真を見せてくれました。エレベーターの中に巨大な板が一枚、斜めにハマっています。素人には手を出せない事態が発生していることが伝わってきます……。

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「AmyがNYから遠隔で業者を送り込んできたんです。何の連絡もないまま、立ち会いもせず。その業者がすごい感じ悪い人たちだったらしく、ドアマンが注意したら途中で放置して帰ってしまい、業務用エレベーターの中に板がそのまま残っている状態でした。しかもエレベーターのサイズより板が大きくてつかえてしまって簡単にはとれない状態でした...」

管理会社の女性マネージャーから緊急事態発生とのメッセージとともに、この写真が送られてきたそうです。仕事が忙しいのにこんなのを見せられたら泣きたくなります。しかし冷静にAmyと交渉するMutsumiさん。

「Amyからは一切謝る気配がなく『明日また業者を送り込めるけど何時が良い?』というメッセージが。といっても前回のように自分の知り合いの感じ悪い集団を送り込まれても困るので、こっちで手配してお金はAmyに請求すると言ったのですが、話がかみ合わず。『あなたはトラブルしか起こさないから何もしないでください』『何時に人を送ればいい?』『誰か知らない人を送ってきたら通報します』と言ったらやっと静かになりました」

Mutsumiさんの方で業者に依頼し、エレベーターの中の板をチェーンソーで分割して運び出すという大変な撤去作業を行ったそうです。本当にお疲れ様です。

「Amyには未払いの家賃と遅延費、撤去費用を計上して請求書の手紙を送りました。駐車場のリモートキーを持って帰られて困っていたのでそれも返却してほしいと書いたら、お金のところはスルーしてリモートキーを送ります、とメールが。でも一向に届かなくて、そうしたらエイミーから『送ったけど戻ってきちゃったから明日必ず送るわ』というメールが。絶対嘘だと思いましたね。それから数日してやっと届きました。こういう感じで必ず話がややこしくなるんです」と、Mutsumiさん。とにかくAmyは詰めが甘すぎます。メイクスタジオの経営者だそうですが、メイクのスキルもどうだったか心配になります。

あきらめない女、Mutsumiさんは裁判所のサイトから内容証明のフォーマットをダウンロード。プリントアウトして記入して送ったところやっと家賃だけ入金があったそうですが、遅延費や撤去費用はスルー。Mutsumiさんは今度LAに戻ったら裁判を起こす予定だそうです。

「Amyは法的に義務付けられている事務所の住所をちゃんと登録していないみたいだし、内容証明を受け取れなくて裁判に欠席すると自動的に敗訴になるので、このままだと裁判には負けるでしょうね。そうしたら彼女のクレジットヒストリーに残ってしまって、ローンが組めなくなったり金利や保険が高くなって困ることになると思うのですが……」

そこまでアメリカの法律に精通されているとは。異国の地で難しいペーパーワークを次々とこなしていくMutsumiさん。相手の金髪アメリカ人女性は、外国人には難しいからそろそとあきらめるとナメているのかもしれません。

エイミーのあとには、また似たような金髪美女のアメリカ人女社長、Annaが入居することになり(今度はIT系)、最初の段階で敷金を一ヶ月分値切られるという一件があったそうで、不穏な予兆が……。

「もうおそろしくておそろしくて。またAmyみたいなことにならないかドキドキしています」

ブロンドで美人の女社長と聞くと、ずっとスクールカーストでも上位できて強気で威圧感ありそうです。

「偏見になってしまいますが、ブロンド女性には威圧感を感じてしまいますね...。なんか強い。私はアメリカのクライアントの仕事もしているんですが、取引してるPR会社が、なぜか全員金髪女子なんです。クライアントのかわいいコスメをインスタに上げたりするので映えを考えて採用されたんだと思いますが、その一団がやってくると威圧感がすごいです。Amyの件があったのでなおさらそんなふうに見てしまいました……」

私もそうですが、金髪の人に劣等感を覚えてしまうのはなんでなのでしょう……。Mutsumiさんはスマホの中でのやりとりだと対面で威圧されないので、相手に負けずに交渉できたそうです。

Amyに限らずアメリカでのビジネスで、日本人相手のようにスムーズにいかないことが結構あるというMutsumiさん。

「アメリカで仕事でメールのやりとりしてて思ったことで、他の人にも聞いてそうだよねって共感された点があるんです。例えばメールで3つくらいのポイントを箇条書きでまとめて、これどうですか?って送りますよね。そうするとほぼほぼ回答が1個目しか来ないんです。まわりの日本人の友達に聞いてもそうだよねって。仕事でもお店などへの問い合わせでもその傾向が。あれは気になってるんですよね」

アメリカではとりあえず目の前のことだけを処理したいのでしょうか。3つのことを聞きたかったら1個ずつ3回送らないとならなくて面倒だそうです。もしかしたらそんな風に不必要でも回数を重ねることで距離を縮めるのがアメリカ流の対人テクニックなのかもしれません。日本のように一回のやりとりで終わるとさびしいとか……。Amyもわざわざトラブルを起こして何度もやりとりすることで、人間とガッツリ関わった感を得たいのかもしれません。アメリカ人は淋しがりやなのでしょうか……。そう思うと少し許せる気がしてきま……せんよね。


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