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Adage誌のA-List2020発表

今年も海外最大の広告・マーケティング誌であるAdAge誌から、Agency A-List(※)が発表されました。ページのトップには、カンヌライオンズの中止が決定(毎年6月に開催)しクオリ賞も延期が予定されていることや、広告業界にもコロナの影響が出ていることについて書かれていますが、業界を鼓舞するような力強いコメントも添えられています。
※Agency A-Listは前年に著しい活躍をした広告代理店や代理店のキーマンを表彰する賞です。
※自分用の記録のため、老舗大手の補足は割愛しています。詳しく知りたい方はAgency A-Listをご購読ください。

▼2019年のA-Listはこちら


No.1: Widen & Kennedy

Agency of the year (No.1) は3年連続でW+K!大手アドエージェンシーで唯一独立を保っているW+Kが、A-List初の3年連続首位を達成しました。
Agency of the Year は1974年から実施しているようで、そもそも首位を3度以上獲得しているエージェンシーはW+Kのみとのこと。W+Kが最初に首位を獲得したのは1992年で、次に2011年、そして2018年、2019年と続いて今年2020年。
私が記録しているのは2007年以降のA-Listなので全ての受賞歴でなく恐縮ですが、下記の通りになります。

2008年 A-List 2008 : No.5
2011年 A-List 2010 : Agency of the year (No.1)
2012年 A-List 2012 : Creativity's Agency of the Year
2014年 A-List Standout Agencies : No.10
2017年 A-List 2017 : No.7
2018年 A-List 2018 : Agency of the year (No.1)
2019年 A-List 2019 : Agency of the year (No.1)

記事を読むには、2019年、W+KはKFCの仕事をしながらマクドナルドからの指名を獲得したようですね。海外の広告業界は原則として1業界1種制を取っているはずですが、近年はメガエージェンシーの買収が相次ぎグループ内でクライアント業種が被ることが問題視されてはいました。その中で独立系であるW+Kが同業種のクライアントを持ったことには驚きです。

また、2019年頭まで独立系を維持していたDroga5との比較についても記されており、Droga5の動きが従来の広告代理店から変化がないのであれば、次もW+Kに軍配が上がるだろうとの見解を示しています。

No.2: Goodby, Silverstein & Partners

No.2はオムニコムグループのGSP。こちらも昨年に引き続きの順位です。
昨年、今年といきなり上位をマーク。

2007年 A-List 2007 : No.2
2008年 A-List 2008 : Agency of the year (No.1) ※
2009年 A-List 2008 : No.3 ※
2019年 A-List 2019 : No.2
※2008年と2009年年始のA-Listが両方ともA-List 2008という名だったようです。GSBは2008年発表のAgency of the yearと、2009年発表のNo.3です。

No.3: Johannes Leonardo

2007年設立の若手エージェンシー。25%WPPの資本が入っています。主にVWやadidus originalの仕事が評価され初のTOP3入り。
プロジェクトのいずれもがクライアントの売上の飛躍的な増加に貢献しており、近年注視されているビジネス側面へのエフェクトネスが大きく評価されているところです。文句なしのNo.3。

2011年 Agency to Watch : No.7
2011年 Small Agency of the Year : Silver
2016年 Agencies to Watch
2018年 A-List 2018 : No.4

No. 4: TBWA

オムニコム傘下の老舗エージェンシー。昨年はリー・クロウの退任があった中、CCOのクリス・ベレスフォード・ヒルがCCO of the Yearを獲得していました。今年は昨年よりも順位を1つ上げNo.4に。

2007年 A-List 2008 : Agency of the year (No.1)
2008年 A-List Next in Line : No.1
2009年 A-List 2008 : No.2
2011年 A-List Standout Shops : No.5
2015年 A-List to Watch : No.3
2018年 A-List Agency Standouts
2019年 A-List 2019 : No.5 


No. 5: Mindshare

GroupM(/WPPグループ)傘下。昨年はカンヌライオンズでMedia Network of the Yearを受賞しています。

2008年 A-List 2008 : No.6
2011年 A-List Standout Shops : No.10

No. 6: BBDO

オムニコムグループ傘下の老舗エージェンシー。昨年、一昨年とランクインしなかったものの、A-List上に常に名前が取り上げられる常連エージェンシーです。

2007年 A-List 2007 : No.6
2008年 Next in Line : No.6
2011年 A-List Standout Shops : No.4
2012年 Creativity A-List
2012年 A-List 2012 : No.3
2015年 A-List 2015 : No.10
2017年 A-List 2017 : No.6
2018年 Agencies to Watch
2019年 A-List Standout

No. 7: McCann Worldgroup

IPG傘下のマッキャン。もはや説明不要ですね。昨年まではMcCann Ericksonとして受賞していましたが、今回から(?)McCann Worldgroupとなっているようです。

2012年 Creativity Standout ※McCann Worldwide New York
2014年 Agency to Watch : No.1 ※McCann Worldwide New York
2016年 A-List 2016 : No.3 ※McCann Erickson
2017年 A-List 2017 : No.2 ※McCann Erickson
2018年 A-List 2018 : No.2 ※McCann Erickson
2019年 A-List 2019 : No.9 ※McCann Erickson

No. 8: Code and Theory

個人的に今回1番注目しているのがCode and Theoryです。主にadidas Originalsとのプロジェクトを評価されていますが、広告代理店とは一体何なのか?と再定義を突きつけるような特異な取り組み(デザインショップ/体験型マーケティングショップ/デジタルクリエイティブショップ)にやっと時代が追いついてきたとかなりの期待が込められておりました。最新バージョンのアドエージェンシーがCode and Theoryと彼らは主張しています。

クライアントは、金融サービス、ヘルスケア、政府、学界と幅広い非常に知的でクリエイティブなエージェンシーに感じます。
W+K、買収前のDroga5とはまた違った路線のエージェンシーだと言えるでしょう。

2014年 Agency to Watch : No.9

No. 9: Weber Shandwick

IPG傘下の老舗PRエージェンシーです。今回のA-Listでは唯一のPRエージェンシー。昨年はランクインならなかったものの、今年は最大手エデルマン(昨年No.4)を抑えてのランクインとなりました。

2009年 A-List 2009 : No.9
2014年 A-List 2014 : No.7
2015年 A-List 2015 : No.4
2018年 A-List Agency Standouts

No. 10: Humanaut

2013年に設立した若い独立系のエージェンシー。CP+D出身のDavid LittleJohn(Chief Creative Director)と、文学とアイデアの歴史?(history of ideas)の博士号を持ったAndrew Clark(Chief Strategy Officer)の異色なコンビがファウンダーです。特に動画を使ったブランディングキャンペーンを得意領域としており、少人数(50人未満)だがかなりパワーのあるエージェンシー。

2016年 Small Agency of the Year : Gold
2017年 Small Agency of the Year : Gold

以上、TOP10でした。
昨年に引き続き、WPPやPublicisの勢いが感じられない結果でした。W+Kの連続首位はアツいものがありますが、昨年のダークホースだったGiant Spoonが姿を消したのは寂しいです。独立系エージェンシーの活躍を応援したくなりますね。

その他の受賞

Agency of the Decade
Droga5
Agency Standouts
・Anomaly
・Mother
・FCB
・Work & Co
・Terri & Sandy
・Fig
・Gut
・ICF Next
Agencies To Watch
・The VIA Agency
・Badger & Winters
・Edelman
・VaynerMedia
・VMLY&R
・Mojo Supermarket
・The Martin Agency
Comeback Agency of the Year
R/GA
Multicultural Agency of the Year
The Community
International Agency of the Year
adam&eveDDB
Creative Agency of the Year
TBWA/Media Arts Lab
In-House Agency of the Year
Squarespace
Media Agency of the Year
Mediahub
Data/Analytics Agency of the Year
Essence
Design Agency of the Year
Collins
Executive of the Year
Brian Whipple(Accenture Interactive)
Brand CMO of the Year
Fernando Machado(Burger King)
Production Company of the Year
SMUGGLER
Production Company A-List
割愛

項目が多い…。それだけアドエージェンシーの形態が様々で評価軸が多岐に渡るということでしょうが、さすがにこうも多いと純粋に比較することは難しいですね。今年も見応えのあるA-Listでした。来年はあるのだろうか…。

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