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20,03,31。私の愛したマンガ⑤

今日で3月も終了。明日からは新年度となる4月がスタートです。
重苦しい自粛ムードのまま新年度に突入ですが「明けない夜は無い」と臨機応変な対応を心がけていきましょう。

5回目となる今回は最近「出れば買う」状態の作家さんです。

田邊剛作品。

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ラヴクラフト作品のコミカライズに特化した田邊剛先生の作品達です。
ラヴクラフトの代表的長編「狂気の山脈にて」をはじめとしたコズミックホラー色の強い作品をコミカライズしており、オリジナル作品も手掛けられています。

最新刊として発表された「クトゥルフの呼び声」もラヴクラフトの味を上手く表現しつつ漫画家としての力量の進化を感じる出来となっており唸らされました。

作家としてのラヴクラフトを客観的に見ると決して上手な作家ではないと感じています。海外作品ゆえに翻訳家の力量もあるかとは思いますが決して読み進めやすい文体とは言えないでしょう。

それでも独特な世界観と味わいに夢中になるファンは多く、もちろん自分も翻訳されている作品はすべて読んだ上にいまだ時々読み返すほど愛好しています。

田邊剛先生も画力高い作家さんではありますが、書き手としてはかなり癖の強い方です。初期作品に比べると最近作では印影描写等の緻密さがUPして一見「上手な書き手」風な印象は強くなっているものの相変わらず独特の癖の強い画風は健在です。

その癖の強さはラヴクラフトの味と正にジャストフィット。

クトゥルフ神話の中でもラブクラフト本人の手による作品群の愛好家である自分も、まったく違和感を感じることなく読み進める事が出来ました。

特に「狂気の山脈にて」に関しては長編である事とフィールドワークノート並みのこれでもかという状況描写の連続と言う癖の強い内容にラヴクラフト作品に免疫のある自分でも初めて読み始めた時は睡魔の襲撃を受け、読了するのに数回のチャレンジが必要だった程ですが、全4巻と言う絶妙なボリュームと最高の組み合わせによるコミカライズで気持ちよく読み進める事が可能でした。

読みやすくなっているとはいえ決してオリジナル作品の持つイメージが希薄になることは無く海外のラヴクラフトファンにも好評の様子です。

短編をはじめ中編である作品「時を超える影」等、結構な作品数のコミカライズを手掛けていらっしゃいますが、これから挑戦していただけるであろう「ダンウイッチの怪」をはじめ、ラヴクラフト作品にはコミカライズが楽しみな作品がまだまだありますのでぜひともチャレンジしていただきたいと思っています。

これからのさらなる活躍がとても楽しみな作家さんで有り、まさに私の愛したマンガの作り手さんです。




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