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23,05,13。ダニッチの怪3巻。

昨日までとは打って変わって朝からさえない天気の土曜日です。

先日amazonに予約注文を入れておいた「紙媒体で購入したいマンガ」2冊のうちの1冊「ダニッチの怪」3巻が到着。残り1冊ダラさんの2巻は来週到着となっています。

休日の午後に到着したばかりのマンガを読むという至福の時を経て初読は完了。この手のページ当たりの情報量の多いタッチの作品は嚙み砕くように数回読みこむ必要があるのでまだ全てを堪能したとは言えませんが、後の多くの作家を巻き込んでのクトゥルフ神話展開の根幹を成す作品ともいえるダニッチの怪は予想通り3巻で完結となりました。

あとがきに書かれていましたが作者の田辺剛氏にとって本作ダニッチの怪はラブクラフト作品のコミカライズを決意した時「いつの日かダニッチの怪を発表しよう」と思うほど重要な作品だったとの事。既にラブクラフトの作品を多数コミカライズされている田辺氏にとっても本作は高い頂でありラブクラフトの世界観の根幹を成す重要作品だったのでしょう。

「窺い知る事の出来ぬ次元からの怪異に対して人類は無力であり成す術も無く狂気にとらわれるのみ」が定番のラブクラフト版クトゥルフ作品の中では珍しく人が努力と英知で怪異を退けるストーリな本作ですが、後のオーガスト・ダーレスを中心に数多の作家陣によって執筆される善悪二元論に基づくクトゥルフ神話群の雛形になったとも言えるかもしれません。

独特のゴシック感が希薄に感じられる事と善神VS悪神という対立構造があまり好みでは無い事からラブクラフト以降のクトゥルフ物はあまり読んでいないのですが、ビジュアルイメージ先行でコミカライズされたダニッチの怪を改めて読んでみると「もしかしたら食わず嫌いだったかも…」などと思い始めたりするから不思議です。

ラブクラフトの重要作と言われる「狂気の山脈にて」「インスマスの影」
「ダニッチの怪」のコミカライズを終えた田辺剛氏。次なる挑戦としては
明らかに巻数が多くなるであろう「チャールズ・ウォードの怪奇な事件」に取り掛かる前のインタールードとして「死体蘇生人ハーバード・ウエスト」あたりに取り掛かっていただけると愛読者として嬉しい所です。

既発作品に比べてもおそらくは作画に怖ろしく手間がかかったであろう本作の完成への感謝&讃辞に次いで勝手な希望などを書き連ねたりする土曜日なのでありました。


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