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20,07,17。私の愛したアルバム㉑

過去にもスーパーグループと称される「凄いメンバーで構成されたバンド」は存在しましたがいずれも話題程の活躍をした印象がありません。

実際エイジア結成とほぼ同時期にzeppelinメンバーとYESメンバーの合体バンドXYZが極秘にリハーサルをしていましたがセッション以上の結果を出す事が出来ずに終わっています。

何しろメンバーそれぞれが有名バンドで活躍していた訳ですから、単発の作品制作で有ればともかくバンド活動を続けるとなるとそう簡単にはいかないのが当然なのでしょう。

絵にかいたようなスーパーグループだったエイジアのデビューアルバムが奇跡を起こせた最大の要因は「過去の遺物扱いされたメンバーがそれぞれエゴを飲み込み、当時もっとも今風なポップ感覚を持ち合わせていたJohn Wettonに主導権を任せた」事にあるのではないかと思っています。

感覚的に時代とのズレはあったにせよメンバー全員が演奏に関しては半端ない玄人なのですから自己主張を押さえ一丸となりさえすれば良い作品を作り上げる事は難しくなかった事でしょう。

King Crimson在籍時からメロディにこだわり、プログレの味わいは残しながらもよりスマートな「三分間のプログレ」を体現していたJohn Wettonがエゴを押さえたSteve Howeをパートナーに制作した曲は当時の広い世代にアピールできる奇跡のアルバムとなって完成し大ヒットとなります。

当時新店舗のオープニングスタッフとして店頭に立ち、一日中ヘビーローテで本作を聞き続ける事になりましたがさほど苦痛を感じる事はありませんでした。ほかにも2枚ほどCD化されたアルバムがかかっていたはずなのですが何のアルバムだったか全く記憶にありません(笑)

エイジアはメンバーが入れ替わりつつも結構長いキャリアを持つバンドですが愛聴したのは本作のみです。次作「アルファ」も決して悪い出来では無いのですが本作と比べるとどこか「未完成」なムードを感じます。

自分の好きなJohn Wettonのカラーは強いものの本作の様な化学反応的な印象は感じません。実際世界的なヒットの続作という事でJohn Wettonが主導権を握りすぎてしまった事で他のメンバーのエゴを増幅してしまい、結果的に一方的な解雇につながったと言われています。

本作を愛聴していましたがMTVと組んだ企画でASIA in ASIAとして日本公演を強行する為に元ELPのGreg Lakeをメンバー入りさせたことを知った時にはプログレ好きとはいえ苦笑しか浮かびませんでした。

好きな音楽ライターの方が本作制作時のエイジアにこだわるファンに「昔愛した女をいつまでたっても忘れられない男の様」と例えていましたが、確かに自分の本作への想いはそんな感じと言えるかもしれません。

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