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【運命哲学#3】トラブルの対処を学ぶ  

トラブルは起きるものです。


なるべくトラブルを避けるようにすることは可能ですが、完全にトラブルと無縁でいることはできません。


人は想定外のトラブルに見舞われるとパニックになり、恐怖に襲われますが、そのときにどう対処できるかが運命の分かれ目です。  


以前、早朝に社員から電話がありました。


社長、倉庫が燃えています」とうろたえた声でした。


その時は納入予定の品で満杯でしたから、一瞬私もパニックになりかけましたが、ここでパニックになってしまえば冷静さを失って最善の対処が不可能になります。


トラブルが起きたらまずすべきことは、状況を認識し、現状を把握することです。何が起きているのかできるだけ正確に知るようにします。


どのくらいの範囲で燃えているのか、けが人は出ているのか、運び出せそうなものはあるのか、慌てふためく社員からとにかく火事の状況を正確に聞きだし、社員もまた話している間に多少は冷静さを取り戻したようでした。  


次にそこから考えられる最悪の状況をイメージします。


一番悪いケースでは何が起きるのか、最低中の最低を考えるわけです。


人が恐怖でパニックになってしまうのは、この先何が起きるのかわからないからです。


最悪の事態を想定しておけば恐怖で立ちすくむことはありません。


これは恐怖に対するマネジメントです。


私の場合、最悪の状況は納入予定の製品が全て燃えてしまって納入不可能になることであり、最悪の状況を把握したことで恐怖の感情を撃退することができました。  


恐怖の感情を抑えることができたら、受け入れます。


最悪の状況は想定できているのですから、それを避けるために何ができるか、何をしなければいけないかを考えるのです。


対処には様々な選択肢がありますが、当然その選択肢は多ければ多いほど有利になります。


昔の失敗や経験がここで活きてくるわけです。


私の場合も過去に起きた様々なトラブルへの対処の経験が役に立ちました。  


最後にいよいよ最悪を回避するための手立てを実行していきます。


恐怖やパニックはすでに克服しているので、冷静に対応できるでしょう。


あとは「緊急性が高く重要なものは何か? 」と考えて優先順位を決めて実行するだけです。


たとえば交通事故を起こしてしまったとしたら、一番緊急性が高く確認しなければいけないのはけが人がいるかどうかでしょう。


もしけが人がいれば最初に救急車を呼びます。


次に警察に連絡をして、余裕があれば事故現場を通る他の車のために交通整理をするのではないでしょうか。


私の場合はまず社員の無事を確かめ、次に幸いにも火事は倉庫全体には及んでいませんでしたので、守れるものを守ることでした。


そして鎮火したところで火事の原因を確かめました。


納入されたばかりの新型フォークリフトのリチウム電池の不具合が原因とわかりましたので、補償交渉と納入予定だった企業との交渉に入ったわけですが、何が納入できて何が納入できないのか、いつ代替品が届くのかなど全てシミュレーションができていたため、納入先からは逆に信用度が増したようでした。


「危機」という言葉には「危険」という意味だけではなく、チャンスという意味もあります。


世にいう成功者は多かれ少なかれピンチをチャンスに変えてきた人です。


これは社会全体にも言うことができます。


経済が良い状態で回っている時は先行者利益ががっちりと固められているために、後発者や若者はなかなかそれを打破することはできません。


しかし、経済が悪くなれば新規参入した者が台頭するチャンスがあります。


大手企業でも、うまくいっているときには必要だとはわかっていてもなかなか組織改革はできないものですが、景気が悪いときには大胆にメスを振るうことができるようになります。  


もう一つトラブル対処の例を紹介しましょう。


半同棲していた相手がストーカー化してしまったと相談に来た女性がいました。


恐怖でパニック状態になり、ぶるぶる震えている彼女に私は「あなたが考える最悪の状態は何ですか?」と尋ねると「身一つで追い出され、家に置いてある家財道具一切がなくなることです」とのこと。


そこで彼女にその状況を受け入れてみることを勧めました。


すると彼女は徐々に冷静になり、家の家財道具は諦めること、新しい部屋を見つけて引っ越すこと、警察や弁護士に相談をすることなど具体的な方法も見えてきて「そんなに大したことじゃないわ」と思えるようになったのです。


現在は弁護士に入ってもらって彼とは別れ、平穏無事に暮らしています。


トラブルに見舞われた場合、まず恐怖に打ち勝つことです。


何が起きるかわからない、理解できないから怖いわけですから、それを理解してしまえば恐怖の感情に飲み込まれることはありません。


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