【精神#10】達人の思考ラベリングとは
一流の思考のクセを学び、実践することで自分の運命を一流に導くことは誰にでもできます。
しかし、そのさらに上の達人を目指すにはどうしたらいいのでしょうか?
達人の思考は一言で言えば「無」です。
思考を「無」にするのが達人の思考、というとなにやら禅問答や昔の剣豪の言葉のように思われるかもしれませんが、人類は昔から長い時間をかけてこの境地を目指してきました。
お遍路さんのようにただひたすら歩き続けたり、座禅を組んだり、山にこもって断食をしたり、ひたすら祈り続けたり、本当に色々な試みが行われてきましたが、全ては究極的には達人の境地を追い求めてのことでしょう。
現代でも大流行しているマインドフルネスなどさまざまな試みが行われているあたり、やはり達人の「無」にたどり着くのは一筋縄ではいかないものであることは間違いありません。
実際に瞑想=メディテーションを試みたことがある方も多いと思いますが、何も考えるなと言われてもそう簡単にできるものではありません。
そういうときにおすすめなのが黙想です。
瞑想と黙想はどちらも目を閉じてじっとしているため傍から見ると同じに見えますが、黙想はその文字の通り「黙って考える」ことです。
自分の心の中に話しかけるもよし、今なりたい自分を考えるもよし、自由に思考を巡らせてみてください。
この黙想という行為をするだけで、否定的だったり弱気だったりする思考回路から、より無に近い状態の思考に自分自身で近づけていくことができます。
ネガティブな二流の思考を「思考のスランプ」と考えるなら、達人の無の思考は「思考のフロー状態」といえます。
フロー状態とは、アスリートの「ゾーン」と同じ、前向きで何よりも気持ちのいい状態です。
次の図のように対比表にしてみるとわかりますが、左のスランプ状態の思考と右のフロー状態の思考、どちらが生きていて楽しいか一目瞭然です。
達人のように気持ちのいい毎日を過ごしたいですよね!
達人思考に近づく「思考の棚卸し」
世の中にはさまざまな「開運」をうたった方法が溢れています。
そんな書籍の多くに共通しているのが「掃除・片付け」ではないでしょうか?
ゴミや不要物で埋め尽くされた部屋にはあなたを幸せにしてくれる素敵なモノも入れる隙間はありません。
それと同じように雑多な思考のゴミは良い思考が入ってくるのを邪魔しています。
捨ててしまいましょう。
あなたの足を引っ張っている悪い思考をまず捨ててしまわなければ今の状況、あなたの思考を変えることはできません。
なぜなら「二者択一の法則」があるからです。
人間は二つのことを同時にはできません。
悩みながら考えることはできないし、不安を持ちながら信じることもできないのです。二流の後ろ向き思想を捨てることで初めて一流、達人へとステップアップすることができます。
思考の棚卸しをするために、棚卸しシートを使います。
棚卸しシートは二種類必要です。
一枚目は(凶)バージョン、二枚目が(吉)バージョンです。
まず、最初は凶バージョンからです。
何でもいいのであなたの頭の中に浮かんでくる悪い思考をランダムに書き出してみてください。
悪い思考とは、考えていると気分が下がる、嫌な気持ちになるような思考です。
次に、「あなたがそう思う」あるいは「そう考えている」というものは「憶測的」にチェックを入れます。
実際に起きたこと、あるいはこれから起きることは「実態的」にチェックです。
実際にやってみてどう感じましたか?
意外といろいろな考えが浮かんでくるものです。
こうして思考の棚卸しをすることで、今あなたの頭の中で飛び回っている雑多な考えを形にして整理することができます。
凶バージョンを一通り書き出したところで「大きな地震が起きたらどうしよう」など、今考えても仕方のない答えの出ない悩みは捨ててしまいましょう。
「地震が起きたらどうしよう」と頭の中でぐるぐる考えているのであれば、おいしそうな災害食や快適に暖を取れるような防災グッズをネットで検索する、あるいは避難経路を地図で確認するなど今できることに置き換えます。
恥をかいたようなことがあれば、「結構ウケたな」などポジティブな感想に置き換えます。
肝要なのは「いやだな」と感じる負の思考を前向きな思考に替え、良い思考で終わらせるということです。
次に吉バージョンを取り出してください。
そこには考えると気分が上がる、ハッピーな気持ちになる思考を同じようにランダムに書いていきます。
重要なのは必ず凶から始めて吉で終わること。
気分が上がる思考は感情のお宝ですから、積み残しがないように書いてみましょう。
部屋を片付けるときもまずゴミを処分して空いたスペースに新調したお気に入りのソファなど好きなものを置きますよね。それと同じです。
思考していて気分が上がる良い思考も、さんざん考えて書きつくしたらやがて飽きてくると思います。
そこまでくれば終了です。
最初は新しいソファが嬉しくて座るたびにワクワクしていたかもしれませんが、やがてそれも飽きてソファがあることが当たり前の日常になりますよね。
飽きるまで良い思考を楽しんだら、それがあなたの潜在意識に落とし込まれます。
では実際にやってみましょう。
掃除でも仕事でも、溜めると後が大変です。
こびりついた汚れが落ちにくくなるように、思考の棚卸しもこまめに行いましょう。ベストなのは毎晩寝る前です。
瞑想は難しいと書きましたが、睡眠は究極の瞑想です。
人間は誰でも寝ている間は「無」に入ることができます。
寝かせないという拷問では必ず命を落とすそうですが、肉体的な死よりも精神の崩壊のほうが先にくるといいます。
睡眠は思考のゴミ捨て場であり、人間は眠りについてから最初の半分の時間でいらない思考を捨て、残りの半分で必要な思考をインプットすると考えられています。
良い棚卸しをするには良い睡眠が欠かせません。
子供の頃には布団に入って目をつぶったら次に目を開けた時には朝だったのではないでしょうか?
それは子供の頃は新しく体験することが多く、毎日が冒険で脳を目一杯働かせて毎日を過ごしていたからです。
大人になるとそうもいきませんが、起きている間の時間をただ漫然と過ごすのではなく、日常の中にも新鮮な驚きや感動を見つけて心身共に活動的に過ごすことで、脳に心地よい疲労をもたらすことができます。
人間の身体は機械ではありませんから、スイッチを切ったらすぐに寝られるというものではありません。
良い睡眠のためには夕食は睡眠の三時間前までに済ませて消化器官を休ませます。
入浴は睡眠の一~二時間前までに。
人間は深部体温(身体の内側の体温)が徐々に下がると眠くなるので、お風呂で温めた身体を冷ましてあげる時間が必要です。
そしてこの身体を冷ましている睡眠の三十分~一時間ほど前を棚卸しの時間にするといいでしょう。
まず楽な姿勢をとり、丹田呼吸を意識します。
丹田とはおヘソから五センチほど下の部分です。
足を踏ん張って床に置いてあるものすごく重い箱を持ち上げる想像をしてください。
あなたは思いっきり息を吸い込み、お腹に力を入れていると思います。
そこが丹田です。丹田を意識した呼吸を丹田呼吸といいます。
まずは鼻から長く、完全に体の中の息を吐ききります。
次に鼻から息を吸い込み、その息を丹田に溜めるイメージでお腹を膨らませます。
そしてまた鼻から長く吐き出しながら、お腹を引っ込めます。
丹田の位置をイメージしにくい場合は手を置いておくと感じやすいですよ。
こうして身体の余計な力を抜き、リラックスしたところで、棚卸しを始めます。
今日あった嫌なことをいいことで上書きし、それから就寝しましょう。
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