Vaundyの「踊り子」の歌詞を深読み
NHKの番組で「妄想かみ砕きミュージック」というのがやっていた。
その番組内でVaundyの「踊り子」の歌詞を自分たちで解釈して、想像を膨らませていたのが、おもしろそうだったので自分もやってみたいと思う。
歌詞の行間を好きに想像で埋めていくのって、かなり楽しそう。
特にこのMVはすごく素敵だったので、お時間のある方は見てほしい。
本家の小松菜奈さんの出てるMVも、最強レベルの雰囲気を放っているが、この新しい解釈もまたとても良い。
「とぅるるる」がゼリーの音ってどうなんだろう…と思ったけど、映像化されると非常に爽やかで曲の雰囲気に合っていた。とくにゼリーに色をぐるぐる混ぜてるところが最高だった。
ということで、自分も歌詞をまとまりごとに引用して、そこに自分が想像した妄想物語を足していきます。
Vaundy「踊り子」の妄想ストーリー
電話を握りしめて、話すことを頭の中でリハーサルしている。
忘れてしまう前に、勇気がしぼんでしまう前に、きちんと自分の気持ちを話しておこうと思う。
記憶は時間が経てばたつほど薄れて、においも手触りも、その時の感情もシャボン玉がはじけるみたいに忘れていってしまうから。
いま、この瞬間も些細なことの一つや二つ、時間の流れの中に置き忘れているかもしれないし。
あの子と僕は、短編作品で共演した。恋人同士の役だった。
僕たちは監督志望の友達に巻き込まれた被害者だった。コンペに出す短編作品に出てほしいと頼まれたのだ。
友達が持つ手持ちカメラが回りだした。
役者志望ではあったけれど、はじめてカメラの前で演技をしたので、なかなか思うようにいかなかった。ようやく役に気持ちが入り、うまくいき始めた頃に作品は撮り終わった。
そして、あの子を好きという感情が役によるものなのか、自分の本当の気持ちなのかわからなくなっていた。ふとした瞬間に、あの子のことを思い出し、あの子と過ごす未来を思った。
友達に教えてもらった電話番号にかけてみる。
とぅるるる とぅるるる とぅるる
電話の呼び出し音だけが響き続ける。
切ってしまったら、もうかける勇気はない。
不在着信をいくつもつけるのも、あんまりよくない気がした。
留守電になったら切ろうと思ったが、呼び出し音だけがずっと響いていた。
私(=あの子)は、着信を知らせて震えている携帯電話をみている。
電話が来ることはわかっていた。
連絡先を教えてもいい?って聞かれたから。
一度しか会ったことがないのに、しかもほとんど話もしていないのに、
私を好きになったのはどうしてなのだろう。
そういえばこの前、あの日の撮影の夢を見た。
遊園地の回転ブランコに乗っている。あなたと隣同士。
監督君は前の席から振り返ってこっちにカメラを構えてる。
少し前に私は監督君に告白した。
その思いを知ったうえで彼は、私に作品の恋人役をオファーしてきた。
「愛してる」「今日のこと忘れないよ」って、はじめて会った男に言わせたのは、どうしてなのだろう。
私は彼のどこを好きになったのだろう。自分の本当の思いに蓋をして、それを蹴り飛ばすように愛を誓った。
作品の中で、私たちは手をつないで遊園地を歩き、カラオケでありきたりなラブソングを歌った。
あの子と僕が、もし違うかたちで出会っていたら、
クラスメートや同僚として出会う未来を、
もしもやり直すことができるのならば
嫌いな先生や、むかつく上司の話をしながら、
被害者面で街を練り歩けただろうか。
僕はこれから故郷へと変える。
特急「踊り子」が発車する。
とぅるるるという音が駅のホームに響く。
電車を一つ見送って、これで最後だと自分に言い聞かせて、
もう一度だけあの子に電話をかける。
とぅるるる とぅるるる とぅるる
呼び出し音は鳴り続け、あの子につながることはなかった。
僕は地元で役者として、細々と活動している。
彼女もまた、東京で芸能活動をしているらしい。
別々の未来に進んでいる僕たちだけど、
またどこかで再び同じ作品に携わることができるだろうか。
「あの作品はひどかったよね。」なんて、二人で思い出話に花を咲かせて、
街を練り歩く日が来るのだろうか。
僕は時代の流れに少しずつ乗ることができて、恋愛ドラマへの出演も決まり、役者の収入だけで生活できるようになった。
あの子が主演をつとめる恋愛映画も、まもなく公開を迎えるらしい。
僕たちは愛に生きる。
それが、かりそめの恋愛なのだとしても、作品を見る人たちにとっては、永遠の愛なのだ。
年を取って、僕やあの子が表舞台から姿を消しても、恋愛ドラマそのものはきっといつまでも残り続ける。そのエンディングにはきっと、どこかで聞いたことがあるようなラブソングが流れるんだろうな。
終わりに
ということで、自分なりのVaundy「踊り子」の妄想ストーリーができた。
最初「ヅラでどっかを練り歩いていた」と思っていたので、
撮影の合間にヅラをつけたまま、衣装の上からコートを羽織って、
街を練り歩いている描写を入れようと思ったのだが、「被害者づらで」だとわかったのでボツに。
「レ・ミゼラブル」や「オペラ座の怪人」のような、キャストが変わって長い期間演じられ続けている、愛の歌のある物語を入れこもうと思ったのだが、うまくいかなかった。(「僕らが散って残るのは」がキャストの交代だと解釈した)
サビのとぅるるるを、電話の呼び出し音と電車の発車音で入れてみました。(カーテンコールも入れたかったけど、調べてみたら音が「とぅるるる」じゃなかった笑)
歌詞に具体的な解釈や、場面を追加していくのはとても楽しく、Vaundy「踊り子」の作品が持つ懐の深さを改めて実感した。曲を繰り返しリピートしながら書いていたんだけど、とても良い曲。
最後に本家のMVを紹介しておきます。
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