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ジョブメドレーを支える価格戦略とは。決算から読み解く「メドレー」の戦略。HRのIR

元リクのなまリクです。主にHR領域のIRについて書いています。今回はメドレー社のIR分析です。
※この回は「メドレー社 2021年12月期 第2四半期 決算(2021年4月〜6月)」を起点に解説しています。

コロナ追い風の医療人材事業

メドレー社。医療介護求人サイトの「ジョブメドレー」を中心に、クラウド診療支援システム「CLINICS」などの医療プラットフォームを展開している医師が経営する会社です。なまリクの本記事では主に医療介護求人サイトの「ジョブメドレーの「人材プラットフォーム事業」を中心にお伝えします。

とはいえ、まずはメドレー社全体の数字のおさらいです。2021年12月期2Qは売上34億(YoY+47%)、EBITDA11億(YoY+59%)の増収増益(下図)。ジョブメドレーの「人材プラットフォーム事業」、CLINICSの「医療プラットフォーム事業」、いずれも堅調で、上方修正された業績予想、売上112億に対して順調な進捗です。
時価総額はおよそ1,281億。PSR(株価売上高倍率)は10倍以上です。

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メドレー社 2021年12月期 第2四半期 決算より。

事業ポートフォリオとしては「人材プラットフォーム事業」8割、「医療プラットフォーム事業」2割といった構造です。ジョブメドレー依存ですが、後述する計画的な事業マネジメント方針によって改善傾向にはあります。

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メドレー社 2021年12月期 第2四半期 決算より。

ジョブメドレーを支える戦略。ミドル・テール領域とコストリーダーシップ

ジョブメドレーがなぜここまで快進撃ができるのか。その戦略は2つに集約できるかと思います。

ひとつめはミドル・テール領域の攻め方。約870万人の医療従事者のうち約25%を医師・看護師・薬剤師が占めています。ドル箱のこの市場は人材紹介が跋扈してレッドオーシャン状態です。一方で、従事者の約 75%の職種つまりミドル・テール領域はハローワークが主の領域較的競合が少なく(介護士は多いと思います。個人談)まずこのトップシェアの獲得しにいったという見立ての妙です。

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ふたつめは、コストリーダーシップ。医療人材の有料採用手法は、主に医者や薬剤師など高単価領域は決定課金ビジネスモデルの「人材紹介」が、パートや低単価領域は掲載課金ビジネスモデルの「ジョブボード」がそれぞれ担っています。ジョブメドレーは「ジョブボード」方針でありながら低単価の決定課金を採用しています。通常の人材紹介決定課金のコミッションが20%~35%に対して、ジョブメドレーは2%~13%と圧倒的な低プライシング戦略を採用しています。これによりハローワークなどを利用していた事業者層がリスクテイクすることなくジョブメドレーを利用し、顧客基盤をバク増させていきます。

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人材プラットフォーム事業の今後の投資戦略とは?

材プラットフォーム事業は、ジョブメドレーに加えその顧客基盤を活かした新プロダクトの開発投資を積極的に行っていく予定です。2021年2月 株式会社メディパスを買収、まずはオンライン研修に関するプロダクトを装着していく予定。競合他社がこぞってHRテックと称して、ATS領域や勤怠管理領域に参入していくのとは対象的に見えます。

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計画的な事業マネジメントとユニークな経営体制

多様な事業を展開するメドレーでは、事業をフェーズごとに区切り黒字化時期をコミットしています。利益化フェーズ (営業キャッシュ・フローは赤字の状態だが、ユニット・エコノミクスが健全な状態 )と事業化フェーズ (営業キャッシュ・フローの創出に向けたビジネスモデルの構築、ユニット・エコノミクスの精査を行っている状態 )を明確に分けて、事業ポートフォリオをマネジメントしています。

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またユニークな経営体制も注目ポイントです。今回は詳細まで触れませんが、スキャンダルを起こした豊田剛一郎氏、 ライフネット生命保険元CEOの岩瀬さんのジョインなど、話題に事欠きません。

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