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ワークス創業者 牧野さんの講演会memo

ドキュメント概要

2022年夏に株式会社ワークスアプリケーションズ創業者の牧野正幸氏が登壇された公開講演「スタートアップからの軌跡 経営と支配の狭間で」に参加した際の議事録です。経営に際して示唆に富む点が多かったのはもちろんですが、ワークスの隆盛を就活生として見ていた私にとっては、舞台裏の興味深いお話ばかりでした。

ワークスアプリケーションズは、日本のスタートアップのなかでも草分け的な存在で、上場後1,000億近くの時価総額をつけ、2011年にはMBOしたことでニュースにもなりました。毎年1,000人単位の有償インターンを行うことで衆目を集める会社でもありました。インターン実施費用が巨額になるため、引当金の用意まであったと噂を聞いたこともあります。

今回は自分向けの整理をすると共に、noteでも公開してみます。本note公開にあたり牧野さんにも了承を頂きました(ありがとうございました)。

自己紹介

澤悠詩(@kujira_poe)と申します。 2015年にfreeeに入社しています。
顧客インタビューとSaaSとプライシングが好きです。

個人的に響いた箇所サマリ

  • 事業には絶対に社会貢献性が必要。社会貢献性がない事業に優秀な人は集まってこない

  • 日本ではマネジメントバイアウトは成り立たない

  • 立てた事前計画に対して、想定外のことしか起きなかった(ポジティブな想定外はなかった

  • 創業メンバーはこの人とじゃないと成功できないと思う人を口説く

  • 人材の選別にお金をかけないスタートアップは絶対成長しない

  • ほとんどのスタートアップでは組織を作るのが早すぎる

  • 創業者は絶えずポジティブシンキングのペシミストであるべき

  • 大きなマーケットはあるが、放置されているのは難易度が高いから。そのなかで自分が解決できるものがアクセス可能なマーケット


議事録詳細

※この議事録は講演参加時のメモを元に書いており、個人的な解釈が多分に含まれることをご承知下さい。

ワークスアプリケーションズ、パトスロゴス創業の経緯

  • ワークスアプリケーションズ(以下ワークスと呼称する)

    • 前提として、90年代の日本企業は高度経済成長を通して稼いだお金で、企業のコンピュータ化にも潤沢にお金をかけてフルスクラッチのシステム開発していた。一方グローバルでは、共通モジュールは買って競争上重要なモジュールだけスクラッチ開発するのが通常だった

    • IBMで働いていたとき、牧野さんはどの会社でも同じERPモジュールを一から開発していることに苛立ちを感じてワークスを創業した。1996年ワークスアプリケーションズを創業(34歳)して2001年に上場させた。2015年までCEOを務めていたワークスのERPは、日本の上場していている大企業の55%に導入できた

  • パトスロゴス

    • ワークス時代と同じことやっても仕方ないと考えて、人事関連の共創プラットフォームを作っている。

    • そもそも中小企業向けSaaSが流行っている一方で、大企業ではSaaSを使っていない。freee、マネーフォワード、ラクスといったスタートアップが出てきているが、ほとんどの場合中小企業向けの業務特化である。そのため大企業が業務にSaaSをいれようとすると、数十種類のSaaSをいれないといけないし、SaaS同士が繋がらないので、AにいれたデータがBに入っていない

    • パトスロゴスはSaaSベンダーが繋がるようにする試み

      • プロットフォーム上に項目が用意されていて、SaaSがそれにつなぐ。大抵業界団体がまとめようとしても、企業それぞれのエゴがあってまとまらない

      • 牧野さんにはワークス時代の経験値がある上に、大抵のSaaS企業にはワークスの元社員がいる、もしくはワークス出身者が創業しているケースも多いので、まとめやすい

日本の閉塞感を打破できるのはスタートアップである

  • 日本は成長が終わって30年間、大企業でも賃金が上がっていない

    • グローバルでの採用競争のためマネージャー級の賃金は上がっているが、実はポストの数は減っている。昔はよくわからない様々なマネージャーの肩書きがあったが、最近は課長にもなれない50代がでてきた。マネージャーの賃金が上がってもポストは減っているので、差し引きで見ればマネージャーも賃金は上がっていない。一般社員は当然ながら上がっておらず、これが閉塞感の根底

    • 大企業に勤めている人がお金を持っていないから、デフレになる。中小企業は、彼らがお金を使う先であることも多いため、デフレが加速した

  • これを打破できるのは、freee、マネフォ、メルカリなど有望なスタートアップ

    • スタートアップには優秀なエンジニア・人材が必要であり、人材確保には給与を高くする必要がある。日本でもスタートアップであれば、優秀な新卒は600万になる。これが賃金上昇の圧力になる

    • ワークスは中国(工科大学)とインド(IIT)の学生を日本で一番新卒採用していた

      • ワークスはIITの新卒に当時600万払っており、これはインドでも破格の条件だった。しかしアメリカ企業の条件はさらに高く、最優秀層は他社に取られた。オラクルが2,500万、Googleが1,800万出したことで、上位18名がもっていかれて、ワークスは600万で、次点の優秀層を採用できた

      • 現在1000万以下では優秀層は取れない

    • 大企業の平均賃金や初任給はオープンになっているが、本当の中身はわからない。公開している給与の計算式はいじりようがある。昔は給与が高いと無用な嫉妬や批判があったので、例えばメガバンクであれば、一般職の給与をいれて平均給与を公開していた。しかし現在は一般職を入れていない平均給与が下がっている

  • その結果、大企業も焦っている

    • これまで大企業は外から見れば給与が高そうで、実態としても高かった。ブランドと報酬が一致していていた

    • しかし現在の大企業は賃金を上げられないが、スタートアップは賃金を上げて優秀な学生を採用している。優秀な先輩がいくと、優秀な後輩が集まるようになる。ワークスが2016年に東大を19人取ったが、日本で7番目に多かった


a)創業に社会貢献の目的は必要か?

  • 自分の金儲けのために起業するのは悪くないが、必ず行き詰まる

    • 良いタイミングになると優秀なやつからどんどん抜けていってしまう。その結果なんかよくわからない人だけが残る形になる。金儲けのためならば、自分だけでやればよい

    • 社員を増やすなら、社員の未来を考えないと集まるわけない

  • 事業には絶対に社会貢献性が必要

    • 社会貢献性がない事業に、優秀な人は集まってこない。もちろん、社会貢献性に加えて給与が高くないとだめだが、社会貢献性があると会社の達成を喜んでくれるようになる

    • これがなかったら世の中が困る、という事業が良い。すでにある企業を真似するのはよいが、真似した事業は優秀な社員が真似して独立する。似たような会社が中途半端にいっぱい増えて市場が縮小するだけ

    • 最初は自分のためだけにやってもいいが、途中で社会貢献性のあるビジネスモデルを見つけないと大きくならない。間違って大きくなると、今度は人材が抜けて続けてしまい悲惨である。

b)想定市場規模と想定シェアをどう想定するか?

  • そのビジネスモデルがうまくいった場合、どの程度のビジネスボリュームになるか、厳しく試算するべき

    • 例えば大成功しても売上が20億にしかならない場合、あとから修正するのは大変。ここまでたどり着くのも大変だが、市場規模が小さいとそこからまったく違うビジネスを考えないといけない

    • 上場したスタートアップでもこうした事例はたくさんある。上場してからまったく新しい事業を始めてしまっては上場している意味がなく、企業が只の箱になってしまう

  • 社会的なインパクトを出すためにも、どれくらいのビジネスボリュームになるのか想定しておく必要があるが、自分に相談してくる人にもこれが甘い人が多い

    • 風が吹くと桶屋が儲かる的に夢想しているケース。会員をたくさん集めて、広告でマネタイズするというアイデアの場合、①集客が大成功して②マネタイズが大成功する、という2回の奇跡が必要になる

    • ワークスは1000億くらいのマーケットだと思っていた(USが2000億なので半分)が実際はUSの1/5だった。人事関連で広げて500億の売上になった。慎重に見ていたもののこんな感じだった

    • 売上は世の中に対してのインパクトである(ECの場合は、GMVで見ても良い)

c) キャッシュフローが黒字になるまでにどの程度の資金が必要なのか?

  • ワークスは20億必要だと考えていた

  • キャッシュフローがコンサバティブに黒字になるタイミングを見据えて調達するべき


d) 資金構成はどうするべきなのか?

  • 常に次の資本を調達することを考えておく必要がある

    • 96年当時は知識をもってなかったため、ワークスの資本構成は滅茶苦茶だった。お金必要だったので毎年調達していた結果、上場直前には経営陣の持ち株の割合は0.2%しかなかった

    • しかし当時のジャスタックがオーナー経営者(持ち分20%以上)の企業しか上場させてくれなかった。今考えれば不思議な慣習だが、オーナー経営者じゃない企業が上場しては、上場後の株主に対して無責任じゃないか、という思考だと思う。ワークスの場合、上場するためにVC同士が話し合って経営陣に20%くれた

  • 最初は資本構成はどうでもいいと思っていた

    • VCは成功を邪魔しないはずだし、自分たちはインパクトさえだせばいいと思っていた。上場前まではその考え方でよかったが、上場後はそれが間違っていたことがわかる。成功までは応援してくれるひとはいるが、成功後は資本構成がからんでくる

e) 創業時にデットに頼るべきなのか?

  • 個人保証のデットは経営者を病ませるため、借りるべきではない

    • 上場前にデットで資金調達するときは、基本的には個人保証が必要なケースが多いが、会社ではなく自分が返さないといけないお金で事業をやるのはナンセンス。

    • 外部資本をいれて、かつデットで借りてくると、成功の果実がだれのものかというと、自分のものだと言いたくなる。個人保証という個人のリスクを取ってお金も調達しているのに、成功の果実を外部資本と山分けしなければならない。これはおかしいと言いたくなる

    • 牧野さんは一度も個人保証を付けたことがない

  • 上場後なら個人保証なしで借りれるのでデットで資金調達することも良いと思う

  • また換金制の高い、例えば来月の仕入れ費用のためになら個人保証のデットでもいい

f) 資本構成において自らのシェアはどう考えるべきなのか?

  • 上場を考えないなら、株主は自分だけでよい

  • 上場を考えているならば外部資本を入れるべきだが、その場合はシェア50%以上もっていることが望ましい

    • 逆に50%以上もたずとも良い。50%以上持っていれば誰になにを言われても関係ない。冗談でいえば株主総会だっていらない。自分だけで決議できる

  • 上場後は34%以上をもっていることが望ましい。MAの意思決定を行うにもシェアが大きいと意思決定もやりやすい

    • 上場後、牧野さんらはワークス株の20%しかもっていなかったなかで、当時USの競合他社から買収オファーがあった。社会貢献を考えなければ売ってよかったけど、日本企業のために作った会社だったため売りたくなかった。

    • 一方で株の80%が市場に流通しているので、自分たちに決定権がなかった。ワークスが買収されたら、間違いなくワークスは消滅させられて買収した別会社に顧客を吸収されるだけになると思っていた。競合他社がワークス株の80%をもっていたら、極論お客さんを無視して、別サービスに移行させることも可能。

    • ワークスがなくなるのは嫌だったのでMBOをした。MBO自体が正しい意思決定だったかは別だが。

g)エンジェル・CVC・VCそれぞれのメリット・デメリット

  • エンジェル

    • 投資を受けてよいエンジェルの条件は2つ

      • 元々自分との人間関係がある。他人が紹介してくれた人はNG

      • その人に資金余裕があるか。上場企業の社長でお金をもっていると良い。投資を生業としている個人投資家はNG

    • 上記に当てはまらないとNGな理由

      • エンジェルの中でも、何も考えていない人もいる。そういう方は、例えば投資して2-3年経って、お金まわりが悪化するとお金を返せと言ってくる。当然返す必要はないのだが、非常に揉める

  • CVC

    • マジョリティの場合、誰が投資の意思決定しているかが重要。社長なら実質的にエンジェルと同様なので問題ないが、意思決定をサラリーマンがしている場合、転職や異動などでいなくなる可能性がある

  • VC

    • 彼らはイグジットを生業にしているのでイグジットするために非常に協力的。独立系VCが一番良い。厳しいことはいうが、厳しいことはどこでも言う

h) 上場の目的とは何か

  • 本来は自社事業のための資本調達が目的になるべきだが、日本では無理だと思う

    • 日本の上場以降の資金用途はMAだけしかない。100億調達して、100億自社事業に投資するとPLが赤字になって株価が落ちる一方で、MAだとPLが痛まないから。USは一括償却できるなどPLが傷まないようにする方法があるが日本はない

  • 上場メリットの神話

    • 「上場すると信用される」はナンセンス。上場できるくらいの売上だったら取引先からは信用されている。メリットは経営者のクレジットカードの与信枠があがるくらい

    • 「採用にプラスになる」もナンセンス。ワークスの場合、上場前後で変わらなかった

i)上場後に株主とどう付き合うべきか

  • 上場後にまじめに株主と話すと経営者は病む。どんな機関投資家にも、これ以上利益伸びないでしょ、成長するとしても利益も伸びるの?と言われる

    • 大抵の経営者は負けん気が強いので、どんな株主にも利益について言われて言い返すが、言い返していくうちに経営者の中で、利益に対しての強迫観念が根付く

    • したがって牧野さんは、知り合い経営者には株主に淡々と説明しろと言っている。株価が上がったとしても創業者が簡単に自分の株を売るわけでもないのでメリットない。たとえ伸びないと言われても、そう思うならいいよというスタンスでいること。投資家と議論するべきではない

  • 中期計画も出すべきでなはいし、個人的に好きではない

    • スタートアップの計画は変わっていくし、そういうものである。しかし計画が変わると市場でぼろくそ言われるので、変えられない、変えるタイミングが遅れてしまうため、デメリットしかない

j)MBOの是否

  • 日本ではマネジメントバイアウトは成り立たない

    • 再上場を試みても、社長が変わっていないと東証が受け入れてないため上場できないため。東証にしてみれば、株価が下がったタイミングでMBOして高くなりそうになったら再上場することは良いとこ取りに見えるから受け入れないのだろう。

    • 経営者が変わっていれば東証は受け入れてくれるが、それはマネジメントバイアウトではない。上場廃止したあとに他社への売却することも同様にMBOではない

  • 単なるプライベートエクイティへのバイアウトなら良い

    • 経営者がお金もらって引退してもいいし、他のビジネスやってもよいが、それはMBOではない

    • ちなみに、PEとはVCと異なりリスクをとらないものである。PEはキャッシュフローが見ていて、イグジットが見えているところに大金いれてくれる。国内PEは寄り添ってくれるところもあるが、海外PEはしない

    • PEとMBOするのは難しいと思う。自分が引退するならいいと思うが。


会場からの質問

資金調達について

  • ワークスの資金調達をどのように行ったか

    • 2000万円を経営陣の手金でやったが数ヶ月でなくなった。資金調達は大変だった。創業直後から新規調達していて、VC協会の出しているリストに全て電話して1、2社が話を聞いてくれたが、本当に話を聞いてくれただけだった。当時グロービスの堀さんがニフティでなんでも答えるという企画をしており、そこで今度VCやると話していたので、事業計画を送りつけて成功した

    • 事前計画は相当想定パターンを増やして練ったが、想定外のことしか起きなかった。ポジティブな想定外はなかった

    • ワークス当時のCEOの仕事の半分は資金調達だった。資金調達4回を上場までの5年でやった。それ以降はやらなかった

  • どんなVCから調達するべきか

    • 基本的にはリードは独立系VCがよい。老舗VCや金融系もいいが、シードに出すほどリスクは犯せない。また、お金があるというより、事業を理解して伴走してくれることが重要である。独立VCのトップと付き合えば応援してくれるし、他VCを引き込むこともできる

  • 上場は早いほうがいいか、遅いほうがいいか

    • 資本が入っているならば、上場は早い方よく引き伸ばす理由ない。特に最近ユニコーンブームは投資家にとってのメリットしかない

    • もう少し大きくないと売りたくないという投資家が引き伸ばしている。VCは上場後に特定時期に売らないといけないので、できるだけ大きくなってて市場での株価が高くなりそうな時期に上場してほしい


創業メンバーの集め方

  • 創業時は自分が何でも行うスーパーエースでなければならない。しかし自分よりもスーパーエースになってもらえる領域には、創業メンバーを探してやってもらうべき

  • ワークスの場合、創業メンバー3人は友達でも会社の後輩でも先輩でもなく、仕事のプロジェクトで知り合った人の中で、各領域で優秀な人を見定めて口説きにいった。この人とじゃないと成功できないと思って口説いた

    • 牧野さんは元はエンジニアであり、どんなプロダクトを作るべきかはわかっていた。しかし製品はBtoBであり顧客はエンタープライズなので、リアルな営業能力が必要だったため、自分が知るエースを創業メンバーとして口説いた。また、製品の方向性は自分が決められるが、開発のプロジェクトマネジメント能力はなかったので、そのエースも創業メンバーとして口説いた

    • 財務が欠けていたため牧野さんが担当したが、知識がないため資本構成が無茶苦茶になった。パトスロゴス創業にあたっては、その学びも取り入れて起業している

  • 誘う時にこのひとでいいや、という妥協はNG。

    • こいつは自分よりできる、リスペクトできる相手である必要がある。創業メンバーとはリスペクトしていたので一緒に遊ぶこともなく仕事でしか会わなかった。牧野さんの熱意だけではなく、彼ら自身にも自分で起業できる自信があったから一緒にやってくれたのだと思う


新卒向け問題解決能力発掘インターンシップが出来た経緯

  • もともとは優秀な中途を採用するために開発した採用プログラムだった

    • 優秀な人は大企業に確率高く分布している。大企業が優秀なのはブランドやモデルもあったが、実際に優秀な人材がいたから。しかし現代では優秀な人でも大企業でも働いても活躍する場所がないので、スタートアップにいくべき

    • 30代で大企業で働いてる人に6ヶ月かけてIT素養を注入するプログラムで、プロダラムに合格した人を採用していた。Slerで2年やる内容を、ワークスが給与を出しながら6ヶ月で習得させるプログラム

    • プログラム受講者に、なぜ自分の学生時代にやってくれなかったのかと言われたので新卒向けインターンを実施した。優秀層がどこにいるかと言うと、大企業を除けば新卒の中にいる。新卒側も選別されて入ると安心する。合格後数年間は、いつでも入っていいよパスを渡していた

    • 牧野さんの考える優秀の定義とは、次の2つを兼ね備えた人材のこと

      • 論理的思考力:論理的思考力が低いと良いアイデアは出せても考え切ることができない。大学の偏差値に比例しやすく、テストで測りやすい

      • 柔らかさ(クリエイティブシンキング):いろんなテストやったが柔らかさは計測しにくい。マイクロソフトやGoogleのテストは面白いが、論理的思考力あるひとだと思考回数重ねて解けてしまう。柔らかさは訓練してできたとしても、素養ではない

    • 人材の選別にお金をかけないスタートアップは絶対成長しない

  • 牧野さんは基本的に人は育成できないと考えている

    • 育成もできるがコスパがいいのは採用であり、採用にお金かけた方がいい

    • いろんなことに才能があるように仕事にもある

      • なので発掘することが大事

      • 同じことを学ばせても才能の有無で成長力が全然違う

    • ビルゲイツが同じこと言っており、育成よりはるかに採用が大事

  • インド、中国には社員を常駐させてインターンをグローバルに実施したが、日本のトップ層と思われてた人材でもランキングの半分にも届かなかった

    • インド・中国の学生は、人口も多いなか勝ち抜いてきたトップ層であるため、日本のトップ層とは異なることはもちろんだが、日本の学生と比べて絶えず勉強しているためこれだけの差がでた

優秀な人はやめるものである

  • 面白い仕事があって、自分がやるべきことが見つからないうちは、会社のなかでやってくれるが、見つかってしまうと引き止めるのは無理

  • 優秀な人には次々に難しい仕事を渡して、絶えず給与を上げていくべき

    • 例えば社員の平均能力が100とした時、日本では300の社員に平均の3倍払わない

    • ワークスでも1.5倍だったが、USでは3倍払う

  • 退職は基本的に引き止めない、引き止めても仕方ない

    • 失敗したら帰ってきてねと言っていたし、実際帰ってきた

組織について

  • ほとんどのスタートアップでは組織を作るのが早すぎる

    • 組織を作ると経営者は伝える相手がマネージャーだけになるので楽ができるが、組織が硬直的になる

      • スタートアップ初期に優秀だったひとをマネージャーにすると、あとから入った人がもっと優秀だったときに、降格できない

      • 皆さんも他社の役員と会ったときにがっかりすることはないですか?

    • ワークスは鍋型組織にして、経営者が全員に向かって話してた

      • せいぜい先輩という役割があるくらいでマネージャーを作らなかった

      • マネージャー=組織を作らないと、効率が落ちていくが機能はする

        • 創業経営者であれば300名くらいまでマネージメントできる。創業者だからなんだかんだ言うことを聞いてくれる

      • 経営者が「これ以上無理」と思うタイミングの少し前に、マネージャー=組織を作るべき

        • マネージャー職をいきなり作っても、マネジメントしたことない人材ではいきなりできない

        • メンバーが組織で働くことに慣れていないので言うことを聞かない

    • ワークスは組織を作るのが遅すぎたので大変だったが、組織を作ることはトレードオフなので答えはない

      • 組織を作ることは硬直的になるが、それで効率的になる。両立は難しい

      • ワークスは国内で3000名になったタイミングで組織を作った

創業者の役割

  • 正しいことをする

  • 絶えずポジティブシンキングのペシミスト

    • 能天気なやつはだめ

    • 悲観的だが、思考はポジティブで、みんなを引っ張っていく

課題の見つけ方

  • 大きなマーケットはあるが、放置されているのは難易度が高いから

    • なぜか放置されている理由を考えてみる

  • そのなかで自分が解決できるものがアクセス可能なマーケット

    • 自分もいつも考えている

おわりに

ワークスアプリケーションズは上場だけでなく、MBOからの創業者の退任など、様々のドラマがあった会社です。
急成長スタートアップの物語は巷に溢れていますが、スタートアップ企業が経営を進めるにあたり直面する苦悩を聞ける講演というのは、多くないのではないかと思います。講演の事前説明にも次のように書かれています。

スタートアップ企業では、成長するにつれて従業員や取引先企業、政府や地域社会、銀行や株主など利害関 係者との間で軋轢が発生し、経営の舵取りが困難になっていくことが往々にしてあります。そうした諸問題が 複雑に絡みながら増えていき、仲間と語り合った若かりし頃の楽しい夢が、会社を運営・管理する煩わしい仕事へと変わっていくこともあります。 

どなたかにとって本note記載の内容が一助になれば幸いです。


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