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アウトサイド ヒーローズ:エピソード9-01

センセイ、ダンジョン、ハック アンド スラッシュ

 旧文明時代の軍事基地跡に築かれた城塞都市、カガミハラ・フォート・サイト。その地下には、今や使われることのない旧文明時代の遺構が取り残されていた。

「マギフラワー、そっちに一匹行ったぞ!」

 薄暗い地下空間に、男の声が響く。中空に浮くドローンの照明灯をあびて、素早く走る黒い影が浮かび上がった。

 両目を光らせながら四つ脚で駆ける獣は、薄ピンク色のドレスをまとって杖を携えた魔法少女に向かって飛び掛かった。

「このっ……“ブランチロッド”! やあっ!」

 魔法少女“マジカルハート・マギフラワー”が叫ぶと、杖の先端が光を放つ。突き出された光の杖は、勢いのままに突っ込んでくる獣を貫いた。

「ギャアアア!」

 猛獣は断末魔の叫びをあげ、突き刺さった杖ごと崩れ落ちる。“マギフラワー”は杖の柄を握ったまま、その場にへたり込んだ。“ブランチロッド”の先の光は、細かな粒となって消え失せている。

「ごめん、雷電! エネルギーが切れた!」

 杖を引き抜いた魔法少女が、一緒に地下に潜っていた男に向かって叫んだ。

「何だって! ……くそ!」

 雷電と呼ばれた男は鈍い銀色のパワードスーツをまとい、獣の群れと闘っていた。二匹の猛獣がナイフのような牙を剥きだして、同時に雷電に飛び掛かる。

「“サンダーストライク!”」

「『“Thunder Strike”』」

 雷電の叫び声に応えて、スーツから人工音声が応える。スーツが青白く輝き、光はほとばしる電光となって両手の拳に集中した。

「……ハアッ!」

 牙を突き立てんと、大きく口を開いた獣が雷電に食らいつこうとした時、高圧電流をまとった双拳が突き出された。

 左右の拳はそれぞれの獣の顔面に叩きつけられ、電撃が脳天を貫く。即死した獣たちが崩れ落ちると、周囲を取り囲む仲間たちは雷電に向けて戦闘態勢をとったままじり、と後退した。

「『……Discharged!』」

 雷電スーツの電子音声が、スーツに搭載されたバッテリーが放電を終えたことを告げる。二人の戦いを見守っていたドローンもカメラのセンサーライトを光らせながら、スピーカーから声を発した。

「『ストライカー雷電! わかってると思うけど君のスーツも、そろそろエネルギー切れが近いぞ!』」

「ああ、そうだな! 仕方ないが……やるぞ!」

 ストライカー雷電は腰にくくりつけていたメタリック・レッドのナックル“イグニッショングローブ”を取り出すと、右手に握り込んだ。周囲を取り囲む剣牙の猛獣……“ダガーリンクス”ににらみを利かせながら、ナックルをかざして叫ぶ。

「“重装変身”!」

 “イグニッショングローブ”を握り込んだ右手で、ベルトのレバーを引き上げる。拳を叩きつけてレバーを再び引き下げると、ベルトが電子的な叫び声をあげた。

「『OK! Generate-Gear, setting up!』」

 ベルトから、激しいフラメンコ・ギターの旋律が流れ出した。雷電スーツの装甲から炎が噴き上がると、獣たちは毛を逆立てながら唸り声をあげる。

「『Equipment!』」

 音楽が終わるとともに炎が消えると、雷電はメタリック・レッドの装甲に身を包んでいた。金色から銀色へとグラデーションするラインがスーツに走り、暗闇の中でぎらりと輝く。

「『“FIRE-POWER form, starting up!”』」

「ウオオオオ!」

 電子音声が変身完了を宣言するやいなや、雷電は雄たけびをあげながら獣の群れに突っ込んだ。

 “イグニッショングローブ”と一体化した右手で手前の一匹を殴りつけると、殴られた“ダガーリンクス”は炎をあげて燃え上がった。周囲を囲む獣たちのおびえた表情が、暗闇に赤く浮かび上がる。

「逃がすかよ!」

 炎雷を迸らせながら、雷電が駆ける。獣たちを追い立て、次々と拳を撃ちつけて屠っていくと、空中のドローンが声を上げた。

「『いいぞ雷電、バッテリーも再充電できてる! ……でも、気を付けて! 過充電になる前に、カタをつけるんだ!』」

「言われなくても……オラァ!」

 雷電の拳が火を噴く。振り抜くたびに一匹、また一匹と獣が打ち倒されていった。無数の“ダガーリンクス”の群れが切り崩されていくとともに、メタリック・レッドの雷電スーツの、隙間から白い煙が立ち上り始める。

「『雷電、そろそろスーツが限界だ!』」

「くそ……! でも、今止まったら取り逃す……! このままやるしか……!」

 ドローンからの警告通り、ベルトからも警告音のようなアラート音が鳴り出した。スーツ全体が発熱しはじめる。雷電はゆらめくかげろうをまといながら、“ダガーリンクス”を追いつめた。

「あと、少し……!」

 断続的に鳴り続けるアラート音の間隔が短くなり、音量も上がり始めた。

「『雷電! 限界が近いぞ! スーツの自爆まで、多分……あと、20秒だ!』」

 ドローンが叫んだ時、雷電は残された獣の群れを壁際に追いつめていた。

「『これ以上はヤバい!』」

「そんなら……一気にブチかます! “ファイアボルト”!」

「『Fire Volt』」

 必殺技の発動コードを叫びながら真っ赤な右の拳を突き出すと、猛烈な炎が噴き出した。炎の流れは渦を巻き、生き残っていたダガーリンクスの群れを次々に呑み込んだ。

「『凄い威力……』」

「くそっ、コントロールできない……! マギフラワー、逃げろ!」

 今や地下空間全体が燃え、赤く染めあげられている。しかし雷電スーツの右手からは、湧き出すように炎が噴き出し続けていた。

「ひゃあ……!」

 うずくまっていたマギフラワーは慌てて床面を這い回り、壁際に見つけたハッチを開いた。

「雷電、お先!」

 ハッチを開いて中に飛び込む。ドローンも吸い込まれるように穴の中に入っていき、ハッチのフタが閉ざされた。

「ウオオオオ!」

 雷電の叫び声が、猛烈な炎の中に消えていく。炎雷は地下フロア一帯を覆いつくし、地上への連絡通路からも漏れ出して火の手を上げた。


 ピアニストが指慣らしに奏でるエチュードが優しく流れる、午後のミュータント・バー“止まり木”。ランチライムの営業も終えた店内に、数人の客の姿があった。

「レンジ君、お疲れ様」

 店の女主人にして歌姫の有翼ミュータント・チドリが、カウンターテーブルに薄ピンク色のカクテルグラスを置いた。カウンター席の男はノンアルコール・カクテルのグラスを取ると、ちびりと傾けた。

「ありがとう、チドリ姉さん……ふう」

「マダラ君と一緒に見ていたけど、すごい炎だったわね! 大火傷するんじゃないかと、思わず心配してしまったわ」

 チドリが言うと、“ストライカー雷電”に変身していたレンジは小さく笑う。

「心配かけてごめん。でも、雷電のスーツは炎を防いでくれるから、俺は大丈夫なんだ」

「ほんと、大変だったのは周りよ……」

 カウンター席に並んで腰掛けていたスーツ姿の若い女性が、頬杖をついてこぼした。彼女は滝アマネ。巡回判事職を拝命する傍ら、人知れず魔法少女“マジカルハート”に変身して人々を守るために闘っているのだ。

「うふふ、アマネちゃんもお疲れ様。今日はこの後、お仕事は終わりなんだっけ?」

「そうなんですよチドリさん! だから……」

 チドリは微笑みながら、模造赤ワインのボトルを取り出した。

「それじゃあお疲れ様、ってことで。街のために頑張ってくれたから、これは私のおごりね」

「わあい、やった!」

 グラスに深い赤色の液体が注がれるのを見てアマネが目を輝かせていると、ドアベルがからん、と音を立てて来客を告げた。

「ママ、邪魔するよ」

「タチバナ先輩、居酒屋じゃないんですから……」

 二本角の赤い肌の男と、機械部品の頭を持つ男の二人連れが店に入ってくる。“タチバナ先輩”と呼びかけられた男は頭をかいた。

「うーむ、自分の店の感じしかわからんから、俺にはよくわからんなあ……じゃあメカヘッド、お前さんだったらなんて言うんだ?」

「えーと、そうですね……」

 尋ね返された機械頭の男は、少し考えた後でカウンターを見た。

「こんにちはママ! 休憩時間のところ悪いけど、ママの顔が見たくて来ちゃいました! いやあ、今日もお美しい……」

 そのままふらふらとカウンター席に向かおうとしたメカヘッドの腕を、タチバナががっちりと掴む。

「明らかに俺よりダメだろう。というかそのままチドリさんを口説いてるんじゃない、このタワケ!」

「あはは、すんません」

 チドリは困り顔で微笑んでいる。

「二人とも、お疲れ様でした。何か飲み物をお出ししましょうか?」

「おやっさんとメカヘッド先輩、何やってんだか……」

 レンジが呆れた声で言う。アマネはキューブチーズをつまみにワイングラスを傾けながら、楽しそうにやり合う男たちを見ていた。

「私、あれ見たことある。旧文明の映像アーカイブで。確か……ええと」

「マンザイのことか?」

「そう、それ!」

 若者たちが言い合っていると、メカヘッドはわざとらしいため息をついた。

「おい、おい、二人とも! 俺たちだって現場の後片付けやら上との折衝やらで頑張って来たんですけど! そこは『お互い頑張ったね』ってねぎらい合うところじゃないか」

「あー……すいません、メカヘッド先輩。裏方仕事を任せちゃって。助かりました」

 レンジの言葉に、メカヘッドは機嫌よさそうに「おほん!」と咳払いしてカウンター席についた。

「いやいや、本当にお互いお疲れ様だぜ、レンジ君。マギフラワーも、エネルギー供給が足りない中でよく頑張っていた。それに比べて巡回判事殿は、オフだとはいえ昼間からずいぶんとくつろいでらして……」

 メカヘッドの嫌味に、アマネはグラスをテーブルに置いた。割れないようにという意識はあるようだったが、ごとり、と重い音が響く。

「あら、オフを返上して動き回っていた私にねぎらいの言葉をかけるどころか、勤務時間外にお酒を楽しんでいることに目くじらを立てるだなんて! ……ま、巡査曹長はご存じないでしょうから、しかたないと思いますけど」

 二人の間に挟まっていたレンジが、まずアマネをなだめにかかる。

「まあ、まあ! アマネが頑張ってくれたの、俺はよく知ってるから! ほら、メカヘッド先輩も! 今回の一件は俺と同じくらい、アマネも頑張ってくれたんですよ」

 タチバナもレンジに加勢する形で、メカヘッドの隣に腰かけた。

「そうだな。俺も直接見ていないが、レンジがそう言うなら、間違いないだろう。それに今回のヤマ……ペットショップが隠し持ってたダガーリンクスが逃げて、地下で増えたんだっけ? 元々カガミハラのヤマなんだから、軍警察だけで何とかする案件じゃねえか。ナカツガワの雷電とマギフラワーがすんなり協力できたのは、巡回判事殿の口利きがあったからだ。それくらい、てめえもわかってるだろう」

 タチバナ保安官にこんこんと詰められて、メカヘッドはすっかり小さくなっている。

「ハイ……みなさん、スミマセン……カガミハラ軍警察が不甲斐ないばかりに、ナカツガワの皆さんにゴソクロウいただきまして……」

「やれやれ」

 恐縮して謝り続けるメカヘッドにタチバナがため息をついていると、チドリが二人の前に模造コーヒーのカップを置いた。

「メカヘッドさんは、マギフラワーがこの場にいないことに、納得がいっていないんですよね?」

「……それは」

 メカヘッドは言いかけてカップを取った。ヘッドパーツの下側を開き、コーヒーを口の中に流し込む。

「彼女には随分、色々な場面で助けてもらいましたから。どこかで直接会ってお礼を……と思っていたんだが……」

「うえほっ! げほっ、ごほっ……!」

 レンジとタチバナの介入ですっかり落ち着いていたアマネが、激しくむせ始める。

「あら、アマネちゃん、大丈夫?」

 チドリが慌てて水の入ったコップを差し出す横で、レンジが小さく笑った。

「相変わらず素直じゃないなあ、メカヘッド先輩は! ……でも、大丈夫ですよ、マギフラワーは。きっと、メカヘッド先輩の気持ちも届いてますって!」

「この! このっ……!」

 水を一気に飲み干したアマネが、笑い続けるレンジを肘でつつく。

「そういうもんなのかい? ……しかし、何者なんだ、マギフラワー……。魔法少女ドレスは、マダラ君が改造したものなんでしょう? タチバナ先輩は、誰が変身してるのか知らないんですか?」

「確かに、変身道具はナカツガワで見つかったオーパーツを、マダラが改造したモンだが……すまんなメカヘッド、アレの取り扱いはマダラに全部任せてるんだ。俺もレンジも、詳しくは知らないんだ」

 メカヘッドから尋ねられ、タチバナは素知らぬ顔で答えた。そして二本角の保安官は、レンジに目くばせする。

「な!」

「……ええ」


――これはおやっさんも、マギフラワーの正体には気づいてるなぁ。巡回判事のメンツを潰すまいと、黙ってるのか……


 レンジは言葉少なに返した。チドリは黙って、カウンターの向こうでグラスを片付けている。タチバナはわざとらしい大げさな動きで、店の中を見回した。

「ところでレンジ、マダラはどうしたんだ? 店の奥をオペレーションルーム代わりに使わせてもらってたんだろう?」

「そうなんですけどね、まだ出てこないみたいで……」

 レンジがそう答えて、一緒に店内を見回していると、店のバックヤードにつながる扉が開いた。

 むっつりとうつむいた姿勢でホールに現れたのは、オレンジ色の肌に青い斑模様の入った、カエル頭の男……雷電スーツと魔法少女ドレスを改良した張本人にして、観測用ドローンを使って二人の戦いをサポートしていたナカツガワ・コロニーの機械技師、マダラだった。

「おう、マダラ、お疲れさん」

 タチバナが声をかけると、床を見ていたマダラがハッとして顔を上げた。皆が事件解決の打ち上げをしようと”止まり木”に集まっていることにも、気づいていなかったようだった。

「あっ、おやっさん。お疲れ様です」

「おいおい、そんな暗い顔してどうしたマダラ君。今回も雷電とマギフラワーのオペレーション、ばっちりだったじゃないか。こっちに来ないか? 一杯、おごらせてくれよ」

 ワイングラスを空にしたアマネが、メカヘッドに白い目を向けた。

「巡査曹長、飲み物代はチドリさんが持ってくれてるんでしょ?」

「ハッハッハ……」

 メカヘッドがヘラヘラと笑うのを見て、チドリはくすりと笑う。

「あら、私はもちろん構わないわよ。雷電とマギフラワーが戻って来れたのも、マダラ君のお陰だし」

「あはは……チドリさん、ありがとうございます。でも、今はあんまり、“お疲れ様”って気分じゃなくて……」

 マダラは勧められるまま、レンジとアマネの間に腰掛けて深いため息をついた。

「雷電スーツも、マジカルハートのドレスも、それぞれの欠陥のせいで、二人を危険な目に遭わせてしまった……。それに、今回は地下だったからまだ良かったけど、地上だったらファイアパワーフォームの炎は、もっと色々なものや人を巻き込んでしまう……」

「マダラ……」

 すっかり酒で顔を赤くしていたアマネも“すおもて”になって、マダラを心配した視線を向けている。

「しゃっきっとしろよマダラ、ほら!」

 反対側の席に座っていたレンジは、勢いよくマダラの背中を叩いた。

「いて、いてて……!」

「太陽光発電の“マギフラワー”は地下じゃ長く闘えないし、俺の雷電スーツだって、バッテリーの限界がある。“ファイアパワーフォーム”なら闘いながら充電できる、でも、充電し続けたら暴走しちまうが……」

「そうさ。“ウォーターパワーフォーム”はため込んでおいた水しか武器に使えないし、使ったら使ったで、辺りを水浸しにしてしまう。“ウインドパワーフォーム”なんか、エネルギーチャージをするにも風任せで安定しない……魔法少女ドレスの“マギセイラー”だって、水の外では力を発揮できないし……」

 レンジの言葉を受けたマダラが、更に落ち込んだ調子でブツブツと言う。レンジはぐい、カクテルグラスを空にして笑った。

「けどな、マダラ、俺たちはそんなスーツやドレスを使いこなして、やってきたじゃないか。どのスーツもドレスも、持ち味を活かしてきた。カガミハラの町を守ったし、オオツや、ナゴヤのレース場、飛行機だって……」

「そうだけど……そうだけど、まだ足りないんだ! 俺の力不足だ!」

 拳を握り込んで声を荒げるマダラを、カウンター席の一同はぽかんとした表情で見ていた。

「……マダラ君の力量が足りないなら、他の誰が何とかできるんだい?」

 メカヘッドが首をすくませて、半ばあきれたように言う。当たり前だ。旧文明のオーパーツを解析し、復元し、改造して様々なガジェットを生み出してきたのはマダラであり、他の誰も……カガミハラのセントラル防衛軍が誇る技術開発部でさえも、いまだにその域にはたどり着けていないのだから。

 しかしマダラは大きな口を“へ”の字に曲げて、持っていたラップトップ端末機をカウンターテーブルに置いた。

「……これを見てくれ」

 画面を立ち上げると、シンプルな線画で描かれた図面が現れた。両隣のレンジとアマネが画面に見入る。

「これは……雷電スーツの新しいフォームか?」

「それと、新しいドレスじゃない、これ!」

 アマネの嬉しそうな声を聞き、立ち上がったタチバナとメカヘッドも、若者たちの後ろから端末機をのぞき込んだ。

「何だよマダラ、新しい装備品を考えてるんじゃないか!」

 タチバナが感心して声を上げる。

「マダラ君、これはそれぞれ、どんな性能なんだ?」

 メカヘッドから尋ねられ、マダラは再びため息をついた。

「……これは、俺が設計したわけじゃないんです。実は数日前に送られてきて……」

「送られてきた? ……誰から?」

「ええと、メールが……」

 タチバナが尋ねると、マダラは端末機を操作した。画面が切り替わり、メッセージ送受信アプリが立ち上がる。

「これです。ほら」

 表示されたのは、図面が添付されたメッセージだった。画面はほとんど真っ白。本文はなく、送信者の署名が記されているだけだった。

「“クニテル”……って」

「誰だ……?」

 アマネとレンジが首をかしげる。

「俺も知らないですが……タチバナ先輩?」

 メカヘッドから話を振られたタチバナは、マダラと同様に口を“へ”の字に曲げて、難しい顔でメッセージ画面を睨んでいた。

「クニテルってのは……先代の“タチバナ”の名前だ」

(続)

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