パラサイト

「パラサイト-半地下の家族-」をこれから見る人&見た人へ

ポン・ジュノ監督の「パラサイト」見てきました。今回は下記3部構成で書いていきます。

これから映画を見る人へ

まず、まだ映画を見ていないけど、見ることが確定している人に向けてです。もう絶対に下調べとか、映画の詳細、他者に感想を聞くとかしないでください。

はい。この記事も速攻閉じちゃいましょう。

これは自分の経験でそう思いました。鑑賞前に前評判だけは色々なメディアや知人の声などで聴いていたので、映画館に行くまでが待ち遠しくて色々と調べてしまいました。結果ハードルがぐーーーーーーーーーんと上がってしまい、観終わった後の衝撃や余韻が減ってしまうことに…

なので、観ることが確定してる方は映画に関わるコンテンツを見ないようにした方がよいでしょう。※聞いてもいないのに感想言ってくる人が周りにいたら、なるはやで見ちゃいましょうね。

次に、現時点では気になっているけど、見るかどうか迷っている人。この場合は、ある程度情報が無いと決意できませんよね。そういう人たちに向けては「アカデミー賞6個にノミネートされてるし、作品賞を取れば外国語映画として初の快挙なんだぜ!評価されるにはそれなりの理由がある。とりあえず見とけ。」て感じでしょうか。

どちらにせよ鑑賞前の人たちに声を大にして言いたいことは、

「変に知識入れずに、何も考えずにボーっと見てみ!」

です。

ネタバレ無し感想「パラサイト-半地下の家族-」

続いてネタバレしない範囲で作品についての感想を述べたいと思います。より楽しみたい人は、ここも見ずにパラサイト見に行く方がよいでしょう。

まず、ストーリーに触れずにパラサイトの感想を書くと、この映画からは「格差」「学歴社会」「雇用問題」「貧富の考え方の差」など様々なテーマが見えてくるのですが、監督が「悲喜劇」と表現するように、重たいテーマにも関わらず、随所にコメディーシーンがちりばめられているため、狂気と笑いのカオス感が暗くさせ過ぎず、笑わせ過ぎず、なんとも不思議な気持ちにさせます。

上手く説明できないのですが、狂気と笑いと流れに関して個人的には、キングオブコメディーを観終わった時と少し似ていた印象です。パラサイトと全然違うのですが、なんでだろ。笑

ここは言語化できず…すみません。

※ネタバレ有り感想「パラサイト-半地下の家族-」

※映画を見た人向けのネタバレ感想です。見てない人は閉じましょう!

私が映画の考察が苦手なため、本当になんであのシーンはあったの?どうしてあの選択をしたの?と色々疑問が湧いてしまうため、良いレビュー記事あったら教えてください。以下主観でだらだらと感想とポイント述べます。

まず、両家の家族構成は似ています。どちらも男女の子供がいる家庭です。ただ一つ大きく違うのは家庭環境。キム家は全員無職の貧乏ボロボロ家族。パク家はIT社長の父が養うキラキラ美形家族です。一重の家族と二重の家族って雰囲気もありました。容姿にお金をかけられているかも貧富の差の象徴なのでしょうか。

キム家(貧乏半地下家族)

半地下に住むキム一家は全員無職でWiFiを契約することもできないためネットを違法にタダ乗りしています。ピザ箱を畳む単純作業も時短のために雑に行い10%報酬を減額されてしまうのです。ただ全員でモクモクと内職をする姿は、助け合い生きている様子が伝わってきます。

【キム家:前半気になるポイント】
・消毒の煙が舞う半地下で、家族がむせる中無言でモクモクと箱を畳む父
・敬語を話す長男
・ピザ屋の情報を仕入れている長女
・水石

キム家長男の友達ミニョク君が家に遊びに来たとき、水石のプレゼントとバイト先を紹介してくれます。その仕事とは、パク家長女の家庭教師。長男は喜んで仕事を引き受け信頼を勝ち取り、妹の仕事、父の仕事、母の仕事までパク家に紹介しパラサイトしていくのですが…

コメディー風に表現されているものの、他人を引きずりおろして仕事を奪う様は、「追い詰められているから、何をやっても仕方ない。悪いのは貧困。食われる前に喰うしかない。」精神…。途中キム家が話す「お金持ちの人の方が性格が良い。」というセリフも納得です。

【キム家:後半気になるポイント】
・パク嫁の手を握るキム父
・殴り合いを始めそうになるキム夫婦
・計画的な長男と、無計画な父
・パク父に対する、父の最後の行動
・長女の最後

パク家(美形お金持ち)

パク家はとんでもないお金持ちでしたね。犬3匹(全部犬種違う)と運転手、お手伝いさんを抱え、子供への教育も熱心で、家庭教師も付けてます。家も広すぎて「何部屋あるの?」と思ってしまいます。

父親は仕事が一番、家族のことは好きかもしれませんが、なんとなく距離感がある雰囲気。母は教育熱心のようですがピュアというよりは世間知らずなところもあり一人では生きて行けなそうなタイプ。娘は年上の大学生に恋する自分に酔っている様子。息子はインディアンにハマっていて、感受性は豊か。少々高知能自閉症ぽいところがあります。両親はそんな息子に注意がいきがちで娘は弟に嫉妬気味。

【パク家:気になるポイント】
・パク母のアメリカ製品への絶対的な信頼
・キム家父に「奥さん愛していますよね?」と聞かれて一瞬停止する父
・よく寝る&父を恐れる=母
・家庭で孤独を感じる娘
・モールス信号に気が付いた息子

ムングァン夫婦

ある意味主役級でもあるこの夫婦。たぶん、夫は結構初期のころから壊れてたのでしょう。あの目がいっちゃってる感じ…俳優さんまじですごい。雨の中の玄関の映像って、なんであんなに怖いんでしょうね。

【ムングァン夫婦:気になるポイント】
・嫁結構稼いでたし、もっと早く家を出れたのでは?
・リスペクト!
・娘が最初に刺されたのは偶然?
・北朝鮮ネタすごい
・2人分食べる理由は分かったけど、自分のお金で買ってると言ってたのはウソ?ごみの量で気づいたのか?

ポイントまとめ

まずキム家、基本的には仲が良いけど、それもギリギリの緊張感で保たれているのでしょう。モクモクと作業をする父、一触即発の夫婦。冗談と言っていたけど、絶対半分マジでしょうね。父はパク家の嫁に邪な気持ちもあった感じしますし。基本的には優しいがなにかが常に爆発しそうな父とその父に若干落胆していて現状の生活に関しても諦めている母と娘。

ただ一人、息子だけは家族も自分に対しても諦めていません。夢も持ちます。受験に何度も挑戦し、計画を入念に練って家族や自分を救おうと奮闘します。客観的にはクズのような父に敬語を使うのも、まだ父のことを尊敬しているからでしょう。作中の貧乏人の中でも唯一「擦れてない」人のように思えました。※悪いことたくさんしてるけどね。

しかし水流の中に佇む姿や水石を抱える姿で彼の中の葛藤を感じます。ダークサイドに落ちるか落ちないか。みたいな。

なんやかんやあって父は人を刺して警察に追われる身になりますが、最後のシーンで息子が手紙に計画を書くシーンは少し皮肉のようなものも感じました。父の思想とは真逆だからです。息子の人生に希望があるとも言えますが…

次にパク家族ですが、基本的にみんなそこまで仲良くないよね?て感じです。母親は父から怒られることを恐れて行動してるけど家事は全くできません。人の意見にも流されやすく利用されやすいです。父は多分外に女いるな?と思うところもあるし、ナチュラルに貧乏人を見下しています。

両親は表面には出さないものの生理的に貧乏人への拒絶感が「臭い」を通して態度に表れます。この辺すごいリアルですよね。ホームレスの前を横切った時に反射的に顔をしかめてしまう自分がいる一方で、「自分も思われているのではないか。」と気になってしまいました。

臭い以外にも、靴やカバンでも同じように思う瞬間、思われる瞬間ってありますね。

娘は両親の愛を感じず、家庭教師の大学生にちょっかいを出して親から得られない愛に満たされようとします。幸せそうだけど幸せそうに見えない、バラバラ感。不思議さがありました。臭いにいち早く気が付き、モールス信号を解読する息子。あのタイミングで解読したのに結局ストーリー上繋がらなかったのも不思議です…

映画を通して思ったのは「貧乏」とは生まれや環境のせいだけではなく、考え方や行動でも表れるのかな。と。ちょっと上手くいっただけでやりたいほうだい宴会を始めるところ、手抜きをしようとするところ、計画性が無いところ。本当に一生懸命生きてる?といいたくなるシーンが多いです。

いろいろともやもやするけど気になってしかたがない「パラサイト-半地下の家族-」是非見た人、感想や考察教えてくださいませ!

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