旅館はピーマン
旅行最終日。
今日はお家に帰る。
家に着くまでが旅である。
昨日から今日にかけて旅館的な宿に泊まっている。
部屋は和室で、
敷布団と浴衣である。
こういう旅館はどこか落ち着く。
決して新しくない建屋であるが、
それが案外いいのかもしれない。
畳は若干擦り切れ始めているが、
それがいい味を醸し出している。
温泉は長旅の疲れを癒してくれるし、
ふかふかの布団はすぐ眠りに誘う。
小さい頃はこういう旅館が好きではなかった。
畳の部屋で育った身としては、
旅先の部屋くらい、
ピカピカのフローリングとか、
バインバインするベッドがよかった。
浴衣なんかも着づらいし動きづらい。
ご飯も和食よりキラキラした洋食がよかった。
でも今は違う。
和な旅館が好きになった。
大人になって落ち着いただろうか。
懐かしさを感じる和を求めているのだろうか。
時の流れがゆっくりに感じて心地よいのだろうか。
大人になってわかる良さがある。
苦味のあるピーマンみたいだ。
旅行のこれまで
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