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日当たりの悪い部屋

引っ越しをする際に、1つだけ気になったことがあった。

唯一差し込む光は、家と家のすきまに差す6時半から7時までのみの光。

私の新居は日当たりが悪かった。

入居の決め手は①日当たりの悪さから通常よりも家賃が安価なこと②物件探しに疲弊していたこと。この2点だ。

引っ越し繁忙期の3月に物件探しを始めたため、入りたい部屋の奪い合いが多発していて内見祭りに疲弊していた。駅近なこともあり、妥協しつつこの部屋に決めた。

以前の住まいは南東向きで日当たりは十二分に恵まれていたけど、むしろ私は直射日光が嫌いで、一級の遮光カーテンを買ってまで薄暗く過ごすのが好きなくらい。なのに引っ越してからは家じゅうが真っ暗で不安で仕方がなく、唯一外からこぼれてくる日差しをありがたがった。

「日当たりが悪い家」で検索すると、精神を病むだの運気が下がるだの様々な意見が書かれている。これは自分をより一層不安にするには十分な材料で、引っ越ししたての4月はわざわざ外に日光浴に行ったり、午前のうちは日当たりのいいカフェに入り浸って作業をするなどして過ごした。

この家に住んで約2カ月が経つ。

・・・・・・・・・快適だ。

薄暗く、ひんやりしているんだけど。

きっと人よりはやく秋に暖房を導入するんだろうけど。

強烈な日差しが入ってくることがなく、窓を開けているだけで爽やかに風が吹いて居心地がいい。3年ほど連れ添っている黒いソファにタオルケットを準備すると絶好の昼寝スポットになる。部屋の4か所にある窓をそれぞれ開けると、風がめぐって心地いい。

夏には風鈴なんかをつけるともっと、情緒があっていいだろう。

引っ越しをして2カ月。初めは色んな要因があって不安で仕方がなかったけど、日にちが経つにつれて「住めば都」を体感している。


この家が好きだ。



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