見出し画像

ご祝儀は回収不可につき。

わたしは払ってばかりの人生だ。

結婚式のご祝儀の話。

これまで家族、親戚、幼少期からの友達、大学の同期、会社の同期、それが落ち着くと次は会社の後輩だ。

エンドレス結婚式、エンドレスご祝儀。

結婚式全盛期には、一月に3回も列席していた。しかも全て遠方。1週目ハワイ、2週目山形、3週目は神戸だった。わしゃ売れっ子なのか?もうクタクタだったぞ。

結婚式も出席しすぎると大体の流れが分かる。この後はお色直しね。うんうん、生い立ちビデオね。そうそう、最後は手紙読むよね。という感じ。なんなら同じ結婚式場ってのも結構あって、演出が全く同じで驚いた。せめてもう少し独自演出を提案してあげなさいよと思った。

なぜかわからないが、結婚式の料理っていつも味がしない。無味だ。本当に味がしないわけではない。それは病気だ。正確には味の印象が残らない。それはあの独特な雰囲気がそうさせるのか。自分で選んで注文した料理じゃないからなのか、分からない。

唯一、美味しいと思ったのは、リストランテASOでのレストランウエディングだった。コース料理はもちろん、最後は隣のガーデンスペースにデザートがずらーっと並んで、食べ放題と来た。女子達には失神ものだ。それ以外はどの有名ホテルだろうがなんだろうが記憶喪失だ。

こんな調子なので、一時期は呼ばれるのが嫌だった。特に後輩の結婚式。先輩お先ですと言わんばかりじゃないか、と勝手に被害妄想を抱いていた。

しかも、ゲイである自分は回収できない。結婚式しないんだもん。すればいいじゃないの、ゲイの結婚式をする人もいるけど、そんな人は稀の二乗だ。そんな勇気が有ればすでにカミングアウトしてる。

でもいつからだろうか。そんなセコイ自分とサヨナラしたのは。

結婚式に行くと、みんな一番今が幸せです。っていい顔をしている。そりゃそうだ。好きな人と永遠の愛を誓うんだから。幸せじゃない訳がない。仲のいい人や、可愛い後輩たちのそんな顔を見てると、心からおめでとうと言いたくなっていた。

そういう場に行くと、いい気をもらえる気もしている。自分の運気もアップしてる気がする。なので、特に後輩のご祝儀はケチらず少し多めに気持ちを入れるようにしている。

多分、比べるのをやめたからなのかもしれない。

比べるというか、自分がゲイであることを認めたというか、ノンケのみんなが手にする幸せの形というのは、お隣さんのおウチ、みたいな感じで、自分の家のものとは別物だな。みたいな。

自分にはないものだけど、その代わりお隣さんにないものを自分は持ってるよ。的な。

回収不能で構いません。

もう回収する必要がなくなったから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?