2024年度宮城県公立高校入試数学【全問レビュー】

【第1問】 例年通りの、基礎的な小問集合。全問正解を目指したい。
1 答えが負の数になる整数の加減。これを間違う人などいるのだろうか。
2 負の数と分数の交じった計算。これを間違うとしたら、恐らく分数での計算ミスだが、それは中学校というよりは小学校での学習に問題があったということを意味している。
3 単項式・多項式の割り算。これも簡単。
4 代入の問題だが、与式を整理してから代入すると解きやすい。
5 公式を用いるだけの因数分解。せめて二次方程式の形にするとか、置き換えを用いる式にするとか、一捻りあってもよかった。
6 比例・反比例の基本問題。反比例における比例定数はxyで求められることを知っていると解きやすいが、知らなかったとしても、普通に解ける。
7 根号を含む数の大小比較。7/√7 を有理化若しくは約分して√7 と変形すればよい。
8 回転体の体積を求める問題。第1問の中では最も難しい。そうはいっても、教科書で学んだ公式や解法の範囲で十分対応可能であり、典型問題でもあるから、確実に得点したい。

【第2問】例年通りの標準的な中問が4つ。ただし、規則性の問題は難しい。
1 2個のサイコロを用いる確率の問題。(1)(2)いずれも六六表をかいて、条件を充たす場合を丁寧に考えればよい。中学生の確率の問題は、樹形図や表で数えられる範囲しか出ないので、それらを用いて手際よく、ミスなく確立を求められるように練習を積むべきである。高校の場合の数と確率の範囲を先取りしてやっても、多くの場合、徒労に終わるであろう。
2 円周角の定理を用いて弧の長さを求める問題。△OCBが二等辺三角形であることに気付けなければ難しい。また、弧の長さを求める問題では、直径が示されたことから、半円の弧の長さを求め、比例式を用いて解けばよい。類題の経験が必要な問題であった。
3 関数y=ax^2(以下、便宜上二次関数とする)の応用問題。(1)は点Aの座標を求め、二次関数のグラフの対称性を利用することで点Bの座標も求めることができる。(2)については、例えば、Cのx座標をbとおくとDC=2b、AC=4―bであるから、これらを条件式に代入してbを求める。(1)からℓ の方程式はy=8であるとわかり、これは点Cとも交わっていることから、y=ax^2の式に代入して求める。これも比較的難しく、類題の経験が不可欠である。
4 規則性の問題。実は、n回目の操作で置く碁石の数は、8nと表されることを使うと簡単になる。しかし、この問題で使う考え方は高校で習う「数列」の考え方に近いものであり、中学生には酷だっただろう。何度も図を描いたことであろう。対策としては、入試対策の問題集などで、何度も類題にチャレンジすることが挙げられる。(「数列」の問題になれていれば、これはかなり易しい問題だが、規則性の問題以外で役に立つことがないので、先取り学習をするのはおすすめしない。そして、この分野は高校数学の中でも、屈指の難しさを誇る)

【第3問】資料の分析と一次関数の問題。例年に比べると、難易度は易しめ。
1 新課程で追加された「箱ひげ図」の問題。基本的な読み取り方がわかっていれば、苦戦はしないだろう。(2)は記述問題であるが、「中央値」という指定語句もあるため、書きやすいと思われる。
2 一次関数の問題。グラフをかくことで、答えの見当をつけることができる。問題文が長く、「長距離走大会」が題材のため、戸惑った人もいたかもしれないが、結局、(1)は条件から傾きを読み取って比例のグラフをかくだけであり、(2)も条件がグラフ上でどのようなことを意味しているのかを考えれば、計算自体は基本的なものである。長い文に騙されてはいけない。(因みに、「長距離走大会」の題材は以前にもあり、そのときは「マラソン大会」とされていた。同じように、グラフを書いて交点を求める問題が中心だが、こちらは2024年度の問題に比べて難しかった。)

【第4問】合同・相似を用いた図形の問題(これ以外にパターンないのでしょうか)
1 中点連結定理を使うだけ。ただ、図がごちゃごちゃしていたので、気付かなかった人もいたかもしれない。
2 例年通りの合同の証明。これと相似の証明以外ネタがないのだろうか。(二等辺三角形や平行四辺形の証明など)
3(1)相似を用いて三角形の辺の長さを求める問題。平行線の性質から、△EGCと△FCAが相似であることに気付ければ、答えは自ずとでてくる。
3(2)所謂「捨て問」。中学生の知識では、考えるだけ無駄である。(なお、この文章を書くにあたって、筆者は全問解いたが、この問題は高校で習う「ヘロンの公式」を用いて解いた。しかし、△ABCの面積をAからBCに垂線を下して三平方の定理を用いて求め、余分な三角形の面積を引けば、△AGEの面積を求めることことは可能である。)



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