波子

文房具と間取り図が好き。杖歩行→手動車椅子を経て、2014年末から簡易型電動車椅子。住…

波子

文房具と間取り図が好き。杖歩行→手動車椅子を経て、2014年末から簡易型電動車椅子。住まいは奈良市→大阪市都島区→東京都板橋区→江東区→奈良市。車椅子ライターとして、WEBマガジン「文具のとびら」にて連載中。初の著書『弱い力でも使いやすい 頼もしい文具たち』小学館から発売中。

最近の記事

小学1年生からのまっすぐな問いに、ハッとさせられた話。

もう随分と前の話なのだけれど、いつ思い返しても心が動くので記事にしておこうと思う。 簡易型電動車椅子にもすっかり慣れてきた頃、大阪のイベントにひとりで出向いた時のこと。いつものように近鉄電車に乗り、ドアの前で片方に車椅子を寄せて停止した。座席は埋まり、ちらほら立つ乗客がいる。途中の駅から、おそらくやや早めの下校と思しき小学1年生(会話から推測できた)が集団で乗り込んできた。 一気に賑やかになる車内。電車通学するような子たちだからお受験突破組なわけで、我々が小学校だった頃の

    • 彫刻刀で怪我して褒められた話。

      小学校の図工の先生は、ちょっと怖い先生だった。 ショートカットの小柄な女性で、児童が少しでもふざけるとすぐに雷を落とす。だから図工の授業では、2コマ連続という長時間にもかかわらず、クラス全員がそれなりに真剣に臨んでいた。 大人になって振り返ると、図工室には扱いに注意が必要な道具がたくさん置いてある。重いもの、大きいもの、尖ったもの、繊細なもの。水を入れたバケツもあれば彫刻刀のような刃物も使う。 だから、先生が厳しく注意なさるのは至極当然のことなのだけれど、子供だった私は(そ

      • 窓際に佇むクリラーク(ゼムクリップ止め器)

        • 多目的トイレのトラウマを克服した話。

          ※トイレの話です。お食事中にはお読みにならぬよう願います。 多目的トイレにはちょっとしたトラウマがあった。 杖をついて歩行していた頃、名古屋駅で乗り換えのために移動していて、トイレに立ち寄ろうとした。通路手前に多目的トイレ、奥に女子トイレがあり、奥に向かって歩いていると、がらりと多目的トイレの引き戸が開いた。 出てきたのは、ちょっと派手目のおばさまだった。 「あらアナタ、ここのトイレ使いなさいよ」 おばさまは私の杖を見てそう言った。私としては一般のトイレが問題なく使える

        小学1年生からのまっすぐな問いに、ハッとさせられた話。

          夏、オンボロ長屋の北極。

          今日は久し振りに、2階の自室にも1階のリビングにもクーラーを入れない一日だった。 昨日から断続的に雨が降り続く奈良は、長らく続いていた猛暑日・真夏日が嘘のように涼しい。いや、涼しいとは言い過ぎかも知れないけれど、窓を開けなくても汗ばむことがないくらいには過ごしやすかった。 いつもなら締め切っているリビングの引き戸は開け放たれ、父母の声やテレビの音が2階廊下までよく聞こえる。まるで夏が終わったかのような錯覚をした。夏の間、日中にクーラーを入れないことはほぼないから、戸が開け放

          夏、オンボロ長屋の北極。

          note、始めます。

          車椅子ライターと名乗っております、波子(なみこ)と申します。 1974年生まれで、2006年からの杖歩行を経て2012年から車椅子ユーザー。2014年末からは簡易型電動車椅子を使用中。 noteを使い出してから、もう随分経つのだけど、閲覧のみで自分で文章を投稿したことはなかった。 たぶん、私の中で、他の媒体との違いを明確にしなければという強い意識があったのだと思う。 そして、その違いをちゃんと明確化できていなかったのだと思う。 けれども、いよいよ腰を上げてみることにした。

          note、始めます。