彫刻刀で怪我して褒められた話。
小学校の図工の先生は、ちょっと怖い先生だった。
ショートカットの小柄な女性で、児童が少しでもふざけるとすぐに雷を落とす。だから図工の授業では、2コマ連続という長時間にもかかわらず、クラス全員がそれなりに真剣に臨んでいた。
大人になって振り返ると、図工室には扱いに注意が必要な道具がたくさん置いてある。重いもの、大きいもの、尖ったもの、繊細なもの。水を入れたバケツもあれば彫刻刀のような刃物も使う。
だから、先生が厳しく注意なさるのは至極当然のことなのだけれど、子供だった私は(そ