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あの日、もっと選ばれたかった私へ

挫折ー。
それは、劇薬だ。

「あの経験があったから、今がある。」渦中にいる時には決してそんなふうには思えない。

挫折ー。

ただでさえ人と比較することが容易な現代では、「選ばれなかった」経験がつくりだす闇は深い。

挫折ー。

悶々とした日々を歩むあなたに、届けたい言葉がある。読んでほしい本がある。

だから、私は今このnoteを書いている。

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このお仕事-BOOK HOTEL 神保町の支配人ーを任せていただいて早1年半。光栄なことに、その認知が広まり、ホテルの進化を感じる日々である。「本好きには、たまらない!」「自分のための選書をしてもらえたことが、嬉しくって!」そんなふうに言ってもらえるホテル作りに参画できていることは、正直、今でも夢のようで。本好きの方との交流は、いつだって私の心を癒してくれている。
さらに今年に入ってから、ありがたいことに、信じられないような出来事が連続している。
今年の1月に行ったBOOK HOTEL 神保町でのイベント「一語フェス」
私はそこで、阿部広太郎さんと対談の機会をいただいた、のである。
何度読んだかわからないくらい大好きな本「それ勝手な決めつけかもよ?」の作家さん。

これは、チャンスだと思った。
でも。
当日、チキンな私は、なかなか言いたいことを言葉にすることができなかった。

本当はもっと、伝えたいことがあった。私自身を変えていただいた、支えてくれた本に、言葉にー。

もっと、もっと。

本当は言葉にしたかった。
 
だから、書いてみたいと思う。
ありったけの想いを。溢れだす感謝を。

全部、決めつけていた。

27歳で初めてホテルの支配人の肩書きを背負った私は、就任1日目から、たくさんの重圧に、おかしくなっていた。

突然一通のメールが来て、「選んで」もらえたあの日ー。

これが、私の人生を変えるきっかけになった。

楽しみより、不安が大きかった。
できるわけないと思った。

ビッグチャンス。

作家になりたい夢を叶えるなら…
自分らしく働く夢を叶えるなら…

2度とないようなチャンスだと思った。
でもあまりにも、「支配人」という名前は私には荷が重すぎた。

そんな時に、ふと吸い寄せられるように出会った本が。
「それ、勝手な決めつけかもよ?」
だった。

何度も読んだ。
私のために書かれている本なのかと思った。


選ばれたことは、期待に応えなきゃいけないことだ。そう解釈して、「もっと、認められたい」「もっと、もっと」と。
がむしゃらな日々を過ごしていた。

壊れてしまうかと思った。
でも、そんな時、周りはみんな、言ってくれた。

頼ってほしい、と。
自分で全部やろうとしていた自分は
どうしようもなく馬鹿だったと気づいた。

どこかで、「なんでもこなそうと、がむしゃらになっている自分」に酔っていた。
そして「選んでもらったからこのくらいやらないと」
と自分にどんどん負荷を重くしていた。

「moonさんはmoonさんらしくいてほしい」

そう言われて、
はっとした。

「こうあらねばいけない」
支配人はこうあるべき、それに1番苦しめられている私。
言われたことは一度もない。
全部、私の決めつけなのかもしれない。

私は、自分の思う「かっこいい支配人」になるために、自分をすり減らす必要はないのかもしれないと気づいた。
かっこ悪くてもいい。
私がやりたいことに全力で取り組む。
そんな私に価値を見出してくれて「選んでくれた」のだとしたら。


もっと素直に、
その事実をまず受け止めようと思った。


阿部さんの言葉が、私の思考を優しくほぐしてくれた。

「どの世代にもウケる本をたくさん並べないと」
「ブックホテルなら、デザイン重視しないなんてダメだ」 

そんなのも、諦めた。

私は「ことば」を大切にする場所を作ろうと決めた。


最上階には、私セレクトの本たちを、手作りpopとともに並べた。

阿部さんの本も、もちろん置いた。


あの日、もっと「選ばれたかった」私へ

生きていれば、いろいろある。

「選ばれる」ことも「選ばれない」ことも、たくさんある。

なんで私じゃなかったんだろうとか
なんで私だったんだろうとか

もっとこうできたのにとか
もっとこうしたかったのにとか

人生は、欲望と妄想でまみれてて
いつだって「うまく」いきたい。「うまく」やりたい。みんなにすごいと言われたい。

そんな気持ちが見え隠れするー。


でもきっと、そこに正解はない。
少なくとも、その時点で答えがでることなど、ない。


『あの日、選ばれなかった君へ。』

阿部さんの新刊が発売された。

読み終えるのが勿体無くて、大切に大切に、噛み締めるように読んだ。



阿部さんが「選ぶ側」に回った、ところは、
涙なしでは読めなかった。

阿部さんは「落選メール」であるにもかかわらず、とある提案をすることになった。

それが、確実に響いた。


悔しい。悔しい。 でも、
やってやる。必ず。


「選ばれなかった」ことをバネに成し遂げてやる、と決めた、男性がいた。
志同じくする仲間たちが、夢に燃えた。

結果、それぞれの想いは、大きく身を結んだ。




そんな彼らの背中を一番に押していたのが、これまた、阿部さんだった。

自分の経験を、繋いでいく。

背中を見せて、伝えていく。

どれだけの人が励まされて、
どれだけの人が生きる希望をもらったことだろう。

想像するだけで泣けてきて、たまらなかった。

「もっと」選ばれたい。
ゴールの見えない日々に苦しむ私にとっても、刺さる言葉ばかりだった。


阿部さん。

「あの日、選ばれなかった君へ」

最高でした。

「選ばれなかった」事実…
猛烈に悔しくて、やるせなくて、どうしようもなくて…。

そんな日々を思い出しながら最後まで書き上げることは、恥ずかしさや、怖さがあったのではないのかなと思うんです。


それでも、ありのままを包み隠さずに、書いていただけたから。

選ばれなかったら全て終わってしまうわけじゃないんだ、って。
選ばれないことから始まる未来もあるんだって。

気づくことができました。
「もっと」選ばれたいと
思ってしまう…つい自分を酷使してしまう私にも、考えさせられる内容でした。


またどこかでお会いできたら。

その時に、続きを語らせてください。

ずっと応援しています。


『ベストセラー作家になる』これが私の夢です。40歳までに形にします。もし、「エッセイ、よかった!」「頑張れ!moon!」と思っていただけたら、温かなサポートをお願いします!有名になって「あの時サポートしたんだ!」と思ってもらえるようにいたします✨(強気!笑)