見出し画像

いつまでも話していたい人


私の夫は、まさにこれなのである。
話していて全く飽きることがない。

いや、正確にいえば、飽きることはある。(え)
ただ、またすぐにでも話したいと思うし、どんどん深く知りたくなるし、長い時間を共有したいと思える相手。
それが私にとって夫なのだ。


正反対の夫と妻


私たちは、思いつく限りのことが大体正反対だ。
私は文系、彼は理系。
私は田舎育ち、彼は都会育ち。

場を盛り上げたり人と話すことが得意な私と、黙々と作業をしたり突き詰めていくような研究者気質な彼。
私は営業職を経験したし、彼は根っからの開発(ド・理系職)だった。

趣味だって交わることはほとんどない。
私は文章を書いたり、歌を歌ったり、泣ける映画や恋愛ドラマが好き。
彼は電車、ガジェット系、バラエティ番組が好き。

強いていえば、旅行は二人とも好きだった。
でも計画を立てるのは彼の役割、私は「こんなことがしたい!」とふんわりとした希望を伝えた後は、もっぱら旅の盛り上げ役に徹する。(意味ある?)

よく言えば、互いの持っていない性質を補い合える関係。
悪く言えば、全然違う二人。

幸運なことに、私はこの正反対な相手との生活を楽しめているようだ。
もちろん、細かな一喜一憂は日常茶飯事だけれど。


10年目の夜の対話


疲労が溜まり、心がガタガタだった私。
心配し、寄り添おうとしてくれる夫。
だがこういうとき、お互いの思いが交わったことは一度もない。

一生懸命頭を捻りながら、私の日々の負担を軽くするためのアイディアを考えてくれる夫。
「いつも頑張ってくれてありがとう」「君がいて助かってるよ」と言って、ただハグしてほしいだけの私。

数十分ほど話したところで、このまま二人の会話は平行線を辿ることに思い至る。
夫は、わかりやすく優しい言葉をかけたり、愛情を表現することが絶対できないという(恥ずかしいそうだ)。

直情的な女と理性的な男。
お互いを求め合ったとき、思った通りの結果はなかなか得られない。
でもそれが非常に面白かったりする。

私の当たり前がちっとも通用しない。
逆に言えば、彼の世界は私にとって新鮮で見たことのないものばかり。
10年目の夜も、こうして寝る前の数時間を二人で語り明かしても、新しく知ることばかりなのだ。

10年、20年、いやそれ以上。
いつまでも話していたい人。
そんな夫に出会い、共に生きていく。

きっと日を追うごとに、私は夫を知り、夫は私を知っていく。
穏やかだけど、楽しくて仕方ない日々がとても愛しい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?