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幸せのきっかけ

先日、夫と私の仲を取り持ってくれた友人が我が家に遊びにきてくれた。
彼とは学生時代のバイト仲間。
私に片思いをしていた夫の背中を彼が押してくれたことで、私も夫の気持ちに気づくことができ、結ばれた。
今となっては、彼には本当に感謝してもしきれない。




夫は、私以外の女性と交際したことがないという。
出会った当初は、夫のどっちつかずというかいかにも他人に興味を示さない素振りは、恋愛というものにまるで関心がないようにも思わせた。
なんなら、男性が好きなタイプなのかと誤認していたほどだった。

しかし実のところ、私が気づく1年も前から私に好意を持っていたらしい。
奥手な夫は、それまでの恋愛でも好きな女性にアプローチするなんてことはしたことがなく、私に対しても同様で、そっと思いを寄せるだけだった。

そんな様子を見かねて、お酒を飲み交わしながら夫を勇気づけ、留学先から一時帰国した私と夫が会える場をセッティングしたり、それはもうあらゆる方法で私たちをくっつけようとしてくれたのがこの友人だったのだ。




近況報告もほどほどに、友人に息子を抱いてもらう。
「うおぉ〜ちっちゃい〇〇(夫)じゃん、変な感じするわぁ〜」と言いながら笑いかけ、息子は不思議そうな面持ちで見つめ返す。

その姿を見ながら、この友人がいなかったら私たちはお互いを選び合うことができていただろうかと疑問が湧いた。
正直なところ、夫と付き合ったときはまさか結婚するなんて思っていなかった。
一緒に過ごす時間が長くなるにつれ、好きな気持ちは強くなり、結婚という言葉に頭を支配された時期もあった。
でも、実際に夫のプロポーズを受け入れてからしばらくは、本当にこの人でいいのかとなぜか思い悩んだ。
自分の進もうとしている道が正しい道なのか、確かめようにも確かめられず、ものすごく不安だったのだ。
いわゆる、マリッジブルーだったんだろうな。

しかし、そんな数年間の一抹の不安は、家族としての時間を重ねていくことでふわっと少しずつほどけていった。
使った爪切りは片付けないこと、朝起きたらカーテンを開け、天気がよかったら換気をすること、お昼ご飯の後はコーヒーを飲み、なぜかその後昼寝をすること、必ずバラエティ番組を見ながら夕ご飯を食べること。
カレカノ時代では見えなかった夫のひととなりが、少しずつ顔を出す。
もちろん私だって、背伸びしていたかかとをゆっくり下ろすような気持ちで過ごした。

一つ一つの発見がおもしろく感じられ、私の生活の一部となって心と体にフィットしていく。
恋愛小説でよく見る「ビビッとくる」なんてものは、出会いから現在まで感じたことはないが、こんな運命な人の見つけ方があってもいいんじゃないだろうか。




ともあれ、あの時夫を焚きつけてくれたこの友人がいなかったら私たちは共に過ごしていなかった。
何よりこんなに愛しい息子に出会うこともなかっただろう。

幸せを噛み締める。
今というものは訳もなしにできるものではない。
小さなきっかけがつながって、今に辿り着いたんだと思う。
そしてその最初の1つが、9年前の夫の片思いであったり友人の応援だったりするのかな。

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