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コネコビト

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コネコビトのお話。
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#コネコビト

コネコとシイナさんとお盆の話7:思い出の焼き鳥

コネコとシイナさんとお盆の話7:思い出の焼き鳥

MK(モンスターきゅうり)送迎に、ある日何本もの新入りきゅうりが加入しました。何故か妖精の粉がかかって、飛べるようになったというのです。どれも曲がりの少ない良いきゅうり。だけれど……。
「ちょっと塩味ですよね?」
「はい」
秘伝の液に一晩浸かっていたそうです。
「ぱりぱりですよ」

人気の高い胡瓜の馬は早々に予約が埋まってしまったので、今年はズッキーニで帰ることにした。黄色だと更に安かった。

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コネコとシイナさんの、文学の不在 #文学フリマ 東京37出店告知掌編 #コネコビト

コネコとシイナさんの、文学の不在 #文学フリマ 東京37出店告知掌編 #コネコビト

文学フリマというのは、聞いたことはある。なんでも、いろいろなひとが自分が文学であると信じた何かを作り上げて、紙とかに印刷して、冊子とかにして、売ったり配ったりしているらしい。
行ったことはないけれど、楽しそうだな、とシイナさんは常々思っていました。  
卒業した大学の文芸サークル(ただし所属したことは無い)も出ているみたいだし、知り合いの知り合いのウェブライターも出ているらしい。
しぞーかのソエジ

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コネコとシイナさんとお盆の話6:花火とご先祖様

コネコとシイナさんとお盆の話6:花火とご先祖様

慌ただしかった今年のお盆も、今日が送り火だそうです。
「フィナーレにゃ。花火なのにゃ」
コネコが見に行きたいというので、日が暮れるのに合わせて歩いていくことにします。毎年音だけは聞いていたけど、見にいくのは初めて。
「川の向こうで上がるのにゃ」
「コンビニでビール買っていい?」  
「シイナさんは、迎え火といえばビール、お祭りでもビール、花火でもビールですにゃあ」
コネコが文句を言うので、レジ横で

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コネコとシイナさんとお盆の話5:むかしと今

コネコとシイナさんとお盆の話5:むかしと今

「きうり、帰っちゃったのかにゃ…」
一抹の寂しさを覚えて、コネコはふたたび魚屋のおばあちゃんの家に向かいます。この前と同じように、シャッターの横の細い階段を昇ります。  
「コネコちゃん、よく来たねえ」
今日出迎えてくれたのは、生きている方のおばあちゃんです。
「今日はスイカあるわよ」
「にゃにゃ? もうひとりのおばあちゃんはどこにゃ? 帰っちゃったにゃ?」
「まだうちにいるよ」
がらり、と押し入

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コネコとシイナさんとお盆の話4:空飛ぶ盆踊り

コネコとシイナさんとお盆の話4:空飛ぶ盆踊り

今夜は盆踊りです。
シイナさんは飛べない胡瓜を懐に入れて、夕涼みがてらふらっと行ってみることにしました。
「コネコ、綿あめ買って欲しいのにゃ」
「あんな原価の安そうなもの」
「原価よりロマンなのにゃ」
会場に近づくにつれ、どんどんという太鼓の音がだんだん大きく聞こえてきます。  
ここは町内で一番大きな公園で、夏の間はラジオ体操の会場にも使われています。
真ん中に櫓が組まれ、その周りでちらほら踊る

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夜更けにトイレットペーパーを買いに行く(コネコとシイナさんと生活といううすのろより)

夜更けにトイレットペーパーを買いに行く(コネコとシイナさんと生活といううすのろより)

生活といううすのろは、夜が更けてからやってくる。

ある晩のこと。
「シイナさん、トイレの紙がもうないにゃー」
なんということ。お夕飯も食べ、食器洗いも終わり、残りご飯でおにぎりを握って、あとはお風呂に入って寝るばかりという時刻です。
「らすいちだったのにゃ」
「えー」
こればかりは無いと困りますので、アジア風に水と手で洗うというのも気が進まないので、シイナさんはしぶしぶ靴を履いてトイレットペーパ

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「裏紙ほしいのにゃ」と、コネコ。「写経でもするの?」「お手紙書くにゃ」テキレボEXで申し込んでくれた人にコネコの直筆お手紙を届ける企画なのです。「会ったことないけど、きっとコネコのふぁんの人なのにゃ」というわけで、ペン習字に気合が入ります。「サインも考えないとにゃ」 #コネコビト