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アラサー婚活女子と一度きりの男たち③

ここに書き留めておくほどのエピソードはないのですが、一度だけ会って終わってしまった人のなかには、声が好みでない人が一定数いました。

プロフィール上に何の欠点も見られず
実際に会ってみても
お店や話題選び、気遣いの点で何の問題もない。

それでも、お話ししてみて
なんか、違う……
と思うときは、たいてい
声や話し方が私の耳に合わないのです。
顔が好みかどうかより、声。
そして、話すときの抑揚やテンポや間の取り方。

結婚したら一生聴き続けることになるのだから
「声」「話し方」を好きになれる人がいいなあ。

実際に会って話した人数が二桁に達した頃
そんなことを思うようになり
会う前に電話をするようになりました。

マッチングアプリについている通話機能は
初回なら時間制限もあり
切るタイミングがわからない……
という心配もありませんでした。

機械を通して聞く声は
実際とは少し違うものもは思いますが、
電話で違和感を覚えたら、会わない
ことにしました。

今回は
電話では大丈夫だったのに
会ってみたらだめだった!
パターンの人。

大阪府内某市の公務員さんでした。
真面目そうなプロフィールの方で
女性からの「いいね」はきわめて少数。

マッチングしてからやりとり終了までの
わたしの彼に対する評価には、
良い⇒微妙⇒良い⇒微妙
と波がありました。

一度下がった評価はなかなか上がることがありませんから、
彼は珍しいパターンでした。

初回通話はだいぶ盛り上がった気がします。
話していて飽きないし、何より声がいい
制限時間では足りず、もう一度電話して
その電話でデートの約束を取り付けました。

彼は「何を着ていこう」と話していました。
デート自体が久しぶりのようです。

ぼろぼろの靴の《京大》さんとは
心構えが違うわね、と思ったものです。

電話であれほど盛り上がったのだから
とわたしもわくわくしていました。

そしてデート当日。
同じ路線の沿線に住んでおり、
目的地の途中にお相手の最寄り駅があったので
その駅のホームで待ちあわせることにしました。

ホームの端っこで待っていると、
もうすぐドアが閉まる電車には乗らずに、
こちらに歩いてくる男性がいます。

きっと懸命に考えた全身コーディネート。
バランスはよく見えました。
しかし……
襟ぐりからインナーが見えていたのです。

慣れた間柄ならば「見えてんで」と
直してあげるくらいの些細なことです。

が、初回デートのときくらい
わたしの前に現れる前に
最後のチェックをしてほしい。
せっかく悩んでコーディネートしたならなおさら!

また、彼はカバンを持っていませんでした。
財布とスマホだけポケットに入れて出てきた模様。

わたし自身は心配性なので、どこへ行くのも大荷物になってしまう傾向にあります。
ティッシュ、ハンカチは当然のことながら
折り畳み傘、モバイルバッテリー、スケジュール帳、常備薬、水筒etc…

必要最低限しか持たない男性とは、
ほかの多くの場面でも
価値観が一致する気がしません。

ここで一度、大きく減点となり
まだ目的地に向かってもいないのに、
すでに「次はなさそう」になってきました。

ランチをして、少しお話ししながらショッピングというプランでした。
とりあえずランチに行きます。

丼物屋さんで、ふたりとも海鮮丼を選んだと記憶しています。
彼は何度も「おいしい」と言い、本当においしそうに食べていました。

ランチを終えると、ショッピングモールを歩きながらおしゃべりをしました。
それぞれの買いたいものがあるお店に行き、商品を見ながら趣味の話なんかもします。

相変わらずインナーは見えていますし
当然のことながら手ぶらですが、
・おいしいものを共有できる
・お互いの趣味の話ができる

という点で、印象アップ。

少しして、彼が
「すみません、お手洗いに」と言いました。
たまたまそのフロアに男性お手洗いがなく
ひとつ上の階へ一緒に向かいます。

ところが、
お手洗いに入った彼は数秒で出てきました。
いくら男性でもこんな早いことないでしょう、
と思っていたら
「混んでいたので別のフロアへ……」と。
え、並ばないの?

そして、わたしのことなどお構いなしに
猛スピードで歩いていってしまうのです。

お腹を下して切羽詰まっているのね
とようやく気付きましたが、
それなら
「ここで待っていてください」
と言ってくれたらいいのに!

ちょっと頑張ってヒールを履いているので
ついていくのに必死です。
わたしの数歩前を早足で行ってしまうので、
「ここで待っています」と言うこともできません。

お相手の体調は心配でしたが、
ちょっとスマートさにかけるなあ……
と残念な気持ちになりました。

ようやく辿り着いたお手洗いに入ると、
彼は10分以上出てきませんでした。
そして、ようやく出てきたと思ったら
気まずさMAXの表情。

その後のデートはまったく楽しめず
お相手も反省しすぎで
解散後に届いた謝罪のメッセージも激重。

すぐに切り替えができる方であれば
また評価が上がって、
次のデートにつながった可能性はあります。
しかし、メッセージの重さに耐えきれず
残念ながら一回きりとなってしまいました。

《波があった男》編 完


振り返ってみても、総合的にとても良い人でした。

とはいえ、わたしにとって無視できない違和感があったことも事実です。
最後のお手洗い事件がなくても、
ゴールインはなかったのだろうなあ、と思います。

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