彼女
彼女は泣きながら嬉しいと言った。
彼女は泣きながら幸せだと言った。
涙を流す時全て悲しい感情とは限らない
涙を流す時全て苦しみの感情とは限らない
表情と感情って比例しない
クラスメイトにからかわれて
悲しいのに笑ってる
苦しいのに笑ってる
あなたは本当に笑えてる？
その笑っている仮面の下はきっと泣いている
彼女は臆病で本当の事なんていえない
表情までも嘘をつく
本当はやめてって言いたいのに
本当は苦しい、悔しいって言いたいのに
何も言えないんだ。ただ笑うだけ。
今まで自分の気持ちに嘘をついて
何年も矛盾を感じながら生きてきた
嘘をついた分多く傷ついてきた
腕には証拠がいくつも並んでいる
感情というのがわからなくなった時もあった
嘘をつくのが恐ろしく感じた時もあった
だけどあの日彼女は報われた気がした。
20年の日を迎えた時彼女は階段をかけおりて
涙を流しながら家族のもとへ
家族は驚いた
涙の裏に笑顔が見えるから。
家族は何かを察したようにつられて笑った
頑張ったねと
その一言で救われた
彼女は思った
私は幸せなんだなと
この時嘘はつけなかった
彼女は嘘をつくことを放棄した。
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