連載小説 魂の織りなす旅路#12/胎内⑵
【胎内⑵】
それらの境界線はどれも似通った形をしていたけれど、ひとつも同じものはなくて、大きさもさまざまだった。共通点は上部が楕円で、左右にある細長いものが頻繁に動き、下部が2つに分かれていること。
特に左右にある細長いものの動きは、見ていて飽きなかった。見ているといっても、映像として見ていたわけではないのだけれど。その細長いもので、ときおり母と私の波動に触れてくる父は、いつも波動ではなく、境界線に触れているように振る舞っていた。
母の胎内から抜け出たとき、私は私にも境界線があることを知った。とても驚いたけれど、私の波動は閉じ込められてはいなくて、私が無限の広がりの中で、たくさんのさまざまな波動と繋がり混じり合う、大きなひとつの生命体であることに変わりはなかった。
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