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連載小説 魂の織りなす旅路#52/目覚め⑴

光たちからのメッセージ小説。魂とは?時間とは?自分とは?人生におけるタイミングや波、脳と魂の差異。月曜日と金曜日に更新。

【目覚め⑴】

 《目を開けて》

 僕は閉じていた瞼をゆっくりと開く。眼下に見渡す限りどこまでも続く乾いた赤土と、葉もまばらな低木が点在する不毛の地が広がっている。あれからどれくらい経ったのだろう。ほんの一瞬前のようにも思えるし、何時間も前だったようにも思える。
 僕は洞窟で目を閉じた。今はどこかの高台にいるようだ。遥か下方に360度見渡す限り不毛の地が広がっている。

 なんだろう。何かがおかしい。

 ふと足裏に違和感を覚えた僕は、恐る恐る足元に目をやった。地面がない。僕は何に支えられるでもなく、宙に浮いているのだ。一気に血の気が引いていく。

 《落ち着いて》

 穏やかな呼びかけが脳裏に響き渡った。と同時に、光のベールに包まれたような錯覚に陥る。体の重みがなくなり、緊張していた気持ちが緩んでいく。
 僕がふうっとひと息ついたとき、視界の片隅で何かがきらりと光った。今のは何だろう? 陽光に反射した岩だろうか? その方角に視線を走らせると、遥か遠くの地面で淡い光が点滅しているのが見える。どうやら陽光の反射ではないようだ。
 興味を惹かれた僕が目を凝らすと、途端に周りの景色が急速に流れ始めた。まばらな低木が形を失い線になる。次の瞬間、視界がぐるりと回った。驚いた僕は、両腕で頭を抱え込むと固く目を閉じた。

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