見出し画像

授業の遠隔化を、Google Classroomを基盤としてGoogle hangouts meetを活用しながら実現させる方法

旧タイトル:「G suite を活用した遠隔授業の進め方」
お寿司の画像を見てから優しい気持ちで読み進めてください。
気になったことや修正すべき点、誤り等あればコメントやリプライをお願いいたします。
2020年4月4日現在でのまとめです。
2020年4月5日に情報更新とタイトルの変更
2020年4月6日に情報更新
2020年4月7日に学習環境の変化を別記事化
2020年4月17日にppsxファイルに関して訂正
2020年4月29日に遠隔授業コンテンツについて加筆(NEW

学習環境の変化状況

下記の記事で遠隔授業・オンライン授業を行うにあたって関連する環境変化をまとめています。

本稿での用語定義

遠隔授業:教員と学生がそれぞれ異なる空間に居て行われる授業。本稿ではオンライン授業という用語を用いないが、多くの場合に遠隔授業とオンライン授業は同意のもの。ただし、オンライン授業と呼ぶと、常に学生とオンラインで繋がっているというイメージをしてしまうため、あえてオンライン授業とは言わないようにするため遠隔授業と呼んでいる。

双方向授業:教員と学生がリアルタイムに相互コミュニケーションを取りながら学習を深める授業。学生同士の相互コミュニケーションは基本的には想定しない。教員と学生が相互コミュニケーションを取る手段によって、双方向配信双方向ドキュメントに分ける。

動画:動画です。動画と双方向配信は区別していると言いたいだけ。

教員の事前準備

・安定したインターネット環境
・HDMI接続のできるラップトップ
→双方向配信と動画作成に用いる
・スマートフォンもしくはビデオカメラと三脚
→双方向配信と動画作成に用いる
・Google Classroomのセットアップ(=クラス作成)

履修学生にまず伝えること

注意事項】遠隔授業となることを誰が学生に伝えるのか
 初回講義前に教学センター(=教務課などの担当事務)から学生に伝える場合と、初回講義時に教員から学生に伝える場合とがある。教学センター経由の場合は、テキストコミュニケーションが超重要になる。初回講義時に教員から伝える場合は、多少柔軟にできる。いずれにしても、この段階で不安と不確定事項は減らしておく。
 教学センター経由での連絡であれば、その一斉連絡に教員のメールアドレスやTwitterアカウントなどを掲載して学生が気軽に質問をできるようにする。マナーのなっていないメールやDMが来たとしても「緊急だししゃあない」と教員は割り切って怒らず丁寧に返信することを心がける。

シラバスの内容について
 普段の講義の場合は、シラバスくらい読みなさいと言えるが、今回はシラバスが変更されている可能性が高い。どのようにシラバスを変更したのかを必ず学生に伝達する。

通信料について
 大手キャリアによる特別対応の内容を伝える。追加通信量を0円で購入するという手続きを取る場合がある(=自動で処理されるわけではないということ)。追加で使える通信量があるとはいえ無制限ではない。日常にてYouTubeだったりAbemaTVであったりNetflixなどの動画コンテンツを観すぎないように一言伝える。もちろん、不当に学生のプライベートに介入してはならないので、「気ぃつけな~」くらいの軽い指摘が良いだろう。

通知機能について
 スマートフォンやPCなどを学習に用いるが、学習を阻害するような通知が来ないように講義時間中は「通知をOFF」にさせる。

学習空間の整備について
 教室とは異なり、自室であったり、リビングであったりすると、学習を阻害するものが多くあるはず。多少整理整頓掃除をしよう。ご家族等には遠隔授業があることをお伝えして、学習空間の整備に協力していただけるように情報共有をお願いする。

学習環境の整備について
 それぞれ学生が保有しているデバイスは異なるため、統一的な学習環境を整備することは不可能という前提を持つ。そのうえで、PCやタブレットがある学生はそれをメインとする。ない場合はスマートフォン。印刷可能な講義資料については、事前に印刷をするように伝える。そのために教員は少なくとも半日以上前に講義資料を学生に共有するように伝える。印刷方法は、自宅のプリンターがあればそれでよいが、ない場合はコンビニでの印刷が可能。たとえばセブンイレブンであればモバイルアプリ経由で印刷が可能。USBやネットプリントなどもある。講義開始時にはPCやタブレット、スマートフォンなどの通信可能デバイスと印刷された講義資料とが手元にあるようにする。

利用するソフトウェアについて
 Google classroomGoogle hangouts meetGoogle calendarGmailGoogle driveGoogle documentを用いることを伝える。PCがあれば、モバイルアプリは不要。スマートフォンやタブレットしかない場合は、事前に該当アプリケーションをダウンロードしておくように伝える。そのうえで、それぞれのソフトウェアに大学のアカウントで一度ログインをしておくように伝える。G suiteを活用するうえで生じる問題のほとんどが大学アカウントでログインすべきところを個人アカウントでログインしていることによって生じている(下記記事を参照)。

Google classroomのクラスコード
 講義資料と成績評価にGoogle classroomを用いることを伝え、本講義のクラスに入るためのクラスコードを伝える。履修登録期間の終了後にクラスコードを更新したり無効化することも可能。

不正行為について
 遠隔授業だから、見られていないからといって、課題をコピペで提出したりするとそれは不正行為となる。安易な剽窃は容易に検出できる。不正行為が認められた場合には単位を認めることはできない。

ひとことメッセージ
 個人的には、遠隔授業だからだとか準備が十分じゃないだとかそういう理由から講義の品質が低下しているかもというようなことは言わない方がよいと思っている。学生は授業料を払っているのだし。とはいえ、完璧なものを出せるかといったらそれもNO。大変なことになっちゃっているけれど、一緒にがんばっていきましょうというような前向きなメッセージを学生に伝えたい。

事前に教材を作成して配布する

4種類の教材をイメージしています。

1) 画面共有による双方向配信の教材
 画面共有の場合は、発表者ビューのようなメモを観ながらスライドショーは行えない(サブモニタがあれば出来るっちゃできる)。別途メモを作成しておくこと。学生側の通信環境によっては低解像度で視聴する場合もあるため、細いフォントは使わず、文字サイズは20以上を目安とする。アニメーション等の動きはあまり付けないようにする。20分程度を目安に区切れるような構成にすること。

2) カメラ撮影による双方向配信の教材
 カメラを観ながらの双方向配信となるため、メモを観ながら講義を行うことは想定しない。学生側の通信環境によっては低解像度で視聴する場合もあるため、細いフォントは使わず、文字サイズは24以上を目安とする。アニメーション等の動きはあまり付けないようにする。20分程度を目安に区切れるような構成にすること。
 学生が観るものは、教員と投影された資料あるいはホワイトボード等で、通常と同じ構成になる。しかし、投影された資料もホワイトボードも教員が想定している以上に、学生側には小さく映っていると思っておくこと。カメラの位置に合わせて声量を確認・調整しておくこと。

3) 事前配布するPowerPoint諸教材
 これがイチバン多いはず。3パターンにわける。
 3-1) 双方向配信で用いるPowerPoint
 N-UP処理を施してPDFに変換しておく。A4用紙1枚に対してスライド1枚が印刷されてしまうと邪魔だし、資源の無駄になる。双方向配信を想定していると文字サイズを大きくしているため、N-UP処理をしていても見難いということにはならない。コンビニ印刷の場合はN-UP処理が限定的にしかできない場合もあるので、事前に教員でやっておく。
 3-2) PowerPointに解説音声を組み込む
 Google Classroomではppsxファイルをサポートしていないことからココの内容を削除しました(追記:2020年4月17日)
 3-3) PowerPointと、解説音声を別途準備する
 スマートフォンのボイスメモ等で別途音声を録音する。ラジオ・ポッドキャスト的なものだと思うとよい。PowerPointのどのページについて解説しているかわかるように「スライド4枚目の○○について」などと適宜指示を行う。音声だけで学習することができる利点と、音声の速度を調整することができる利点とがある。音声ファイルのファイル名はPowerPoint資料に連動させる。

4) 事前配布するワークシート・講義ノート
 印刷を想定する。そうすると、ワークシートは印刷の用紙サイズを指定すること。できればA4サイズで印刷できるように作り直しておいた方がよい。講義ノートはコンビニで印刷することを一部想定してページ数が増えすぎないようにしたい。

作成した教材をGoogle classroomで共有するためには「資料」として追加しましょう。

講義時間に授業を行う

講義時間は双方向授業を取り入れることを想定する。どのような形式で、どの程度双方向授業にするかは教員が検討。たとえば、授業の導入部に双方向配信をしてコミュニケーションを取って、その後に配布資料と音声で学習して、残り20分で双方向配信を再び行うなど。

遠隔授業の場合、90分をたとえば4等分して20分×4で進めることを想定する。それぞれの区切りで学生の反応を求める。反応は身体的なアクションでもいいし、簡単な課題・質問を与えてもよい。10分は導入部と区切りでのストレッチに時間を割り当てる。細かな注意点は下記記事を参照。

双方向配信は、Google hangouts meetを用いて行う。教員は下記ページを参考に事前に双方向配信の用意をする。そのうえで、学生に共有する「参加に必要な情報をコピー」まで用意する。

講義時間になり学生が参加してきだすと、落ち着くまで待つ。導入の小噺前に学生のマイクをミュートするように伝える。ミュートしない学生がいたり、やり方がわからなそうだと教員側からコントロールしてミュートもできる。下記の「参加者のマイクをミュートする」を参照。

ようやく、講義本題に入る。下記ヘルプを参考に、画面共有を行うか、カメラの前で授業を開始。まずは、教員側から学生に対して一方的に行う。

双方向配信にて学生のコメントを求めたり、ディスカッションに持ち込むためには、ミュートにしてもらったマイクを解除してもらい、ひとりずつ発話してもらう。最初の発話は通常講義以上にやりにくい可能性があるので、ゼミ生等にお願いをしておくのもあり(なのかもしれない)。学生の発話に対して教員は、大きく身体的反応をとる。うなづくなど。発話の終わりには、学生のコメントを教員側でまとめることが望ましい。そして次の学生に、という流れ。

課題や質問を提示(提示法は次の節にある)して、双方向ドキュメントを行うこともできる。ここでの双方向は教員とひとりの学生との双方向性と、クラス全体での双方向性がある。ただし、大規模になると後者のクラス全体での双方向性は機能不全となる気がする。やり方は、下記ヘルプを参照。課題の作成Google documentを選択してから、「生徒ごとにファイルのコピーを作成する」あるいは「生徒にファイルの編集を許可する」を選択。

生徒ごとにファイルのコピーを作成する」は、教員とひとりの学生との双方向性となり、一人ひとりがどのように回答しているかをリアルタイムに確認できる。教員がコメントを付けることもできる。
生徒にファイルの編集を許可する」は、クラス全体での双方向性となり、クラスみんなで一つのファイルを同時編集する。執筆履歴を追うことはできるが、貢献や評価をどう考えるかは事前に考えておかなければならない。クラスでつくる講義ノートという運用はありかもしれない。

諸々終えて講義時間終了。双方向配信を行っている場合は、しっかり終了を確認すること。終わったつもりでも配信が続いており、トラブルになることがある。

遠隔授業コンテンツについては別途記事化(追記: 2020年4月29日)

課題・質問を作成して、評価とフィードバックを行う

双方向配信によって学生とコミュニケーションを取っていないのであれば、確実に課題・質問を課す必要がある。そのうえで、評価しフィードバックを行わなければならない。遠隔授業であれば絶対にです。「絶対に」という根拠は、「令和2年度における大学等の授業の開始等について(通知)(令和2年3月24日)」にて言及されている「平成十三年文部科学省告示第五十一号」に書かれています。この点については、下記ブログの「参考」を参考にしている。

Google classroomにおける課題はファイルを要求するものであり、質問はclassroom上で完結するものである。

課題を作成は下記リンクを、同時に、学生が取り組みやすいように学生用ヘルプもリンクしておくことが望ましい。

質問を作成は下記リンクから。質問は、選択式と記述式がある。記述式であまりにも長文となるようなものは、質問ではなく課題で設定すること。

次に、Google formsを活用した課題を作成することもできる。少し複雑になるので、いきなり運用することは避けた方がよい。何回か試行しておくこと。進め方は下記リンクから。

課題・質問を作成したのち、提出期限後に評価を行い、それぞれの提出物にコメントをしてフィードバックを行う。評価・コメントは、提出されたものに適宜行うのではなく、提出期限後に評価・コメントを開始すること。同じようなフィードバック内容がありそうならば、それは次回の講義内容に反映させる。十分な指導を行い、学生の理解度を深めよう。

Google classroomでは、学生の採点状況を一覧で整理できる。学生は、自分の現時点での評価を確認することもできる。この設定は教員の裁量でどちらでもよいと思っている。設定法は下記リンクから。

主要参考資料

・東京大学「新入生・在学生のための, オンライン授業を受けるための準備」

・専修大学「大学のオンライン授業を展開するための簡易ガイド」

おすしたべたい。



いただいたサポートは研究室の学生向けに活用します。学生の研究用書籍や研究旅費の足しにすることになると思います。