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パチスロ半グレ隊 カリスマ

 カリスマがパチンコ屋に入った時、店の中の空気は一変した。人間の死体から漂う臭い……カリスマの全身からパチンコ屋の隅々に広がり、何の罪も無い客を苦しめた。
 悠然とカリスマは通路を偉そうな態度で歩き、睨みを効かせる。なかなか台に座ったりせず、てめえがどれほど素晴らしい存在なのかを無言でアピールし続けた。
 カリスマは北国で育ち、祖父母から嫌われ、父からは虐待を受けて育った。
 カリスマはギターと共に育ち、ピアノは弾かなかった。
 あるパチンコ台の前で止まったカリスマは、この台は絶対に大当たりから7万発は軽く超えると決めつけて、スッと椅子に座り、ずっこけて足を痛めた。後に50針も縫う怪我だった。女性のような内股歩きをして、カウンターに向かい、そこで店員に塗り薬をもらって、足に塗りたくった。台に戻り、戦闘開始だ。しかし、カリスマはパチンコのルールをよく知らず、2時間も液晶画面を凝視し続けて、たまにポケットから取り出した昆布を食べて栄養を補給した。カリスマの肩をポンポンと叩く人がいて、この俺の肩に馴れ馴れしく手を置く奴は誰だ?と思っていぶかしげな顔で振り向くと、そこには奥さんが立っていた。
 カリスマは驚き、ボッキした。店内に人がいなくなり、カリスマと奥さんがにらみ合い、すぐに言い合いに発展した。奥さんがカリスマにビンタを食らわせて、もんどり打ったカリスマのボッキしたチンポがパチンコ台を突き破り、カリスマの全身に台から飛び出してきた銀玉が何千発もめり込んで、細かく血を吹いた。
 カリスマは何故か高笑いを決め込み、パチンコ台に蹴りを入れた。パチンコ台が倒れてカリスマの頭を直撃した。隣の台に座っていた無表情で体格の良い男がカリスマの首にチョップを見舞ってカリスマは倒れた。すでにボッキ状態は終わっていたので、カリスマは冷静だった。
 急にパチンコ台の画面から、「あなたは親から虐待を受けた経験はありますか?」と質問があり、カリスマは「はい」のボタンを押す。次にピアノとギターのどちらが好きかと聞かれて、ギターと答えたら、カリスマは溶けてグニャグニャになり、最期は液体化した。

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