過ぎ去る季節のなかで
きみと出会って何年が経ったのだろう。
色んなことがあったはずなのに、記憶は断片的で。
出会った頃は、まさか結婚するとは思わなかった。付き合うとも思っていなかった。
きみの瞳に恋をしたあの日から始まり、多くの季節が過ぎ去っていった。
会いたくて、仕方ない日々。
四六時中、共にいた日々。
笑いあって、ケンカして、心も体も求めあっては離れ、距離感を見失い、涙したあの頃。
別れを口にしたこともあった。
お互いのことを考えれば一緒にいないほうが良かったかもしれないときもあった。なのに、必ずどちらかが踏みとどまった。
いくらかの季節を乗り越えて、時間ばかりが過ぎていき、
「いつになったら、結婚するの?」
と苦しそうに言われたときは、少し戸惑った。
すぐに返答できなかったけど、実はとても嬉しかったんだ。
その時、自分の現状に自信がなかった僕は、一緒にいることさえ、申し訳なく思っていたのだから。
結婚生活は、春のようなワクワクから始まった気がするけど、冬の寒さに震えていた期間も長かったかもしれない。夏のように熱く走れたこともあったし、秋の鮮やかな儚さを噛みしめたこともあったようにも思う。
きみの心は、どうだったのかな。
子供が産まれ、新しい家族ができ、目まぐるしく日々が過ぎていく今。
きみは、何を感じ、どんな景色を見ているのだろう。
僕と同じ部分もあれば、全く違うものが見えているのかもしれないね。
またそっと、僕が恋した瞳で教えてほしい。
きみの見る世界を……
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