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キラキラネームに生まれて

キラキラネームをやらしてもらって29年。

名前とは、親に最初に着せられる脱げない洋服のようだと思う。古風な名前をつけられたら和服、シンプルな名前ならユニクロの白Tにジーンズのようで、そこからどんな風にも染められる気がする。

自分で言うのも何だが、可愛らしい名前をつけられた私は、一生脱げないリボン付きのブリブリの服を着せられている気分なのだ。

私の名前はギリシャ神話の女神様から取って父がつけた名前らしい。

ちょっと変わった名前なもんだから、小学校の男子からは散々いじめられたし、いちいち「どんな由来なんですか?」と聞かれるし、あまり良い思いをしてこなかった。

正直、「優しい子に育ちますように‶優子“」「明るく美しい子に育ちますよう‶明美”」といった願いが込められたベーシック系の名前が良かった。

そんなことをブツブツ言っていると必ず母が、「何言ってるの! おじいちゃんなんて三男だから、三男(ミツオ)なのよ! それよりいいでしょ!」と言ってきた。なぜ、中間はないのだろうか。

一方で、成長するつれて変わった名前だからこそのメリットも感じてきた。

一つは覚えてもらいやすいということだ。学生時代も先生から下の名前で呼ばれ、何となく親しまれてきた。

父も名付けてくれるとき、「人に覚えてもらいやすい名前」というのは意識していたようだ。

だが、実家で仔猫が生まれたとき、私が「クッキーちゃんがいい!」と主張したところ、父が「そんな覚えにくい名前はダメだ! 白いんだから、シロだ!」と言った。

変わった名前を忌々しく思っていた時代だったので、ズッコケそうになった。

***

名前は子どもが生まれてすぐに付けられるものだから、必ずしも子どもが気に入るとは限らない。ましてや100年も生きるのだから、数十年前に付けられた名前がベストとも限らない。

だからこそ、自分の好きな名前に簡単に変えられる制度になったらいいなと思う。あまり何度も変えるのも訳がわからなくなりそうだから、20年に一回ならOKとか。

好きな服を着るように、好きな名前で生きたい。

編集:べみんさん

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