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「こんにちは」あいさつ運動
職場で「こんにちは」あいさつ運動が行われている。
職員同士の「お疲れ様です」をやめましょうと。
やめて、「こんにちは」にしましょうと。
廊下で職員同士すれ違う時は「お疲れ様です」、外部の人とすれ違う時は「こんにちは」。こう言う組織や会社は僕の知る限り多いと思う。
これをやめて、「こんにちは」に統一しましょうと。この運動が始まった理由やそれに対する賛否はあるんだけど、ここでは割愛。
とにかく「こんにちは」あいさつ運動は現在進行形であり、これまでの「お疲れ様です」が染み付いた僕を含めた職員たちが、毎日悪戦苦闘する様が垣間見える。
「お疲れ様です」の一択時代は、すれ違ったら条件反射的に「お疲れ様です」と言うし言われるから、相手の「お疲れ様です」をいちいち聞かない。
名前の付いたパブロフの犬がその辺を歩き回ってるようなもんだ。
何て言われたかをいちいち確認しない。
だから
「うーっす」
「いーっす」
「おざすー」
「おざでーす」
「ーーーー(す)」
が全部成立する。
全部「お疲れ様です」の亜種。
それでみんな通じる。
明らかに「お疲れ様です」と言ってないのに、
(言いたいことはどうせ「お疲れ様です」だろ?)
と、親切なのか投げやりなのかよく分からない以心伝心を発揮する。
実際何と発音したかになど無関心だから、
「え、なんてなんて?」
とか聞き返さない。
それがあいさつ運動が始まったことで、
すごく聞き耳を立ててるのは僕だけだろうか?
「お疲れ様です」が染み付いた状態から「こんにちは」に切り替えるのはムズい。ていうか恥ずい。
切り替えられない理由は様々だ。「長年の習慣があるから難しい」「元々内部の人にはお疲れ様です、外部の人にはこんにちは、そう言い分けていたんだから、敢えて統一する必要はないと思う」とか、いろいろ個々に言い分はある。
でも端的に言ってみんな恥ずいのだ。僕はそう思う。
僕は恥ずい。しかし恥ずいながらも「(こ)んちはぁー」と、およそ生徒会選挙では勝てないだろう声量で発しながら、相手は何て言うかに聞き耳を立てる。
昼休み前の時間、廊下ですれ違った他部署の職員さんが「…まーす」って。
「…え?」
何て言うた?
絶対「まーす」は聞こえた。
「おはようございます」は時間帯的におかしい。
「(お疲れ様です)」と言いかけて、(あっ、)ってなって、でも「こんにちは」が言いきれなかった。けど「お疲れ様です」だけは回避したい。そこで時間帯的にはおかしいけど比較的言いやすい「おはようございまーす」。でも「おはようございまーす」とはっきり言い過ぎるのは時間帯的におかしい。結果、「おはようございまーす」崩れの「…まーす」。この間約0.5秒。
あ。
…え、「いただきまーす」?
まさか。
「こんにちは」あいさつ運動、長い戦いになりそうだ。
これは過渡期だ。半ばあきらめに似た声が上がっているけど、僕はこのムーブメント、もう少し食い下がってみようと思う。
そうは言っても、ボロボロになるまで闘うつもりはない。
心身をすり減らすに相応しい戦いという訳でもない。
ちょうどイイ感じに戦って、職場がちょうどイイ感じになればいい。